8月 04, 2022 21:46 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。

今回ご紹介するのは、「湿った薪を売る」です。

この慣用表現は普通、「湿った薪を誰かに売る」という形で使われることが多く、ペルシャ語ではHiizom-e tar raa be kasii foruukhtan となります。

具体的な意味内容としては、羊頭狗肉の策で人をだます、約束を破る、あるいは反故にする、二枚舌を使う、などが挙げられます。

さて、この慣用句の由来についてですが、薪といえば乾いていてよく燃えることで人の役に立つ、ということがまずご想像いただけるかと思います。

その昔、特にガスが普及する前の時代には、調理や風呂焚きなどに薪が広く使われており、完全に水分が抜けてよく燃える薪が必要とされていました。薪を作るにあたっては、薪割りをしたり、あるいは樹木の枝を拾い集めてきた後は、燃えやすくするために一定期間天日干しにし、よく乾燥させる必要があります。

しかし中には、少しでも早く売り払って利益を得ようと、よく乾燥させないままの薪を売る業者もいたということです。このような薪はよく燃えないばかりか、余計な煙が立ち、使う人は煙が目にしみるとともに、あたり一面を煙で汚すことになることから、湿った薪を人に売ることを、人を騙したり、裏切る行為、何かを約束していながら反故にする、上に上らせておいて背後から梯子を外すといった意味で使われるようになったと言われています。

ちなみに、薪がよく乾いていて内部に湿り気が残っていなければ、よく燃えると同時に、無駄な煙はほとんど立たないそうです。現代風に言えば、湿気ったマッチを売るようなものと言えるかも知れませんね。

特にウクライナ情勢などの影響で、エネルギー価格が世界規模で値上がりしている現在、時節柄ある程度の値上がりはやむをえないとしても、品質の悪いエネルギーが販売されるなどということのないよう願いたいものですね。それではまた。

 


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