イスラエルは紅海でエジプトの戦略的封鎖を狙っているのか?
https://parstoday.ir/ja/news/world-i131516-イスラエルは紅海でエジプトの戦略的封鎖を狙っているのか
エジプトが、シオニスト政権イスラエルによる「アフリカの角」(アフリカ東部地域)への影響力・干渉の拡大への対応として、ソマリアにおける軍事駐留を強化しました。
(last modified 2026-01-27T03:19:51+00:00 )
1月 27, 2026 12:15 Asia/Tokyo
  • 「アフリカの角」と呼ばれる東アフリカ地域
    「アフリカの角」と呼ばれる東アフリカ地域

エジプトが、シオニスト政権イスラエルによる「アフリカの角」(アフリカ東部地域)への影響力・干渉の拡大への対応として、ソマリアにおける軍事駐留を強化しました。

【ParsToday国際】エジプトは、アフリカ東部地域におけるイスラエルの影響力拡大に対応する形で、「アフリカの角」およびソマリアにおける軍事力と治安部隊の駐留を拡大しています。

イスラエル政権がソマリアからの分離独立を主張する地域・ソマリランドを正式承認したことを受けて、エジプトはソマリアにおける活動を活発化させていますが、エジプトの安全保障関係者はこの行動が地域の安定とエジプトの戦略的利益に対する直接的な脅威と見なしています。

イスラエルの安全保障筋によると、エジプトはソマリアの領土保全、並びに「アフリカの角」におけるイスラエルの活動がもたらす安全保障上の悪影響の回避のため、ソマリアのハッサン・シェイク・モハムッド (Hassan Sheikh Mohamud)大統領率いる合法政府への支援に注力しています。エジプト当局は、イスラエルによるソマリランド承認を、エジプトの海上安全保障にとって極めて重要なバブ・エル・マンデブ海峡及び、紅海付近における戦略的拠点の確立を狙ったイスラエルの広範な野心的行動の一環だと考えています。.

複数のアナリストの見解では、特にイスラエルによる「ソマリランド」承認以降、「アフリカの角」地域におけるエジプト・イスラエル間の対立激化は、紅海とそれにつながるバブ・エル・マンデブ海峡、そして東アフリカにおいて両者が展開中のより広範な地政学的競争の一環となっています。近年、「アフリカの角」とされる東アフリカは地域および域外大国間の競争において最も重要な舞台の一つとなっており、この地域における勢力均衡の変化は、エジプトの国家安全保障とイスラエル政権の戦略的利益に直接的な影響を及ぼしています。

エジプト軍の兵士ら

エジプトは数十年にわたり、自国の南部地域に当たる「アフリカの角」を戦略的奥地として重視してきました。エジプトにとって紅海の安全、貿易ルートの支配、そしてスエズ運河の防衛は極めて重要な事柄です。この地域、特にソマリア、ジブチ、エリトリア沿岸に敵対勢力が存在することは、エジプトの海路の安全を脅かす可能性があります。一方、シオニストが牛耳るイスラエル政権は近年、アフリカ諸国との関係拡大を通じ、エジプト、スーダン、イエメンへの圧力を強める手段として、この地域における影響力の拡大を試みています。

イスラエルによるソマリランド承認は、この競争における転換点となっています。ソマリランドはソマリア北部の戦略的な地域であり、バブ・エル・マンデブ海峡と重要な国際貿易ルートを支配しています。一方でイスラエルは、この動きによっていくつかの目的を追求しています。第1の目的は、この地域に自らの進出拠点を確立し、エジプトの海上安全保障に影響を与えること、第2に、エネルギー輸送ルートの近くに新たなパートナーを見出すこと、そして第3に、ソマリランドを東アフリカにおける諜報活動と安全保障活動の拠点として活用し、最終的にはガザ地区住民の移送拠点を創出することです。

一方で、エジプトはこの動きを自国の国家安全保障への直接的な脅威と見なし、イスラエルがソマリランドに駐留すれば、海路付近に軍事基地や諜報拠点が設立され、紅海におけるエジプトの支配力が弱まり、イスラエルによる戦略的封鎖をまねく可能性を懸念しています。さらに、エジプトはエチオピアとの大エチオピア・ルネサンスダム危機(この巨大水力発電ダム建設によりナイル川下流のエジプト・スーダンと上流のエチオピア間で生じている水資源争い)に巻き込まれており、東アフリカにおけるシオニストの影響力拡大は、力関係をエジプトにとって不利に傾ける可能性があります。その理由は、イスラエルがエチオピアと緊密な関係にあり、この関係を利用してエジプトに間接的な圧力をかけるられることにあります。

一方でエジプトは近年、近隣国のソマリア、ジブチ、エリトリアとの関係強化を図り、対立勢力の影響力の抑制に努めてきました。イスラエル政権によるソマリランド承認はこうした努力に歯止めをかけ、エジプトは地域への駐留を強めることとなったのです。この競争は、特に海上安全保障、軍事協力、そして地域港湾への投資といった分野において激化しています。この対立の影響は広範囲に及ぶことが考えられます。まず、情勢不安やテロリズム、そして既に内戦に悩まされている「アフリカの角」地域において、軍備と安全保障をめぐる競争が激化する可能性があります。そしてもう一つの問題は、米国、中国、UAEアラブ首長国連邦といった外国勢力がこの戦略的地域に進出しつつあることです。これらの国々が「アフリカの角」において自国の利益を追求すれば、事態が更に複雑化しかねません。

複数の証拠が示唆しているのは、シオニスト政権によるソマリランド承認の動きが単なる外交的動向ではなく、東アフリカと紅海における勢力均衡の変更を狙ったより広範な戦略の一環であったことです。エジプトはこの動きの影響を認識し、この地域における自らの存在感・駐留を強化し、イスラエルの影響力拡大の阻止に努めてきました。この傾向は、今後数年間にわたり「アフリカの角」がエジプト・イスラエル間の地政学的競争における最も重要な舞台の1つとなることを示唆しているのです。

 

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram Twitter