ペルシャ語ことわざ散歩(137)
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回は、イランの著名な詩人サアディの名作『果樹園』を由来とすることわざをご紹介しましょう。サアディは自らの著作『果樹園』において、「選ばれた智者は頭が低い、たわわに実った枝は頭を地につける」と詠んでいます。
ペルシャ語での読み方は、Tavaazo' konad huushmand-e gozin, nehad shaakh-e por miive sar bar zamiinとなります。
もう皆様は、文字通りの内容から本来の意味をご想像いただけたかもしれませんね。これは、立派な人ほど謙虚な姿勢であること、学問や人徳が高まるにつれ、その人柄や行為がかえって謙虚になることを意味しており、日本語で言う「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざに相当します。
人間も本当に偉くなればなるほど、謙虚な姿勢で人と接することが大切であり、会社組織も成長・発展すればするほど、会社や社員の態度が丁重にならなければならない、とはよく言われます。逆に、心理学的な観点からも傲慢で威張っている人ほど、実は自分に自信がないと言われています。そのような人は自分の本当の姿が見えておらず、自己成長が止まっているともいえるのではないでしょうか。
知識や学問、経験を積み重ねるほどに、自分の未熟さが見えてきて、さらに自己修練に励むことになり、虚栄心に駆られた人は進歩や努力を怠り、気がつけばほかの人に遅れをとる、また謙虚さが足りないことは、未熟であることの証であるといえるでしょう。
まさに日本とイランの両国のことわざに言われるとおり、どれほど年齢や経験、学問を積み重ね、名声や評価を得たとしても、そこで傲慢にならずに、さらに謙虚になって努力を積み重ねる姿勢を忘れないようにしたいものですね。それではまた。