米の対イラン制裁再発動を日本報道各社が伝える 共同通信:「世界は米の措置を支持していない」
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ポンペオ国務長官
トランプ米政権は19日午後8時(日本時間20日午前9時)、対イラン国連制裁が全面復活したと表明しました。報道各社や各方面はそろって、その有効性を否定しています。
共同通信はこれについて、「イラン核合意の当事国や国連安全保障理事会の議長国は米国の主張を認めていない。トランプ政権は2018年に核合意から一方的に離脱。当事国の英仏独とロシア、中国は核合意維持で一致しており、国連制裁復活を主張する米国に同調する動きは国際社会で広がっていない」と伝えています。
NHKは、「国連安全保障理事会の多くの国はすでにアメリカは核合意から離脱しているため無効だという立場で、イランへの圧力を強めたいアメリカの単独主義的な行動が際立いる」「国連は5年前のイランの核合意を受けてそれまで科してきた多くの制裁を停止し、来月には合意にしたがってイランに対する武器の禁輸措置も解除する予定。しかしトランプ政権は武器の禁輸措置の継続を含む国連制裁の再発動を求め、先月、国連安保理に制裁を復活させる手続きをとったと一方的に通告していた。これに対し、国連安保理の多くの国はアメリカはすでに合意から離脱しているため無効だという立場で、今回のアメリカの宣言も受け入れないとみらる」としています。
朝日新聞は、「安保理の15理事国のほとんどは『イラン制裁を離脱した米国の手続きに正当性はなく、無効』という見解を示しており、米国の孤立が際立っている」「2015年にイランと米英仏独中ロが結んだ核合意を受けた安保理決議では、核合意に不履行があった場合、06年以降の対イラン制裁を復活できる規定がある。条件は、核合意の『参加国』が安保理に通知し、安保理が通知から30日以内に制裁の解除を続ける決議を採択しないことだ」と説明しています。
時事通信は、「国連安保理理事国の大半は、制裁再発動に向けた米国の一方的な手続きを無効としており、国連加盟国の多くは従わないとみられている」としています。
日本経済新聞は、「イランの核開発や武器調達を阻止する狙いだが、欧州やロシア、中国は制裁復活を認めない考えでイラン包囲網は広がりに欠ける」と指摘しています。
一方、コロンビア大のゲイリー・シック教授は「米国がこれ以上制裁を科せるものは非常に少ないためイランへの影響は小さい」と述べています。
米国はこれまでに、イラン経済に打撃となる石油や金融部門を制裁対象に指定していました。しかしイランは中国やロシアと経済・軍事協力を深めており、両国が対イラン制裁に同調しない限り効果は薄いとの見方が大勢を占めています。
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