イマーム・レザーと生活様式(10)
教育とは、人間の持つ才能を育成し、開花させることであり、その人に秘められた潜在的な才能を活かすことを意味します。
もっとも、教育とは継続的、段階的に行われるプロセスであり、時間や場所に捉われることなく一生涯を通して、人間の様々な側面に渡り幅広く行われるべきものである、ということに注目する必要があります。
教育という木がすぐに実を結ぶことはありません。このようなデリケートで複雑なプロセスが一晩や数ヶ月で実現するなどと期待してはなりません。むしろ、子どもが誕生する何年も前から、教育に相応しい下地を整え、誕生してからも根気強く時間をかけて活性させる必要があります。今回は、人間の誕生の前後の2つの段階について考えてみることにいたしましょう。
まず、第1歩は、相応しい配偶者の選択です。イマーム・レザーの見解では、夫にとって、会えるときには夫を喜ばせ、夫の不在中には自らを律し夫の財産を守ることのできる妻ほど、素晴らしい恩恵は存在しません。イマームレザーはまた、結婚に相応しい全ての条件を備えていながら、性格の好ましくない男性が、自分の娘に求婚してきたと話す人物の質問に対し、「その求婚者の性格が悪ければ、結婚させないように」と述べています。
2番目の歩みは、婚礼のしきたりを守ることです。男性と女性は、結婚に関するそのほかのしきたりを守った上で、健全な子どもを授かるよう神に求めることです。
次の段階は、妊娠です。この時期には、配偶者の精神的な状態に注目し、家庭内の安らぎの空間を整え、適切な栄養を摂取する必要があります。さらに、健全で栄養価の高い食物の摂取に加え、果物やそのほかの食べ物をとることは、生まれてくる子どもの人格や将来に影響を与えます。このため、預言者一門は、この時期に特定の食べ物を摂取するよう勧めています。イマーム・レザーは、次のように述べています。
"妊娠中の妻には、フランキンセンスを与えなさい。もし、男の子を身ごもっているなら、心の清らかな人や学者、勇敢な人になる。もし女の子であれば、美しく性格のよい人となり、夫にとって重要な存在となる”
もちろん、こうした性格の形成には、食物の摂取のみならず、そのほかの要素も大きく関係しています。
子どもは、誕生し、新しい世へと足を踏み入れます。子どもの命名もまた、両親の責務のひとつです。いずれの名前や語彙にも意味があり、その美しさは、それぞれの言葉の意味と直接関係しています。良い名前は、誇らしさや栄誉につながり、好ましくない名前は肩身の狭い思いや、時には劣等感の原因となります。名前は、常にその人について回り、その影響は良きにつけ悪きにつけ、その人が一生を終えるまで付随してきます。イマームたちは、自らの子どもによい名前を選び、他の人々にもこれを奨励していました。
新生児を初めとする子どもは、特に母親による注意深い世話を必要とします。体の健康や適切な食事、心の安らぎと健康の維持は、子どもの身体と情緒の発達や精神の成長に大きな影響を及ぼします。特に、周りの新しい環境に馴染んでおらず、あらゆる面でまだ弱く未発達である乳幼児期には、より多くの注意と世話が必要になります。
母親や周りの人々が乳幼児を世話し、その基本的なニーズを満たすことは、子どもの性格を形成する基盤となりえます。それは、子どもが世界に対して楽観的な見方を持つようになるからです。優しくしてくれる存在が常に自分の傍にあり、自分が必要とするときには常にそれが満たされるような世界は、私たちから見れば些細なことかもしれません。しかし、こうした愛情や優しさ、世話が子どもの内面に大きな変化を起こし、最終的にその子どもが世界に対してよいイメージを持つための助けとなります。このため、清らかなイマームたちは、このことを強く奨励しています。心理学者も、欲求が満たされることは成長や行動、健康、鍛錬、そして自己認識の源であるとし、これが守られるべきであることを認めているのです。
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