麻薬密輸を口実とした米の対ベネズエラ圧力
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ベネズエラは、同国沿岸に米艦船が派遣されたことを受けて、コロンビアと国境を接するズリア州・タチラ州に1万5000人の兵士を配置しました。
(last modified 2025-08-27T07:26:57+00:00 )
8月 27, 2025 14:49 Asia/Tokyo
  • ベネズエラ軍
    ベネズエラ軍

ベネズエラは、同国沿岸に米艦船が派遣されたことを受けて、コロンビアと国境を接するズリア州・タチラ州に1万5000人の兵士を配置しました。

【ParsToday国際】米国政府はベネズエラのマドゥロ大統領を「Cartel de los Soles(ソルズ・カルテル)」として知られる麻薬密輸組織の首謀者であると非難し、5000万ドルの懸賞金をかけました。これに対して、マドゥロ大統領はコロンビア国境に多数の兵士を配備したことを発表し、米側の動きを国家主権への脅威として非難しています。

米・ベネズエラ関係は過去数十年間常に緊張状態にありましたが、特に近年、そして現在のトランプ政権下でその緊張は一層高まっています。米当局者は、長年にわたりラテンアメリカ諸国を自国の「裏庭」と見なしてきましたが、近年の国際政治の変化により、再びモンロー主義に従ってベネズエラに対する圧力を強めています。

モンロー主義とは、19世紀初頭に当時の米大統領ジェームズ・モンローが発表した政策で、米国をラテンアメリカの保護者であると位置づけ、この地域で米国の意向に反する左派政権や指導者の転覆を目指すというものです。

この方針は、米国の覇権主義的な性質に由来しています。このため、近年米国はベネズエラに対して様々な政治的・経済的圧力を加えてきました。特に金融やエネルギー分野における経済制裁は非常に厳しく、ベネズエラはこれらの制裁の影響を深く受けています。特に石油・エネルギー分野はベネズエラの主要な収入源であり、この制裁は大きな打撃となっています。

しかし、こうした圧力にもかかわらず、ベネズエラ国民は米国の干渉を受け入れず、昨年の大統領選挙で再びマドゥロ氏を大統領に選出しました。

こうした状況の中、トランプ米大統領は、麻薬取締りを含む新たな対ベネズエラ政策を開始しました。今年2月には、国外の麻薬密輸組織をテロ組織として指定し、マドゥロ大統領がその首謀者であるとして、逮捕につながる情報提供に5000万ドルの懸賞金をかけました。これは昨年6月に、ベネズエラの元軍情報官が麻薬密輸とテロ活動の容疑で米国で有罪判決を受けたことによる措置です。

トランプ政権はこれらの行動を麻薬密輸と安全保障への脅威に対抗するものと位置づけ、現在、麻薬カルテル対策のためにベネズエラ近海を含むラテンアメリカ地域に3隻の艦船を派遣しています。これらの艦船は、麻薬積荷のために停泊していると疑われた船を捜索する権限を持っています。しかし、これらの行動は、実際には米国がベネズエラ近海で軍事力を行使するための口実であり、米政府は安全保障よりもむしろ、麻薬対策を政治的圧力の道具として利用し、特にマドゥロ政権に圧力をかけているのです。

米国はラテンアメリカ諸国における左派政権の継続を許容していません。これらの政権は、米国の侵略的な政策や要求を受け入れず、屈服しないためです。例えば、現在のガザ戦争においても、多くのラテンアメリカの左派諸国はパレスチナの正義を支持し、米国のイスラエル支援政策を批判しています。結局のところ、アメリカのベネズエラに対する最近の麻薬密輸撲滅を名目とした行動は、地域の安全保障への懸念というよりも、政治的圧力の手段となっています。艦船の配備や経済・政治的圧力の強化により、米国はマドゥロ政権を弱体化させ、ラテンアメリカにおける影響力を強化しようとしています。これらの措置は、アメリカが独立を主張し、ワシントンの要求に屈しない地域の国々に対して植民地主義的な態度をとっていることの象徴であり、麻薬撲滅戦争もまた、アメリカが政治的目的を追求するためのもう一つの手段となっているのです。

 


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