高市首相:日本の女性の力の象徴か、それとも男性社会の継承者か?
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高市早苗氏がこのほど日本自民党総裁に就任したことは歴史に残る出来事であるとともに、依然として男性優位に縛られた日本の政治の未来にとっての試金石でもあります。しかし、日本初の女性政権を率いる高市氏は現愛、変革への期待と長年の伝統の維持の間で板挟みになり、改革主義と保守主義の間で茨の道を歩んでいるのです。
(last modified 2025-11-05T06:11:23+00:00 )
11月 04, 2025 19:01 Asia/Tokyo
  • 自由民主党の高市早苗総裁・首相(64)
    自由民主党の高市早苗総裁・首相(64)

高市早苗氏がこのほど日本自民党総裁に就任したことは歴史に残る出来事であるとともに、依然として男性優位に縛られた日本の政治の未来にとっての試金石でもあります。しかし、日本初の女性政権を率いる高市氏は現愛、変革への期待と長年の伝統の維持の間で板挟みになり、改革主義と保守主義の間で茨の道を歩んでいるのです。

去る10月下旬、日本自民党は党史上最も重大な局面の一つにおいて、保守派の高市早苗氏(64)を首相に選出しました。昨夏の総選挙での敗北および、公明党との26年間の連立政権の崩壊により、自民党の権力基盤は大きく揺らいでいました。長年にわたり安倍晋三元首相の最も親しい盟友であり、思想面での後継者の一人と目されてきた高市氏は、「サナエノミクス」として知られる安倍元首相の経済政策の続行を公約しています。しかし、最大の問題は、厳格で伝統的なアプローチをとる女性首相が、危機に瀕した国を変革へと導くことができるか否かということです。

【ParsToday国際】この記事では、日本初の女性首相が直面する課題を以下のように検証していきます。

女性的でないアプローチ:男性社会で生き残るための方法

高市氏は、政治家としてのキャリア初期から規律正しく厳格な人物とされてきました。彼女はイギリスの元女性首相マーガレット・サッチャー氏をロールモデルとしており、フォーマルな青いスーツを着用することで事実上、男性の権力の象徴を再現しています。サッチャー氏が地位を維持するために党内の男性陣よりもやむなく強硬な態度を取っていたように、高市氏も日本自民党で同様の道を歩んできました。彼女は「ジェンダー・クオータ制」に反対し、「機会均等」を重視していますが、実際には、この考え方がフェミニズム政策からの乖離につながっています。閣僚の半数を女性にすると約束しながらも、最終的には大臣に女性を2人しか任命せず、主要ポストには男性を当てました。この矛盾は、彼女がジェンダー構造改革よりも党の政治的安定を優先し、伝統への挑戦よりもそれへの適応を好んだことを示しています。

保守的な女性、非革命的なリーダー

高市氏のような女性たちの現象は、日本だけに限られません。世界中の多くの右派国家では、同じ保守的な構造の中で、女性が権力を獲得するには男性よりもタフである必要があります。ヨーロッパでは、ジョルジャ・メローニ氏が同様のモデルでイタ​​リア首相に就任しました。高市氏もまた、改革者としてではなく日本の伝統的な政治システムの自然な産物として、同じ道を歩んでいるのです。

もっとも、高市氏の私生活は一味違ったものです。ヘビーメタルへの愛着や、余暇にドラムを演奏する趣味は、より人間味あふれる印象を与えますが、こうした私生活の面は、女性問題に対する彼女の厳格な姿勢には影響していません。高市氏は、結婚後も女性が旧姓を名乗る権利など、依然として多くの問題に反対しています。この視点により、日本は先進国の中でも例外的に保守的な立場を維持してきたのです。

日本の女性政治家:ガラスの天井から鉄壁まで

高市氏の立場は、依然として女性の政権掌握を例外的な状況と捉える日本の政治という、より広い文脈の中で捉える必要があります。小池百合子東京都知事は、改革政策と家族支援を通じて都政における女性の割合を倍増させましたが、国レベルでは構造的な抵抗に直面しています。実際この点に関して、高市氏は「日本の女性はガラスの天井ではなく、鉄の壁に直面している」とコメントしました。

齊藤 蓮舫氏をはじめとする他の女性政治家の経験は、この現実を如実に物語っています。メディアは蓮舫氏と小池氏の戦いを「竜女の戦い(頂上決戦)」と呼びましたが、これは男性には決して当てはまらない蔑称です。こうした状況下で、高市氏はこの鉄壁の打破ではなく、共存を選んだ形となっています。

このことは、統計が裏付けています。日本の衆議院における女性議員の割合はわずか15.7%であり、男女平等の観点ではG7諸国の中で最下位にランクされています。この意味で、高市氏の首相就任は変化の兆しというよりも、男性優位社会への賢明な適応の象徴と言えるでしょう。

自民党の危機と統率上の試練

高市氏の政権掌握は、与党の深刻な危機と重なりました。選挙での敗北、金銭スキャンダル、そして一部党員の統一教会とのつながりの発覚により、国民の信頼が失われました。高市氏は党の正統性を回復するため、安倍晋三元政権の経済政策の継承と、政府の安全保障基盤の強化という、二本立ての戦略を踏襲したのです。

経済面では、拡張政策と新技術、半導体、原子力への投資によって市場の成長を一時的に回復させました。しかし外交政策においては、中国と韓国に対する強硬な姿勢が懸念を引き起こしています。また、米国との足並みを揃え国防予算を増額したことで、右翼・国民主義者の間での支持率は高まった一方、地域関係の複雑化をまねきました。

高市氏の未来:変革と継続の狭間で

高市氏は現在、経済の安定、国民の信頼の危機、そして変革を求める社会からの圧力の間で揺れ動く、極めて重要な岐路に立たされています。高市氏は女性として初めて日本の最高行政職に就任しましたが、彼女の力は改革ではなく、既存の秩序への順応から生まれたものです。

高市氏が経済の活性化と腐敗の抑制に成功すれば、自民党を崩壊から救えるかもしれません。しかし、女性や若い世代の要求を無視すれば、党の正統性の基盤が揺らぎかねないのが現実です。結局のところ、高市早苗氏は、日本における女性にとっての新時代の先駆者というよりも、女性が男性的規範を受け入れることでしか権力の座に上がれないというパラドックスの象徴ということになります。高市氏が首相として成功するか否かは、与党・自民党の運命だけでなく、日本における男女平等の将来をも決定づけると思われます。

 

 


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