OPECプラス会合
視点：OPECとロシアによる1000万バレルの減産合意
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OPEC
OPEC石油輸出国機構及び、ロシア主導の非OPEC産油国で構成するOPECプラスは、9日木曜に緊急テレビ会議を行い、原油生産・供給量を1日あたり1000万バレル削減することで合意しました。
この減産計画は今年の5月と6月に実施されます。 イランのザンゲネ石油相は、「今年7月～12月まで、日量800万バレルの減量が提案されており、この量で了解されている。2021年1月～22年4月までの16ヶ月間は、日量600万バレルが減産される計画だ」とし、イラン、ベネズエラ、リビアは当然のことながら除外されていると述べました。
この合意により、サウジアラビアとロシアはそれぞれのグループ内で最大の石油生産国として、各々日量850万バレルを削減しなければなりません。そうすればこの2大石油輸出国の削減率は約23％になります。
この削減量は、カナダ、ノルウェー、ブラジル、さらには米国などの国が削減することになっている供給量とは別枠です。 これら諸国は産油量削減の用意があることを表明していますが、米国には産油量を削減する意思があるようには見受けられません。 現在アメリカは、シェールオイルの生産があることで世界最大の石油生産国となっています。
世界での新型コロナウイルスの大流行と世界の何十億もの人々が隔離状況に置かれていることにより、世界の石油需要はここ数週間で、1日あたり約3,500万バレル減少しています。 さらに、今年3月初旬にオーストリア・ウィーンでのOPECプラスの決裂後、ロシアとサウジ間で起こった原油価格戦争は、過去18年間で前例のない原油価格の急落を招きました。 新型コロナウイルスの流行、そしてサウジとロシアの間の価格戦争と原油増産により、2020年の世界の原油価格はそれまでの約3分の1にまで落ち込みました。
需要の減少を考えると、減産量をめぐり産油国が合意したとしても、それは市場の安定にあまり効果はないでしょう。OPECプラスの協定は、原油価格のさらなる下落とその加速に歯止めをかけることができるかもしれませんが、 ザンギャネ石油相は、OPEC事務局の見込みでは、5月に日量1,500万バレルの減産が実現しない限り供給過剰となり、原油市場は価格面で深刻な打撃を受けるだろうとしています。
原油市場のアナリストによりますと、原油価格の急落は、産油国の経済的安定と米国でのシェールオイル企業の継続的な活動を脅かしています。 この問題は米国の強い懸念を招いています。
一方で、米トランプ大統領は、石油価格の引き下げは自国の消費者にとって望ましいことからこれを支持しており、その結果、2020年11月の大統領選挙で自らの得票につながることを期待しています。その一方で、石油価格の下落傾向が続くことは、米国のシェールオイル企業にとっては、非常にコストがかかり、破産につながる可能性もはらんでいます。トランプ大統領は、米国が現代の石油戦争で主な犠牲者になる可能性も認識していることから、ロシアとサウジの仲介役になろうとしています。トランプ大統領は9日木曜、サウジのサルマン国王及びロシアのプーチン大統領と、原油生産について電話で話し合ったと発表しました。
ロシアは、現在の不安定な石油情勢について繰り返しサウジを非難しており、原油問題及び原油価格への同国のアプローチ変更を求めています。それとは対照的に、サウジは現在の石油情勢の混乱の原因はロシアにあるとしています。 いずれにせよ、合意に達し原油価格戦争を終わらせるための両国に対する米国の圧力、加えて他のOPECプラス諸国の懸念と圧力が、9日の合意を実現する上で重要な役割を果たしました。
しかし、石油専門家は今回の合意をもってしても、新型コロナウイルスの流行により数十億人が自宅待機を余儀なくされ、世界の原油生産量が日量1,000万バレル下がったところで、石油価格の上昇には貢献できないと考えています。
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