核合意
IAEA事務局長、「イランはウラン濃縮を拡大すべきでない」
IAEA国際原子力機関のラファエル・グロッシ事務局長が、イラン核科学者テロ暗殺後の緊張激化を懸念しているとの主張のもと、「イラン国民の利益保護および制裁解除に向けた、戦略的措置法の実施は、核合意からの逸脱とみなされる」と語りました。
ファールス通信によりますと、グロッシ事務局長は9日水曜、スカイニュースのインタビューで、ヨーロッパ諸国の核合意内の責務不履行には触れずに、「イランは、IAEA査察官追放やウラン濃縮濃度の強化に関する自らの決定を実行してはならない」と述べています。
また、イラン核科学者のファフリーザーデ氏のテロ暗殺を非難することなく、「今後、このような事件が再発しないよう希望する」とコメントしたにとどまりました。
イラン国防軍需省研究開発機構長官であったモフセン・ファフリーザーデ氏は先月27日午後、テヘラン東部近郊でテロ暗殺され、殉教しました。
英独仏の欧州3カ国は、2018年5月8日にアメリカが核合意から違法に離脱した後、イランの経済面での利益を保障することでこの合意の存続を約束していました。
しかし、これらの国は口頭ではアメリカの行動に抵抗しているものの、この合意維持に向けて約束した内容を実行できていません。
イラン政府も、ヨーロッパ側のこうした約束不履行に反応し、その対抗措置として核合意内に定められた自らの責務履行を段階的に縮小してきました。
これに加えて、イラン国会議員らはファフリーザーデ氏の殉教後、今月8日にイラン国民の利益保護および制裁解除を目指しての戦略実施法案を可決しました。
この法に基づき、イラン原子力庁は3ヶ月以内に制裁が解除されない場合には、同国中部ナタンズにある核施設の地下部分に、最低1000基のIR-2m型遠心分離機を設置し、それらへのガス注入、ウラン濃縮および備蓄を開始することが義務付けられています。
核合意第26条と36条では、イランとこの合意を交わした相手側がその責務を遵守しない場合、イランはこの合意に定められた責務の一部あるいは全部の履行を停止する権利がある、と明記されています。
イランはこれまで、制裁が解除され、核合意による利益を得られるようになった場合には、この合意に定められた本来の責務に復帰する用意があることを強調しています。
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