9月 07, 2023 18:06 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。シリーズでお届けしております「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「煙が上に残っても、炎の尊厳は損なわれない」ということわざをご紹介してまいりましょう。

このことわざは、ペルシャ語では Duud agar baalaa neshinad, kasr-e sha`n-e sho`le niist となります。

すでに皆様も、「火のないところに煙は立たない」ことをよくご存じかと思います。もっとも、この日本語のことわざの意味はまた別ですが、燃えている火より煙が上の方にあるからといって、煙の方が火より格上ということにはなりません。むしろ、火や炎が煙のもとになっていることに注目すべきではないでしょうか。

もう1つの例として、眉毛は確かに目より上の方に位置していますが、だからといって目が眉毛より価値が低いとはいえないでしょう。

このことから、このことわざは特に、社会的な地位や職場でのポストが高いからといって、その人の方がそうでない人より価値が高いとは一概に言えない、ということを意味しています。また本来はそれほどの資格や適性がないにもかかわらず、コネを使うなどしてある組織の上級管理職につき、立場上は自分より下の位置にある人を見下すというような場合、このことわざが反論として使われています。

社会的な地位や経済力、学歴、家柄など、表向きにはいくら一般的な見解からして高い人であっても、それはその人の人間的な価値を示すものではない、とはよく言われます。このように表面的な要素では勝っていても、人格や人柄、人徳、信用、これまで積み上げてきた実績、いろいろな分野での能力や才能といった面で劣るというケースはよくあるのではないでしょうか。人間の価値が目に見える表面的な要素だけで決まるのではなく、むしろその人の中身や内面的な要素が大切であるということに注目したものです。

そして、考え方の次元をさらに上げて、人間にはそもそも高い低いや優劣などなく、1人1人がそれぞれ唯一無二の大切な、尊重されるべき存在であると考えてはいかがでしょうか。嫉妬や承認欲求、支配欲、そして人より優位に立ちたいなどという虚栄心などにとらわれない生き方をしたいものですね。それではまた。

この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。

 


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