他国への攻撃を示唆するトランプ氏;米国が国際舞台で弱肉強食の法則に従っている理由とは?
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ドナルド・トランプ米大統領が、麻薬密輸を口実に各国への攻撃をちらつかせ、脅迫しました。
(last modified 2025-12-03T11:33:43+00:00 )
12月 03, 2025 19:56 Asia/Tokyo
  • ドナルド・トランプ米大統領
    ドナルド・トランプ米大統領

ドナルド・トランプ米大統領が、麻薬密輸を口実に各国への攻撃をちらつかせ、脅迫しました。

【ParsToday国際】トランプ大統領は麻薬撲滅を口実にアメリカと南米ベネズエラの関係が緊迫化したことを受けて、再びこれらの攻撃を擁護し、各国を脅迫するとともに「米国に麻薬を密輸する国はいずれも標的になる」と表明しています。

トランプ大統領は2日火曜の閣議で、麻薬密輸の疑いのあるカルテルや国に対し、近く地上攻撃を開始するとし「ベネズエラだけでなく、麻薬を米国に密輸する者は全て攻撃の対象となる」と述べました。

また、自らの以前の脅迫を続ける中、「我々は地上からも攻撃を開始する。地上作戦の方がはるかに容易であり、我々は彼らが通るルート、彼らに関するあらゆる情報、彼らの居住地、そして悪人の居場所を把握している。そして、我々は非常に近いうちにそれを開始する。我が国に麻薬を密輸し、販売する者は誰でも攻撃を受けることになる」と語っています。

トランプ大統領が、今回は麻薬密輸を口実に他国への攻撃を新たに示唆し、また核兵器の獲得狙いという虚偽かつ事実無根の口実でイランを攻撃するといった行動に出たことで、国際世論において再び「なぜ米国は国際舞台で国際的な権利や法律を遵守せずに弱肉強食の原理を信じているのか」という疑問が浮上しています。

世界屈指の軍事力・経済大国である米国は、常にゲームのルールを自国に有利に書き換えようとしてきました。こうした行動はトランプ政権下だけでなく、歴代の米国政権下でも見られたものの、トランプ氏のぶしつけで威圧的な口調から、この事実がさらに明らかになっています。

アメリカがこうしたアプローチに訴える主な理由の一つは、同国が国際システムにおいて特異な立場にあることによります。アメリカは広大な軍事基地網と、トランプ大統領が推進する「力による平和」政策を背景に、他国に対する圧力行使能力があると主張しており、このハードパワーによって法的拘束力のあるルールに関心を持たなくなっています。実際、自国の意志の他国への強要に十分な軍事力と経済的手段を有すると自認する国は、共通の原則や国際協定に従う動機がほとんどないのが現状です。これは弱肉強食の論理、すなわち「力は権利に取って代わる」という論理に匹敵します。

一方、米国の外交政策は国内の利益と強力なロビー活動の大きな影響を受けています。軍産複合体、石油・エネルギー企業、そして政治的圧力団体は、いずれもアメリカの意思決定に影響を及ぼす機能を果たしています。攻撃の示唆や制裁の発動は、地政学的目標の推進手段であると共に、これらの集団の経済的利益確保のための手段でもあります。したがって、ここで言う弱肉強食とは、倫理的・法的原則よりも特別な利益が優先されることを意味します。

もう一つの重要な点として、アメリカの力に対する国際機関の脆弱さが挙げられます。国連と同安全保障理事会は、アメリカの一方的な行動に対抗する力のなさを何度も露呈してきました。アメリカの持つ拒否権と政治的影響力により、これらの機関は事実上麻痺しています。法的・集団的メカニズムが効果を失えば、国際体制は無法状態と権力の支配へと向かうことになります。

トランプ氏の脅迫行為は、例外主義、単独行動主義、そして覇権主義に基づくアメリカ特有の政治文化を反映しています。アメリカの指導者らはしばしば、自国を「選ばれた国家」として位置づけ、世界秩序の維持のために行動する権利を持つと主張しています。しかし、こうした捉え方により軍事行動や干渉主義が正当化されることになります。こうした枠組みにおいて、力の優位性と弱肉強食への信念は、正道からの逸脱ではなく、もはやアメリカの政治的アイデンティティの一部と見なされているのです。

しかし、特に第2次トランプ政権においてアメリカが極めて強力に推進しているこのアプローチの帰結は、世界にとって極めて危険なものです。つまり、国際法規や規則への不信感が高まり、軍拡競争が激化し、各国は自国防衛のために新たな同盟やより攻撃的な政策へと傾倒することになります。そして最終的に、世界の安全保障は深刻な打撃を受け、地域危機が拡大します。トランプ大統領が新たに他国への攻撃を示唆していることは、国際関係の主要な決定要因が法に取って代わられるという、この悪循環の明確な例に他なりません。

結論として、米国はその強大な軍事力、国内経済の利益、国際機関の脆弱ぶり、そして自らの例外主義的な政治文化により、そして端的に言えば、他国に自国の欲望を強要できる超大国を自認していることから、国際舞台において事実上弱肉強食の精神を信じ追従していると言わざるを得ません。つまりはトランプ氏のあからさまな脅迫により、長年存在してきた現実が露呈し、より明白化したに過ぎないのです。国際社会がアメリカの力を封じ込められない限り、この支配の論理は継続し、引き続き世界は無法状態と一方主義の危険に直面することになるでしょう。

 

 


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