アブラハム計画へのさらなる打撃:リビアが対イスラエル関係正常化に反対する理由とは?
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GNUリビア国民統一政府のアブドゥルハミド・アル・ダバイバ首相
北アフリカ・リビアのGNU国民統一政府が、同国とシオニスト政権イスラエルとの関係正常化を拒否しました。
【ParsToday国際】リビアのアブドゥルハミド・アル=ダバイバGNU首相は、リビアが対イスラエル関係正常化を目指しているという主張を否定し、「このような関係正常化への反対はリビア国民にとって明確な問題だ」と語っています。さらに、「パレスチナ人の強制移住・追放という犯罪を我々が容認しているという主張は誤りであり、メディアの嘘だ」と付け加えました。
一部の報道では、リビアとイスラエルの当局者らがガザ地区からのパレスチナ人の強制移住について秘密裏に協議していると伝えられていますが、リビア政府はこれらの主張を「挑発的で完全な虚偽」だとし、そのような計画への関与を否定しています。
リビア首相は、イスラエルがガザ地区住民をリビアを含む他国に移住させようとしているとの報道に言及しました。イスラエルの第12チャンネルTVは最近、「ネタニヤフ・イスラエル現内閣は、ガザ住民の強制移住についてインドネシア、東アフリカのソマリランド、ウガンダ、南スーダン、及び北アフリカ・リビアの5カ国と協議している」と報じたものの、協議内容が肯定的あるいは否定的だったかは明らかにしていません。このニュースは、ガザ地区から他国へのパレスチナ人の「自発的移住」を奨励するイスラエルの計画という枠組みの中で報じられたもので、国際法違反となるガザ住民の強制的退去に対する人権上の懸念を高めるものとなっています。
リビア議会は、イスラエルとの関係正常化は犯罪であるとする議決を全会一致で採択しました。この決定は、この問題に対するリビアの政治機関の極めて敏感な姿勢を反映しています。一般的に、リビアは対イスラエル関係正常化に関して、公式にはこれを軽視し完全に否定的な姿勢を示してきました。また、リビア議会はイスラエルを支持する国への石油輸出の停止さえも要求していました。
リビアの政治・社会情勢はパレスチナ寄りが強い傾向にあり、対イスラエル関係正常化の試みは国内で強い反発を招いています。対イスラエル関係正常化に対するリビア国民の姿勢は概して否定的で、反対の姿勢を示しています。この反対は政治レベルだけでなく、社会の様々な階層にも顕著に見て取れます。
例えば、2023年8月には当時のリビア外務大臣だったナジュラ・マングーシュ氏とコーへン・イスラエル外相がイタリアで秘密会談を行っていたことがイスラエル外務省によって暴露された後、リビア首相は同外相の更迭と調査を命じました。同時に、この秘密会談のニュースが報じられた際、首都トリポリをはじめとするリビアの複数都市で大規模な抗議活動が発生し、市民らは関係正常化に反対するスローガンを唱え、同外務大臣の解任を要求しました。その結果、マングーシュ外相はトルコへ脱出しています。
また、リビアの世論はパレスチナの大義を強く支持しており、外交レベルであってもイスラエルとのいかなる接触も強い社会的反応に遭遇することになります。
リビアは総じて長きにわたり反イスラエルの姿勢をとっており、特にカダフィ元政権下ではそれが顕著でした。この姿勢はリビアの政治・社会文化に深く根付いています。多くのリビア市民はイスラエルを「占領者」と見なし、イスラエルとの交流は全て「パレスチナの大義への裏切り」と捉えています。また、SNS上のリビア人ユーザーも、対イスラエル関係正常化の全てに強く反対し、政府にこの点に関する透明性と説明責任を求めています。
同時に、リビアとイスラエルの関係正常化に向けた試みはいずれも、広範囲にわたる影響を及ぼし、国内で広範な抗議行動を引き起こす可能性があります。これは、かつてリビア外相がシオニスト外相と会談するという噂が広範に拡散し、国民の怒りを買った事例と同様です。また、この結果として政治的不安定が加速し、政治連合の崩壊、政府高官の辞任や解任、そして国内グループ間の亀裂の拡大といった事態を招く可能性も否定できません。このような行動は、リビア政府の正当性を損なうことにもつながります。特に、リビアでは国民と政治機関の大部分がイスラエルに反対しており、このような行動は政府の正当性に疑問を投げかける可能性があります。この点でもう一つ問題となるのは、法的な犯罪と見なされるようになることです。この点に関して、リビア議会はイスラエルとの関係正常化を犯罪とみなす法案を全会一致で可決しました。したがって、この点に関するいかなる行動も、当局に法的影響を及ぼす可能性があるのです。