視点;協調減産の延長に合意したOPECプラス  
(last modified Sun, 07 Jun 2020 12:05:29 GMT )
6月 07, 2020 21:05 Asia/Tokyo
  • OPEC
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今年3月初旬にOPEC石油輸出国機構とそれ以外の産油国、いわゆるOPECプラスの交渉の決裂後のサウジアラビとロシアによる原油価格戦争、また新型コロナウイルスの蔓延とそれに伴う原油の需要の大幅な減少により、原油価格は過去1年半で前代未聞の最安値を記録しました。

この問題が生じたことから、産油国は一連の行動を起こし、石油市場の安定回復に向けた措置に踏み切りました。そして最終的に今年4月には、OPECプラスを構成する23カ国は、日量970万バレルの減産で合意しています。この合意において、メキシコは自らの産油枠の40万バレルの削減というほかのOPEC諸国の主張に抵抗した後、最終的に今年5月と6月の2ヶ月間にわたり日量10万バレルの減産を受諾しました。OPEC13カ国のほか、ロシアなどのOPEC外産油国の間の共同政策や協議は、いわゆるOPECプラスとして知られています。

現在、新たな合意においてOPECプラスは今月6日夜、1日当たりおよそ1000万バレルの減産という措置を、来月末まで延長することで合意しました。これらの国の石油相らは、テレビ会合において、今回の合意を成立させています。

産油国間の減産量は、今年7月1日から12月末日までは日量770万バレルに緩和されることになっていましたが、OPECプラスはそれまでの減産水準を来月末日までの延長を決定しました。さらに、OPECプラスはイラク、ナイジェリア、カザフスタンなど、自国の産油枠を遵守できなかった国に対し、7月から今年9月までの期間にその分を埋め合わせるよう義務付けています。

OPECプラスは、今回の措置により新型コロナウイルス蔓延の影響で前代未聞の値下がりを記録した原油価格が、再び上昇するよう希望しています。アルジェリアのムハンマド・アルカブ・エネルギー大臣兼石油輸出国機構(OPEC)今期議長は、今年の上半期においては世界の原油備蓄が15億バレルに増加することを指摘し、加盟国に対し、現在状況に進展が見られるものの依然として、課題が山積しているとして警告しました

OPEC外の最大の産油国・原油輸出国であるロシアは、今回の合意に鑑み、今後の石油市場の状況を楽観視しています。また、自らが必要とする外貨の確保のために、原油収入に大きく依存しています。ロシアのノヴァク・エネルギー相は6日土曜、OPECプラスの協議の終了に際して、「世界市場における原油需要は、OPECプラスの合意および、新型コロナウイルス蔓延によるロックダウンの緩和措置により増加してきている」と語りました。

ロシアの石油当局の視点からは、石油の減産に関する産油国間の共同措置は石油市場にプラスの効果をもたらしている、と見られています。しかし、ロシア政府は世界での原油市場の脆弱な実態や、これに対する支持の必要性に関して警告しています。ノヴァク大臣は「国際石油市場にとって、今年4月は史上最悪の月だった」とし、石油市場の状況回復の兆しが明らかになってきていることに触れ、OPECプラスの全メンバー国によるその合意実施の必要性を強調しました。

にもかかわらず、数々の抗議が今から始まっています。OPEC外の主要な産油国の1つとされるメキシコなどの国は、自らの減産枠の遵守を渋っています。メキシコのナーレ・エネルギー大臣は6日夜、「わが国は、国際石油市場の調整や石油価格の上昇を狙いとした産油国による今年7月末までの減産合意には従わない意向だ」と語りました。

石油の協調減産措置は、原油価格の暴落やアメリカの石油産業の停滞、そして同国大統領が産油国に減産を迫ったことを受けて講じられたものです。原油の値下がりにより、アメリカとカナダが主に生産するシェールオイルは経済的に割りに合わなくなり、また原油価格の減少傾向が続いたことからそれらの企業は経営破たんに追い込まれる可能性がありました。そして今なお、原油価格の大幅な落ち込みはそうした企業に甚大な損害を引き起こしています。

現在、OPECプラスの合意に鑑み、産油国のみならず、シェールオイル企業も幾分救われる、との希望が出てきています。しかし、新型コロナウイルスの拡散が世界経済に悪影響を及ぼし、世界の大半の国で大量の失業者や経済不況を引き起こしていることから、原油需要の増加、そしてそれに伴う原油の値上がりのプロセスは非常に鈍いものとなっています。このため、この期間中の石油の減産は、OPECプラスが講じた、原油値下がり阻止のために重要かつ効果的な措置だと言えるのです。

 

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