西側の思想家が考える預言者ムハンマド(6)
アメリカ・ノースカロライナ大学の宗教学の教授であるカール・エルンストは、次のように語っています。
「神の預言者たちは、人類の中でも最も完璧な人間と見なされ、神によって、あらゆる逸脱や穢れから守られている。そうでなければ、人類の宗教的、道徳的な指導者にはなりえないだろう。神の啓示によってのみ、世界の過去と未来、創造世界に関する純粋な知識や真理が人類に伝えられる。このような根拠により、ムハンマドのような偉人がアラビア半島に出現したことは、神の人類に対する恩恵の明らかなしるしである」
エルンストは、イスラムに関して多くの研究を行っており、現在はイスラムに関する歴史を研究しています。彼は、イスラムを神秘主義的な側面から見つめ、イスラムほど、冷淡に扱われた宗教はなく、西側で、これほどマイナスに捉えられた宗教はないとしています。エルンストは、イスラムと預言者に関する西側の考え方を改めさせるため、「ムハンマドに倣って」という本を執筆し、2002年にそれを刊行しました。
エルンストはこう語っています。
「イスラムは今日の世界において、2つの側から攻撃を受けており、2本のはさみの刃の間に置かれている。その一方には、欧米で、イスラムに関して無知であるか、悪い見方を持っている東洋学者がいる。彼らはイスラムのマイナスのイメージを広めようとしている。もう一方は、アルカイダやタリバン、ワッハーブ派といったイスラム諸国の過激派である。彼らは西側メディアの格好の材料である。この中で踏みにじられているのは、今日の世界で生活している何億人というイスラム教徒である。彼らは西側の文明社会に受け入れられず、一方で、ビン・ラディンのような暴力的な思想をも受け入れることができない」
「ムハンマドに倣って」という本の中で、エルンストは、西側に対し、「あなた方はイスラムの預言者を無知というカーテンの裏から見ているが、イスラム初期、キリスト教徒もユダヤ教徒も、そのような預言者の姿を提示していなかった」と伝えようとしています。
彼は次のように語っています。
「ムハンマドほどの完璧な人物について、彼を一部の出来事だけを見て紹介することはふさわしくない。預言者イーサーの生涯を紹介する中で、彼の両親や職業について語るだけでは不十分なのと同じである。そうではなく、預言者を芸術的な作品を通して知ったらよいだろう。イスラムの預言者に関する作品は数多く存在する。ある書道作品には、神の言葉として、次のようにある。『預言者よ、我々は世界の人々への慈悲としてのみ、汝を遣わした』 また、預言者の娘婿にあたるイマームアリーは、預言者の精神について、次のように語っている。『ムハンマドは、背丈は平均的、髪はくせ毛で太ってはいなかった。顔は丸くて白く、黒くて大きな目をしていて、まつげが長かった。彼の表情は満月のように輝いていた』 このような表現は、イスラムの預言者が、神のもとで高い地位を有していたことを想起させるものだ。彼はムハンマド、慈悲の預言者である」