1月 25, 2020 22:18 Asia/Tokyo
  • イランによるアサド空軍基地への攻撃
    イランによるアサド空軍基地への攻撃

イランは今月8日、イラク領内にあるアサド米空軍基地をミサイル攻撃しました。これはイラン革命防衛隊ソレイマーニー司令官らを暗殺した米国への報復を意味する厳しい攻撃でした。

米トランプ大統領は当初、イランのミサイル攻撃による米側の死傷者はなかったと主張していました。その一方で、米政府は兵士の負傷者発生の事実を五月雨式に認めています。これに関して、米国防総省は、アサド空軍基地に対するこの攻撃で米兵34人が脳震盪や脳損傷を起こしていた事実を認めました。米国防総省のホフマン報道官は「すでにドイツに搬送されていた米兵8人は、現在はアメリカに搬送されている」と表明しました。

これに先立ってエスパー米国防長官はイランのミサイル攻撃による人的被害をめぐり、情報や統計の開示を控えています。

トランプ大統領はこれ以前に記者会見で、「自分はアサド空軍基地の米兵が頭痛やその他のトラブルを抱えていることは聞いていた。自分が発言できる事、報告できる事はそれらが大した事ではなかったということだ」と述べていました。同大統領は以前に、アサド空軍基地へのこの攻撃による負傷兵士はゼロだった」と主張していました。

米国防総省はイランのミサイル攻撃から数日後に、まずこの攻撃で少なくとも16人の米兵が負傷したことを認めました。また、中東に駐留する米中央軍・CENTCOMも声明を発表し、これに関して米兵11人がイラク国外で治療を受けているとしています。

米国防総省がこの問題に関する新たな統計を発表したことは、トランプ大統領の当初の主張とは逆に、イランのミサイル攻撃により相当数の米兵が被害を受け、しかも彼らの一部が重症であることを物語っています。

トランプ大統領

 

トランプ大統領は、第2次世界大戦後に初めて米軍基地が他国軍から攻撃を受けた後、米国の威信や名声を維持すべく、意図して今回の攻撃で米兵への被害はなかったとしました。また、トランプ大統領がこの攻撃による被害を取るに足らないものとして見せようとしたもう1つの理由は、イランとの対決の回避にありました。これはイランとの対決は、米自身や地域の同盟諸国に多大な危険や悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

しかし、この問題に関するトランプ政権の対応は、特に同国民主党から大きな批判を受けました。米民主党のマーフィー上院議員は、イランのミサイル攻撃での負傷者数が34人に増加した事に反応し、「トランプ政権は、対イラン抑止力を復活させたことを主張せんがためにアサド空軍基地へのミサイル攻撃に関する情報を改ざんした」と非難し、「トランプ政権はこの問題を隠蔽し続け、対イラン抑止力を復活させたとの主張を通そうとしていた」と語りました。

また、今年の米大統領選出馬を表明しているエリザベス・ウォーレン民主党議員も、トランプ大統領の隠蔽工作を批判し、米国による戦争を収束させる必要性を強調しました。同議員はまた、ツイッター上で「トランプ大統領はイランとの衝突に拍車をかけたが、その次にはその衝突で負傷した米兵の負傷状況を隠蔽し、また現実よりも過少に提示しているが、これは恐るべきことだ」と非難しました。

イランによる対アサド空軍基地攻撃による負傷者数をめぐるニュースが一度に発表されなかったことは、トランプ政権がイランの報復攻撃で発生した人的被害を最大限に隠蔽する政策を、今後も敢えて継続しようとしている事を示しています。今年の米大統領選挙に出馬を表明しているジョー・バイデン民主党候補は、このミサイル攻撃の様々な側面をトランプ大統領が隠蔽しようとしている事を指摘し、「トランプ大統領はこの問題を非常に単純に捉えているが、私が見る限り、この態度は忌まわしい」と語りました。

結局、今回の問題は現在のみならず、近い将来、そして今後の米大統領選においても、トランプ大統領の大きな弱点となりかねない、様々な問題に関する虚言癖という、トランプ大統領の常套手段の最たるものだったと言えるでしょう。

 

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