神の最後の預言者であるムハンマド(音声)
(last modified Sun, 19 Jun 2016 08:32:32 GMT )
6月 19, 2016 17:32 Asia/Tokyo

前回に引き続き、イスラムの原則のひとつである預言者の問題と神の最後の預言者であるムハンマドについてお話ししましょう。

神は、使徒たちを通して、そのたびに、さまざまな計画や教えを提示し、それによって人類は少しずつ知識を増やしていきました。こうして人間は、宗教によって、完全かつ包括的な形で提示された思想的な完成と幸福の段階に至ったのです。そして、完成の段階に至ったために、預言者の出現にも終止符が打たれました。イスラムの預言者ムハンマドは、神から、最も優れたメッセージを人類に伝える役目を与えられました。彼は神の最後の預言者であり、彼の書物は、最後の天啓の書であるコーランです。神は、コーラン第6章アル・アンアーム章家畜、第115節で次のように語っています。

 

「また、汝の主の言葉は、正しさと公正の中で実現された。彼の言葉は変更されない。彼は全てを聞き、知っておられる」 

 

神の最後の預言者が現れたことで、これ以上、預言者は遣わされなくなりました。この段階で、導きの明かりは、最も優れた道徳的、人間的性質を備えた人物の手に委ねられました。聖典コーランは、この人物が持つ美徳を賞賛し、彼を世界で最も美徳を備えた人物と呼んでいます。コーランによれば、預言者ムハンマドは、2つの優れた特徴を有していました。ひとつは、敬虔な人々に対して、非常に寛容かつ謙虚であったことです。コーランは、もしムハンマドの美徳や善良さがなかったら、人々は彼のもとを去っていっただろうとしています。預言者ムハンマドの2つ目の特徴は、不信心者や圧制者に抵抗し、彼らに厳しい態度で接していたことです。

 

ではなぜ、イスラム教徒は預言者ムハンマドが最後の預言者であると信じているのでしょうか?

 

預言者ムハンマドが人々のもとに遣わされたのは、無明や圧制がはびこっていた時代でした。ムハンマドが預言者に選ばれたことで、明るい光が差し、人々はまたたくまに彼に魅了され、ムハンマドは善良な人々の注目を浴びるようになりました。

 

預言者ムハンマドは、常に、様々な階層の人々に好ましい態度で接していました。中には、こうした預言者の寛容な態度を悪用していた人もいたほどです。預言者ムハンマドに関するあるエピソードをご紹介しましょう。

 

ある日、ユダヤ教徒の男が、預言者に数ディナールの金を貸していると主張しました。そのため、預言者のもとにやって来て、それを返してほしいと言いました。預言者は、「あなたの主張が本当だとしても、私には持ち合わせがない」と言いました。ユダヤ教徒の男は、「金を返してもらうまでここを離れない」と言いました。預言者は彼にこう答えました。「私もあなたの横に座っていることにしよう」 こうして数時間が経ちました。預言者は、昼と夕方、夜の礼拝をその場で行うことを余儀なくされました。預言者の教友たちが、このユダヤ教徒の男の行動に抗議し、彼を懲らしめようとしました。彼らは預言者に、「私たちには、この男があなたをこのような状態にするのが許せません」と言いました。預言者は、教友たちの苛立ちや怒りを目にし、言いました。「私は人々に圧制を加えるために、神から遣わされたわけではない」 こうして、預言者は教友たちがユダヤ教徒の男を懲らしめるのを許しませんでした。また数時間が経ちました。ユダヤ教徒の男は立ち上がり、預言者に言いました。「唯一の神以外に神はいないことを誓います。あなたは神の預言者です」 それから続けました。「神に誓って、私はこうすることで、あなたの性質が、ユダヤ教の聖典で約束されている事柄に合致しているかどうかを確かめたかったのです。ユダヤ教の聖典には、最後の預言者はメッカに生まれ、メディナに移住し、寛容であり、大きな声で話したり、汚い言葉を使ったりすることもないと書かれています。そのような性質を、私はあなたの中に見ました。私は今、あなたの宗教に信仰を寄せました。私のすべての財産を、あなたに捧げます」

 

 

とはいえ、聖典コーランは、預言者の問題について、イスラムの預言者だけでなく、他の神の預言者たちの使命を信じることも必要だとしています。コーラン第2章アルバガラ章雌牛、第136節には次のようにあります。

 

「言え、私たちは、神と私たちに下されたものを信じます。イブラヒーム、イスマイール、イスハーク、ヤアクーブとさまざまな部族に啓示されたもの、またムーサーとイーサー、神から預言者たちに下されたものを信じます。私たちは彼らの間に違いを設けず、神の命に従います」

 

ムハンマドは神の最後の預言者なので、これで人間と神のつながりは終わってしまうのでしょうか?では、ムハンマド以降、人間はどうすればいいのでしょうか?ここで、シーア派はイマームの問題を提起しています。この問題については、次回のこの番組でお話しましょう。

 

 

今回の番組は、シーア派5代目イマーム、ムハンマドバーゲルの言葉をご紹介して、締めくくることにいたしましょう。

「怠惰に陥ってはならない。これはあらゆる悪の源である」

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