ペルシャ語ことわざ散歩(208)「誰かの靴に足を入れる」
皆様こんにちは。イランで現在使われているホットな生きた表現をご紹介する「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「誰かの靴に足を入れる」すなわち「ほかの人の靴を履く」という表現をご紹介してまいりましょう。
ペルシャ語での読み方は、Paa dar kafsh-e kasii kardan となります。
さて、皆様はこの表現の文字通りの意味からどのような意味をご想像されるでしょうか。
これは、「他人の問題や仕事にとやかく口出し、干渉する、口をさしはさむ、首を突っ込む」という意味になります。
この表現では、「誰か他人の靴」がその人のプライベートな領域や領分、テリトリーに例えられています。
特に、靴や衣服など、各人が自分の好みやサイズに合ったものを着用する場合がほとんどであり、他人のコートやジャケット、傘ならまだしも、他人の靴を借用することは比較的少ないと言えるのではないでしょうか。
さらに、ヘアブラシや歯ブラシといったものであれば、なおさら他人の物を使うことは、衛生上も好ましくなく、普通私たちはそのようなことはしないと思われます。
話を元に戻しますが、そのような個人のテリトリーやプライバシーの領域に他人が割って入ってきたら、私たちの誰もが気分を害すると思います。このことから、この表現は他人の領分を侵害することで、相手の気分を害する、という意味でも使われているようです。
このことわざの実際の使用例としては、自分の私生活の問題にとやかく口をさしはさみ、アドバイスをしたがるような人に対し、「私たちの靴を履かないでください。私たちの生活はあなたには関係ありません」と言って、干渉しないよう求めたりします。
国際政治の舞台でも、ある国が別の国から不当に内政干渉されていると感じれば、この表現を使いたくなるかもしれませんね。
日本語でも、「親しき中にも礼儀あり」、「人の家に土足で入る」「花畑を滅茶苦茶にされる」などといった表現がありますが、個人レベルであれ、はたまた社会や組織集団、国家レベルであれ、全く無関係の外部因子からあれこれ干渉されるのは決して気持ちの良いものではありません。どのようなレベルであっても、またどれほど親しくとも、あらゆる関係には適度な距離感や他者との境界線、そして相手が助けを求めてくるまでは干渉しない、自分の問題と他人の問題とをきちんと分け、「課題を分離する」ことが大切なのではないでしょうか。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。