聖地のユダヤ化に対するユネスコの反対
最近、ユネスコで、シオニスト政権イスラエルが「占領勢力」と呼ばれ、アクサーモスクをイスラム教徒の所有とする決議が採択されました。
この決議の採択により、文化、政治、社会面での新たな支援が形作られ、パレスチナの人々にとって価値ある結果がもたらされるのではないかという期待が生じています。

聖地ベイトルモガッダスとアクサーモスクが立つハラムシャリーフは何年も前からイスラムとユダヤの対立の中心となっています。国連はこの地域を占領された地とみなし、シオニスト政権に対して1967年の6日間の戦争以前の境界に戻るよう求めています。これに対し、この政権は聖地はユダヤの国イスラエルの首都であるとしています。パレスチナも聖地東部を取り返し、そこを自分達の首都にしようとしています。
先週、国連教育・科学・文化機関・ユネスコで、ユダヤ側の呼称である「神殿の丘」ではなく、イスラム名の「ハラム・シャリーフ」のみが使用される決議が採択されました。この決議はさらに、この場所でイスラエルがイスラム教徒に対して行っている暴力を非難し、パレスチナの文化遺産と聖地東部の優れた特徴を守ることを追求する、と述べています。
ユネスコの決議ではシオニスト政権が「占領勢力」と呼ばれ、国際法規に則ったその責任について触れています。さらに、場所を示すのにイスラム名を使用していますが、冒頭でさらに、ユダヤの神聖視する「嘆きの壁」も、預言者イブラヒームの宗教全てにとって敬意の対象だと強調されています。

ユネスコの決議では、シオニスト政権に対して、アクサーモスクの管理をヨルダンのワクフ局のもとで運営されていた2000年前の状況に戻すよう求められています。
決議の9条には、過激派イスラエル人のアクサーモスクへの攻撃の責任は、シオニスト政権の治安・警察部隊にあるとされ、10条ではイスラエルと古代遺跡の管理者によるパレスチナ市民、宗教的人物の権利、またモスクへの継続的な侵害、宗教儀式に参加したイスラム教徒の拘束や負傷が非難されています。この決議ではまた、入植者のための道路などの建設活動やアルハリル旧市街での分離壁の建設がはっきりと非難されています。さらに、入植者やその他の過激派によるパレスチナ人の子供や生徒に対する組織化された挑発的な暴力の停止の必要性も訴えられています。
ユネスコはさらに、ユダヤの遺産のリストからパレスチナの2つの遺産を抜くことに関するユネスコの以前の決議の実行をシオニスト政権が控えていることに深い憂慮を示し、改めてこの決議の実行を求めました。またこの決議は、シオニスト政権がユネスコの専門家や代表に対して行っている妨害行為について触れており、この政権に対して早期にアクサーモスク周辺の18の再建プロジェクトを停止するよう求めています。
シオニスト政権が意図的にユネスコの決議の受け入れを控えていることから、パレスチナ問題は別個に、ユネスコの実行委員会の次期会議の議題に据えられることになりました。この決議は賛成票24、反対票6、棄権6によって採択されました。

シオニスト政権はユネスコとの協力を、決議への抗議によって中断しました。同政権の教育大臣はユネスコのボコヴァ事務局長に書簡を送り、聖地とユダヤ人の数千年の関係を無視し、イスラムのテロを支援しているとして、ユネスコを非難しました。シオニスト政権とユネスコの関係は、パレスチナのユネスコ加盟が承認された2011年から緊張を伴っています。
シオニスト政権のネタニヤフ首相はこのように語っています。「ユネスコの悲劇を装う空虚な演出は今も続いており、現在この機関は、イスラエルの人々が神殿の丘や嘆きの壁と全く関係がないという根拠のない決定を下した」。シオニスト政権のラジオ解説者は、ユネスコの加盟国に歴史を再び読み返すように言い、怒りをもって、この国連機関を恥知らずだとしました。彼はこの覚書の中で、「この機関の関係者は政策や共謀、扇動から離れ、国民の歴史や文化に注目を寄せ、その維持と強化の道において努力すべきだ」としています。興味深いのは、彼がこうした決議の文言を、イランが話したことだと考えていることです。
決議の採択を受け、ユネスコのボコヴァ事務局長は声明を発表し、聖地のすべての文化、宗教、歴史遺産を維持する重要性を強調しました。ボコヴァ事務局長はこの声明の中でこのように語っています。「様々な折に触れて、また最近のユネスコ世界遺産委員会の40回目の会議で指摘したように、ベイトルモガッダス・エルサレムはユダヤ、キリスト、イスラムの3つの天啓の宗教の聖地であり、この町はユネスコ世界遺産に登録されている」

ボコヴァ事務局長は続けてこのように述べています。「聖地の遺産は分離することはできず、その中に存在する社会のそれぞれが、自らの歴史や聖地との関係を正式に認められる権利がある。ユダヤ、キリスト、イスラムとの関係を否定、無効、消去することによって、この地の領土保全は失われる。聖地の世界的に突出した価値、それが世界遺産に登録された理由は、対話のためであり、対立のためではない。我々の義務は、法の力、言葉の力によって文化的、宗教的共存を強化することである。この歴史的な町の複数の宗教のアイデンティティが脅かされるような対立の中で、現在我々が橋を架ける必要性がいつにも増して、感じられる」
一方で、ユネスコの決議において興味深い点は、シオニスト政権の行動に関する他の決議の多くと同じように、棄権したり欠席したりする代表の数が多かったことです。
これらの国の多くが、古代遺跡の観光を自国の収入源の一つにしており、現在、アクサーモスクでの占領者の行為に対しても沈黙しています。
この決議に関する最終的な決定は次の会議で下されると言われています。同様の決議はおよそ半年前にも、フランスを筆頭とするヨーロッパ数か国の支援により採択されましたが、今回の決議では、ガーディアン紙が報道したように、シオニストロビーがヨーロッパ諸国を後退させ、さらにネタニヤフ首相が国連の次期事務局長をイスラエルに招待することにつながりました。ネタニヤフ首相はグテーレス次期事務局長の選出を口実に彼と電話会談を行い、ユネスコの今回の決議を利己的で一方的なものだとし、これを非難しました。
イラン外務省のガーセミー報道官は、最近のユネスコの決議について、この機関がアクサーモスクに関するイスラム教徒の宗教的権利を認めたことを歓迎し、称賛しました。さらに、シオニスト政権がこの決議にマイナスの反応を示したことは、この政権が当惑していること、またその世論を惑わす欺瞞的な行動を明らかにし、国際的な決議や法規に対しても責任を果たしていないことを示したとしました。

とはいうものの、ユネスコはこれ以前、聖地のすべてをシオニスト政権の首都としており、この決定はパレスチナ側の強い非難に直面しました。このとき、多くのパレスチナグループと一部の国がこの行動を国際法の明らかな違反であり、占領政権を支持するものだとしました。パレスチナ解放機構は、このユネスコの行動は、聖地東部は占領されていると明らかに表明している国連安保理決議の違反だとしていました。
とはいえ、ユネスコによってこのような決議が採択されたことは、過去におけるこの機関の過ちの一部を償うものであり、これにより世界の人々がパレスチナの占領者の真の姿を知ることにもなるのです。