イラン水彩画展で描かれたイランの庭園
(last modified Thu, 18 Jan 2018 11:31:26 GMT )
1月 18, 2018 20:31 Asia/Tokyo
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    イラン水彩画展で描かれたイランの庭園

昨年12月の29日から、テヘランで、「水彩画家が見たイランの庭園」展覧会が開催されています。

この展覧会では、イランの水彩画家の作品が展示されています。この時間は、イランの庭園と水彩画という2つの芸術についてお話しましょう。

 

水彩画家が見たイランの庭園展覧会では、コンペティション部門に45作品が展示されているほか、30点のイラン人水彩画家の優れた作品が紹介されています。また、イランの水彩画家の優れた作品を含む、イランの庭園に関する書籍の出版記念式典が開催されました。イランの庭園に関する書籍には、イランの庭園からインスピレーションを得た、優れた水彩画が掲載されています。

 

2016年、芸術フェスティバルの開催が決定され、これを受けて、イランの庭園をテーマとした第1回水彩画フェスティバルが開催されました。2度目のフェスティバルの審査団は、イランの庭園を描いた水彩画の中から5作品を、優秀作品に選びました。

イラン水彩画展で描かれたイランの庭園

 

水彩画の歴史は非常に古く、旧石器時代のヨーロッパで洞窟に描かれた絵にまでさかのぼると見られています。少なくとも、エジプト王朝時代から、水彩は写本作成のために使用され、特に中世ヨーロッパでも使用され続け、現在に至っています。

 

ドイツの画家アルブレヒト・デューラー は、植物、動物、風景のすぐれた水彩画を残し、水彩画の最も初期の作家で、この芸術を広げた人物と考えられています。ドイツのハンス・ボルをはじめとする重要な水彩画の流派が、ルネサンス技術の一部として導かれました。

 

植物の絵は、常に、水彩画家の間で最も称賛されてきました。現在、水彩画は、正確で理想的な色を作り出すことから、学術的な挿絵や博物館の出版物に利用されています。水彩画の中には、自然や庭園の景観とともに、独創性を物語る作品も見られます。

 

水彩画芸術の明らかな特徴は、そのテクニックです。水と絵の具のみを使った芸術家のテクニックにより、さまざまな作品が生み出されており、そのそれぞれが、美しい魅力を映し出していると言えます。

 

イラン水彩画展で描かれたイランの庭園

ここからは、イランの庭園の歴史を振り返ってみましょう。

 

イランの庭園は、建築とそれを構成する要素、つまり、水、木、中央にある簡易建造物などをもとに、主にイラン高原やその周辺で、文化の影響を受けて広まった庭園のことを指します。

 

イランの庭園は、3つの構成要素を有しています。まず、水の流れるルートに沿っていること、背の高い壁があること、庭園の中に池があり、夏を過ごすための建物があることです。

 

イランの庭園は、カナート・地下水路の出現の歴史と関係しており、イランの最初の庭園は、カナートの出口に作られました。このタイプの庭園は、タバス、ヤズド、ビールジャンド、その他の砂漠地帯に見ることができます。

イランの庭園、テヘラン

 

イランの庭園の秩序を描いた最古の資料は、サーサーン朝時代のものです。ターゲボスターンのレリーフには、ホスローパルヴィーズの狩猟の場面、彼の狩猟と庭園のデザインが示されています。このレリーフは、庭園のデザインとその機能をある程度明らかにしています。これらの庭園は、文化と自然の密接な関係を物語っており、自然と人間のニーズの調和を示しています。

 

イランの庭園は、イランの文明と文化の最大の成果のひとつであり、長い間、イランの人々の世界に対する見方、創造世界に対する考え方を形作ってきました。イランの庭園は、イラン人の自然に対する理解や考え方によって生まれたものです。

イランの庭園、

 

この時間は、イラン水彩画展で描かれたイランの庭園についてお届けしています。

 

イランの庭園の幾何学的な最もシンプルな原則は、庭園の中央を軸にし、縦に平行になっていることです。通常、その軸の両側には背の高い木が植えられています。庭園の秩序は、幾何学に基づいて対称になっています。

 

イランの庭園の形は、水、植物、建築を含んでいます。これらはイランの絨毯でも見られるもので、水、植物、建築といった要素は、イランの絵画にも存在し、イランの庭園の理想的なイメージを提示しています。

 

かげを作るために、イランの庭園には木が使われています。両側の2つの道には、影をたくさん作るため、細い通路が作られており、木の陰が通路の全体にいきわたるようにされています。木は通常、中央の軸となる庭園の通路の傍らに植えられ、杉、松、プラタナス、セイヨウハナズオウが使われています。

 

木のそばには花が植えられています。これらの花は香りをたたせるとともに、その花びらからお菓子やジャムが作られ、その一部は薬用にも使われていました。

 

イランの9つの庭園と、インドの2つの庭園、パキスタンの庭園の一つを合わせたものが、2011年にユネスコの世界遺産に登録されました。これらの庭園は、シーラーズにあるパーサールガードとエラム庭園、イスファハーンのチェヘルソトゥーン庭園、カーシャーンのフィン庭園、ベフシャフルのアッバースアーバード庭園、マーハーンのシャーズデ庭園、ヤズドのドウラトアーバード庭園、メフリーズのパフラヴァーンプール庭園、ビールジャンドのアクバリーエ庭園、ニューデリーのフマーユーン廟、ラホールのシャーラマール庭園となっています。

イランの庭園、パーサールガード

 

これらの庭園は、イランの庭園の独自のスタイルとその内容を理由に、世界遺産に登録される価値のあるものと認められ、そのすべてに建物や木、大きな庭園がありました。しかし、これらの庭園の中でも、パーサールガード庭園だけは木が一本もありません。

 

パーサールガードの庭園には木が一本もありませんが、実際、この庭園は、考古学研究のための庭園として知られています。

 

歴史資料によれば、この庭園は、アケメネス朝のキュロス王によって直どのように作られるべきか、木はどのような形で植えられるべきかが指示されました。この空間の構造は、キュロス王によるイランの庭園を意味するものとなっています。

 

考古学調査や歴史資料に基づいた分析は、パーサールガードの建物すべては、秩序だった空間構造の中に建設されており、大きな庭園が、すべての要素を包み込んでいることを物語っています。

 

庭園は包括的なイメージを持っています。何世紀にもわたって内面的な見方を取り、イランの文化の一部と見なされています。庭園は、自然の象徴や魂と見なされています。庭園や植物は、衣服、じゅうたん、書物の表紙、タイル細工などの芸術の中にも見られます。

 

庭園とその複雑な結びつきは、モウラヴィー、サアディ、ハーフェズといったイランの偉大な詩人たちに隠喩の世界をもたらしました。これらの詩は、庭園のイメージを使って美しい詩をうたっています。