アメリカの犯罪対策(音声)
(last modified Tue, 14 Feb 2017 09:45:47 GMT )
2月 14, 2017 18:45 Asia/Tokyo

アメリカのトランプ大統領が、同国の犯罪の増加を抑制するために、三つの実行令を出しました。

一つ目は、司法関係者に対する犯罪を行った人を追及するための検事総長の任命、二つ目は、アメリカ社会における犯罪を減らし、公共の治安を取り戻すための検事総長を初めとする作業グループの創設、そして三つ目は、麻薬カルテルなどの多国籍の犯罪組織の殲滅となっています。

「アメリカ社会は現在、世界の国の中でも最も犯罪の多い社会の一つであり、世界で最も多くの収監者を有している。さらにアメリカでは3人に2人が銃を携帯しており、世界で最も国民が武装している国と見なされている。これにより、アメリカはスイスに次いで、人口比で銃撃による最多の被害者を出している。さらに、アメリカは、世界最大の麻薬消費市場であり、麻薬カルテルや国際犯罪組織の多くがこの国で活動している」

アメリカのオバマ前大統領はこのように述べています。

「我々はカリフォルニアで起こった事件と同様、集団殺害の問題が日常化することを受け入れることができない。私の優先事項は、何よりもアメリカ市民の健康と安全を確保することだ」

アメリカ問題の専門家、アボルファトフ氏は語っています。

「アメリカ大統領の多くは、とくにその任期が始まった際に、犯罪に対抗するための措置を講じる。このためトランプ氏が任期の開始に実行命令を出したことは、想定外の措置とは見なされない。だが、アメリカの治安確立に向けた同国政府高官の過去の措置にもかかわらず、これらの計画の多くがほぼ失敗している」

統計が示しているように、アメリカの各都市での犯罪率、さらに銃撃事件から生じた人的被害は、ここ数年、著しく増加しています。

2017年だけで、シカゴではおよそ1000人が銃撃で死亡していました。この統計が示しているのは、一部の都市で死亡したアメリカ人の数が、アメリカの国外での戦争で死亡した兵士の数を上回っているということです。これにもかかわらず、アメリカ政府は銃規制を強化するための具体的な措置や、真剣な意志を示していません。

こうした中、トランプ政権は明らかに、国内の銃器の製造や売却に関わるロビーの影響を受け、銃協会に支持されています。少し前にも、議会で共和党は、精神疾患者への銃の売却制限さえも、差別を理由に無効としました。麻薬密売対策の関係者が、国際的な麻薬組織と協力を行っていることを示す多くの証拠もあります。そうでなければ、アメリカは、世界最大のアヘン消費市場になることはなかったでしょう。同時に、ここ数年のアメリカ国内での数十万人の雇用喪失や経済問題も、この国での犯罪を増加させる下地を拡大しています。黒人が多く居住する一部の地域では、若者たちは犯罪組織に関わる以外に生計の手段を持ちません。彼らの多くが最終的に警察や、ライバルとなるマフィアとの衝突で命を落としたり、刑務所に収監されたりしています。

このことから、銃器がアメリカできちんと管理されない形で売却され、犯罪の経済的、社会的要因が見逃され、責任者が正しく義務を遂行しない限り、アメリカ大統領が実行令を出したところで、この国の暴力や違法行為はなくならないと思われます。

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