トルコ人専門家:「わが国とイスラエルがシリアで衝突する可能性あり」
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トルコ人の国際問題評論家ヤシム・デミル氏
トルコ人の国際関係専門家、ヤシム・デミル(Yashim Demir)氏が「シオニスト政権イスラエルがトルコに対してとり得る行動として、諜報活動、心理的圧力、さらにはトルコ領土内でのパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマス要員を狙った暗殺といった形式が考えられる」と語りました。
デミル氏は最近の地域情勢を受け、「シリア領内でトルコとイスラエルが間接的に衝突する可能性が高まっている」との見解を示しています。
【ParsToday西アジア】デミール氏はメフル通信とのインタビューで「イスラエルがトルコに対してとる可能性のある行動が、大規模な軍事介入の形を取る可能性は低く、逆にトルコに滞在していると見られるハマス要員への暗殺や彼らに的を絞った作戦の形を取る可能性が高い。しかし、そのような試みは、両者間の関係を深刻な危機に陥れ、地域のバランスを決定的に崩す可能性がある」と述べました。
先だって、イスラエルがハマス代表団のドーハ滞在中であったことを口実にカタールを攻撃したことを受けて、エルドアン大統領を含むトルコ当局は、この動きを自国の国家安全保障に対する潜在的な脅威であるとの見方を示しました。またこれに関しては、イスラエルがギリシャや南キプロス(キプロス共和国)との地域協力などを通じトルコへの圧力行使を画策しているのではないかとの憶測が飛び交っています。
トルコがロシアからS-400防衛システムを購入し、それをシリアに配備する可能性は、NATO北大西洋条約機構とイスラエルの同盟国の間で懸念を引き起こしています。
一部の報道によりますと、米国内のイスラエル系及びギリシャ系のロビー団体がこの動きに強く反対しているということです。また、一部の情報筋は、最近のイスラエルによるシリア攻撃を、トルコによるシリアへの基地設置を阻止するためのメッセージだと解釈しています。
一方、「アキレスの盾」計画(ギリシャが国家主権を守るために、国軍の強化を目的として2025年3月に発表した25億ユーロ・約4000億円相当の新たな防衛計画)やアイアンドームなどのシステムの使用など、イスラエルとギリシャの防衛協力は情勢の緊迫化に拍車をかけています。
辛辣で脅迫的な発言がなされているにもかかわらず、専門家らはトルコとイスラエルの間で直接的な軍事衝突が起こる可能性は低いと考えており、シリア領内での間接的な行動という形での対決の方が現実的だと見ています。
一方、トルコによる国内防衛技術の開発への投資と外国システムへの依存を減らす取り組みは、イスラエルからの高まる圧力に対抗して地域的立場を強化しようとするトルコ政府の努力を反映したものだと言えます。