ノウルーズ便り⑤ 人間と自然の祝祭 (動画)
イランは今、最大の国民の祝祭のひとつである新年、ノウルーズを迎えています。
ノウルーズは、自然、感情、社会と関わる美しい物語です。
何世紀にもわたってイランで行われてきたノウルーズは、生命の祝祭であり、空と大地の喜びの日、再生の興奮に溢れた情熱と開花の祝祭です。ノウルーズは、人間と自然の共存という大きな記憶を再確認する日です。イランでは、ノウルーズは創造物が誕生する日、イランの人々の幸福の祝祭とされています。
ノウルーズは、自然が生まれ変わり、春が始まるときの出来事です。イランの文化において、社会の建て直しと文化の改革は、自然の再生を伴うものです。ノウルーズは実際、自然と文化の結びつきを示しています。この大きな祝祭において、人間は自然や社会と一つのバランスに到達します。ノウルーズは実際、人間と自然の共通の運命を想い起し、人々と自然の関係を見直す機会なのです。
人間と自然の結びつきは、伝統的な考え方や社会の文化において、様々な形で常に存在してきました。特に、自然の象徴の存在は、文化的な儀式の中に見ることができます。例えば、ノウルーズの飾り物であるハフトスィーンには、青草、リンゴ、ほそばぐみ、にんにく、あるいは水や金魚といった自然の要素が見られます。ハフトスィーンの金魚は、喜びと活力の象徴であり、水は生と清らかさの象徴です。
こうしたことに注目すると、現在、世界において重要性が高くなっている環境や自然への関心は、遠い昔から、イランの社会に存在してきたと言えるでしょう。特にノウルーズには植物や自然に価値が置かれています。イランの地理的な多様性もまた、このような考え方が、イランの各地で様々な形で表れる要因となっています。
山や森林、滝や湖といった美しい自然の景色は、一年を通して人々を癒してくれるものですが、特に一年の始まり、ノウルーズの時期には独特の趣を持っています。人々は自然の中でくつろぐことで、実際、そのような美しい自然とそれを創造した神を称賛し、みずみずしい自然からエネルギーを得、一年の始まりにそれを眺めながら過ごします。
ノウルーズは人間に、自然の価値を知るよう教えています。人間は地球をすべてに属するものと考え、その保護に努めなければなりません。ノウルーズの自然は、人間に、果実、影、空気、美しさ、清らかさ、枯れた木の枝を利用するようにと教えています。これは人間に与えられた権利ですが、神はそれを利用するとともに、保護するよう、人間に委ねたことを忘れてはなりません。
現世に囚われ、感謝を忘れる人間は、多くがその義務を忘れてしまいます。ノウルーズは実際、人間が再び、自然の重要性を知り、そこに戻り、その再会を祝うための機会です。人間は母親の愛情を受ける子供のように自己を見出し、喜びを溢れさせ、再び生きる力を取り戻します。そのため、ノウルーズは常にすべての人との友好を、そして何よりも、今日の世界で最も必要とされる人間と自然の融和を呼びかけています。現在人間は、自然への暴力によってすべてのものを危険にさらしています。
人間と自然の関係を示すノウルーズの美しい儀式の一つは、ノウルーズに別れを告げるスィーズダべダルです。これはイランのすべての民族に共通する最も重要な儀式です。スィーズダべダルは、春の祝祭です。自然に緑がよみがえり、自然もまた、人々を自らの方に呼びます。この日、イランの人々は、新年のあいさつと訪問を終え、その喜びを完成させるかのように、ファルヴァルディーン月13日に外出して自然の中で、この日の儀式を行います。イランのすべての都市や村では、家族が昼食を用意し、それを持って自然の中へと出かけます。もし家族が何等かの理由で一日を自然の中で過ごすことができなくても、この日は午後のわずかな時間でも、自然の中に出かけるべきだと考えられています。
とはいえ、現在、産業や職業の変化、都市の拡張、住宅の建設といった要素により、緑の空間が減っているため、人々は自然の中で過ごすために、遠くまで出かけていかなければなりません。それでもなお、人々は自然の中へと出かけようとします。研究者たちは、ノウルーズとスィーズダべダルの伝統的慣習を実施することは、実際、人間と自然の関係を築き、神の恩恵への理解を深めることにつながり、そのために、それを保護することは、人間と未来の世代のためになるとしています。そのため、近年、スィーズダべダルは、自然との和解の日と呼ばれています。
自然の保護と人間の生活におけるその重要性が提示されているこの数十年、その事実はさらに顕著になっています。自然はイランで常に大切にされ、人々もその保護に努めてきました。何世紀もの時を経た現在、環境保護の重要性が改めてイランの人々に注目されています。なぜなら、社会の健全性や発展、平穏は、自然と結びついているということに気づいたからです。
人間の生活は、自然や環境と結びついており、それを除外することはできません。自然は人間がいなくても生き続けることができますが、人間は自然がなくては生きることができません。自然を保護する社会では、人間は自然がなければ何の価値もないと考えられています。そのため、自然を保護することは、人間の最も重要な責務のひとつだと言うべきでしょう。
しかし、残念ながら今日、世界の多くの場所で、自然に関して語られる事柄は心を痛めるものです。人間は多くの悲劇を生み出し、無慈悲に自然を破壊し、消滅させています。環境、人間の福祉、生物の多様性に関する国連の最新の研究報告によれば、人間が過去50年に世界の生物の多様性に及ぼした損害は、これまでの歴史で最悪のものでした。このような流れが続けば、人間は世界における最も大切な恩恵を失うことになるでしょう。
こうした中、環境保護は、人間の最も重要な責務となっています。なぜなら、人間の生活と同じだけ重要だからです。ノウルーズは実際、この人間の重要な責務を再確認するための機会であり、人間と自然の共存を想い起す日です。私たちの人工的な文明が複雑になればなるほど、自然を理解し、そこに戻る必要性が増していきます。
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