最高指導者によるハッジ・メッカ巡礼者へのメッセージ
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、神の家・カアバ神殿の巡礼者へのメッセージの中で、ハッジ・メッカ巡礼の宗教義務を実施するために集まる不変の場所の決定は、イスラムの共同体作りとイスラム教徒の統一のための象徴であるとし、イスラム教徒の間におけるアメリカの好戦的な政策に触れ、「賢明さを保つことによって、この悪魔の政策を退けるべきであり、メッカ巡礼と多神教徒に嫌悪を示す儀式が、この賢明さの下地となる」と強調しました。
20日月曜朝に発表されたハーメネイー師のメッセージの内容は、以下の通りです。
慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において
賞賛は神のみのものである。預言者とその善良で清らかな一門、預言者の善良な教友たちに平安あれ。
至高なる神は仰った。
「人々に巡礼するよう呼びかけなさい。彼らは歩いて、また痩せたラクダに乗って、遠い谷間の道を通って、はるばるあなたの元に来る。それは彼らの利益を自分たちで感じるため、また定められた日の間、神の名を唱えるためである」
この天の響きは今も人々の心に呼びかけ、何世紀もの時を超えて、唯一神信仰を中心に集まるよう人類をいざなっている。すべての人が、この預言者イブラヒームの呼びかけ、この栄光の対象である。たとえ、それを聞こうとしない人がいたり、怠慢や無知に覆われた心にそれが届かなかったとしても、またたとえ、この永遠の世界的な宴に入る心の準備ができていなかったり、とにかくあらゆる理由から、それが不可能だったとしてもである。
現在、あなた方はこの恩恵を享受し、神の安全な土地に足を踏み入れている。アラファート、マシュアル、メナー、サファー、マルヴァ、そして夜に滞在する儀式、ハラームモスク、預言者モスク、これらの儀式と集合場所のすべては、それぞれがメッカ巡礼者にとっての精神性と精神的な成長のための鎖のひとつであり、この恩恵の価値を知り、それを自らを清めるために利用し、残りの人生のための糧にすべきである。
思考する人間の好奇心が煽られる重要な点は、これまでずっと、すべての人々や世代のために、不変の集合場所が、特定の時期、特定の場所に定められてきたことである。この時期と場所の統一は、メッカ巡礼の宗教儀式の最大の秘訣である。明らかに、コーランの「それは彼らの利益を自分たちで感じるため」という部分は、神の家の傍らで、イスラム共同体が一年に一度、一堂に会することを表している。これは、神の家の恩恵のもとに行われるイスラム共同体の構築の象徴であり、イスラムの統一の秘訣である。神の家はすべての人に属するものである。
「われらが人々のために、そこの居住者であろうと、砂漠から来た者であろうと等しくした」
メッカ巡礼は、この場所で、この特定の時期に、常にこれほど長い年月に及び、明白な論理と言葉によって、イスラム教徒に統一を呼びかけている。これは、常に、特にこの時期にイスラム教徒を互いに対立させてきた、そして現在もさせている、イスラムの敵の望みの対極にある。現在、高慢なアメリカの行動を見るがよい。イスラムやイスラム教徒に対するアメリカの主な政策は好戦主義である。その穢れた努力や要求は、イスラム教徒を互いに殺害させることにある。抑圧者に被抑圧者を苦しめさせる、圧制者を支持する、圧制者の手で虐げられた人々を残忍に弾圧させる、この恐ろしい陰謀の炎を常に煽る。イスラム教徒は賢明さを保つべきであり、この悪魔の政策を退ける必要がある。メッカ巡礼はこのような賢明さの下地作りであり、これこそが、メッカ巡礼における高慢な者たちや多神教徒に嫌悪を示す儀式の哲学である。
神を思い起こすことは、メッカ巡礼の精神である。どのような状態にあっても、この慈悲の雨によって心に活力とみずみずしさを与え、美、正義、繁栄、力の源である神への信仰と信頼を心に根付かせるがよい。そうすれば、敵の策略に打ち勝つことができるだろう。メッカ巡礼者諸君よ、シリア、イラク、パレスチナ、アフガニスタン、イエメン、バーレーン、リビア、パキスタン、カシミール、ミャンマー、その他の地域の虐げられた人々とイスラム共同体のために祈ることを忘れてはならない。アメリカをはじめとする高慢な者たちやその協力者たちの手が断ち切られることを、神に求めるがよい。
神の慈悲があなた方に降り注がんことを
セイエド・アリー・ハーメネイー
イラン暦1397年モルダード月28日
1429年ゼルハッジャ月7日