アフリカが国連安保理の常任理事国入りを望む理由とは?
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AUアフリカ連合の事務局アフリカ連合委員会(AUC)のマハムード・アリ・ユスフ委員長
アフリカが、国連安全保障理事会の常任理事国入りを要請しています。
【ParsToday国際】AUアフリカ連合の執行機関であるAUCアフリカ連合委員会のマハムード・アリ・ユスフ委員長は、AUとしての安保理常任理事国入り、および国際金融機関における公正な代表権の獲得を改めて求めました。
ユスフ委員長は、アフリカ南西部アンゴラの首都ルアンダで開催された第7回EU・アフリカ連合サミットで演説し、AUが安保理常任理事国入りを目指していることに触れ、国際法の脆弱化に関する危険性を指摘し、アフリカとして(国連の構造)改革を求める声を決して撤回しないと強調しています。
安保理常任理事国入りを求めるアフリカの要求が再び提起されたのは、重要な変数・要因に着目してのことです。アフリカがこの要求を提起しているのは、この大陸が10億人を超える人口を抱え、世界情勢において決定的な役割を担っているものの、国際的な権力構造において依然として公平な代表性を得られていないことによります。アフリカ諸国の指導者らは「アフリカの国が安保理常任理事国に入っていないことは国際体制における明らかな不正義であり、この状況の是正こそが国連の正当性と実効性の保証に不可欠である」と繰り返し強調してきました。
世界の平和と安全保障の分野における最も重要な意思決定機関としての国連安全保障理事会には、米国、ロシア、中国、フランス、英国の5カ国からなる常任理事国が含まれています。この構成は、第2次世界大戦後の戦勝国が国連の構造を形成した時代の名残です。しかし、現代の世界は地政学や経済、人口動態面で大きく変化しており、多くの国々は、この構造はもはや現代の実情に対応できていないと考えています。特にアフリカは、この構造における自国の立場に見合った役割を担っていないと強調しています。
アフリカがこの要求を提起する主な理由の一つは、その膨大な人口です。アフリカには現実に10億人以上が住んでおり、今世紀半ばには20億人に達すると予想されています。非常任理事国中の3つの地域枠だけでは、重要な国際的決定においてこれほど多くの人口の声を代表することはできません。アフリカの指導者らは、安保理への常任理事国の参加がアフリカ大陸の当然の権利であるとともに、理事会の決定の正当性を高めることにもつながると考えています。
もう一つの理由として、アフリカが世界に対する重要な資源の供給役を担っていることです。アフリカ大陸は、石油、ガス、金、ダイヤモンド、レアアースなど、世界の先進産業にとって不可欠な天然資源が豊富です。多くの国際紛争や危機も、何らかの形でアフリカの資源と絡んでいることから、アフリカ大陸が世界の安全保障と政治的意思決定において恒久的な地位を占めることは当然の理だと言えます。
さらに、アフリカは国連平和維持ミッションの最多件数を占めています。南スーダンからマリ、コンゴ民主共和国に至るまで、国連平和維持部隊の大半はアフリカ諸国に駐留しており、この事実は、世界の安全保障がアフリカ情勢と密接に結びついていることを意味します。しかしながら、これらのミッションに関する決定は、アフリカ大陸に常駐していない国々によって下されており、この矛盾は、アフリカの指導者たちから繰り返し批判されてきました。
さらに、アフリカは歴史的正義の観点からも強力な主張を展開しています。国連設立当時、多くのアフリカ諸国は依然として植民地支配下にあり、安保理の当初の構造決定には関与できませんでした。しかし、これらの国々が独立し、AUアフリカ連合が強力な地域機関として台頭してきた今、アフリカ諸国が安保理の構造改革を望み、自らの声が世界レベルで反映されることを望むのは至極当然だと言えます。
アントニオ・グテーレス現国連事務総長も「安保理改革はアフリカ諸国に常任理事国の地位を与えることから始まるべきだ」と強調しました。彼はこの動きを、国連に対する世界の信頼の再構築に向けた最初の足がかりと捉えています。国連高官によるこのような支持は、アフリカの要求が正当であり、多くの大国に受け入れられていることを裏付けるものです。
しかしながら、この目標達成には大きな課題が立ちはだかっています。現在の常任理事国は、権限の一部を譲ることに消極的であり、またアフリカ諸国の間では、どの国が常任理事国となるかをめぐる内紛により、合意成立が難しくなっています。常任理事国入りの可能性が最も高いのはナイジェリア、南アフリカ、エジプトとされていますが、これらの国の間の競争が交渉の進展を阻むことも考えられます。
最後に指摘すべき点として、アフリカが安保理常任理事国入りを要求しているのは、正義、人口、資源、世界安全保障における役割、そして国際構造改革の必要性といった原則に基づいていることが挙げられます。この要求は、広大で人口の多い大陸のニーズを反映するとともに、国連の正統性と実効性にも寄与するものです。安保理が21世紀の現実に適応できなければ、信頼性の喪失と不信感のリスクが高まる可能性があります。したがって、アフリカをはじめ、安保理に常任代表がいない他の地域からの常任理事国入りを認めることは、世界的な多国間システムの将来を確実にするための不可欠な措置だと言えるのです。

