1月 01, 2017 18:45 Asia/Tokyo
  • イランの楽器・サントゥール
    イランの楽器・サントゥール

今回は、楽器の製造についてお話しすることにいたしましょう。

演奏用の楽器の製造の歴史は、地球上で人間の生活が始まった時に遡ります。おそらく人間の声は初期の人間の最初の音楽だったのでしょう。その後時が経過し、彼らは異なった音を作り出す楽器の製造を思い当たりました。最初の楽器は、木材、石、動物の骨でできており、世界の楽器製造の始まりにおいて、確実に最初の一歩を踏み出しました。最古の楽器に関しては様々な議論が存在します。この楽器の製造は6万7000年前に遡り、動物の骨を削ったもので、4つの穴があり、音楽の研究家はそれで4つの音符、8種類の音を奏でることができたとしています。

ファーラービー

 

楽器の歴史において、ファーラービーはこの学問において知られている人物です。彼は楽器のカテゴリーわけをし、それらの製造の方法について説明しました。しかしながらその楽器を誰が発明して作ったのかということを言える人はいません。というのも音楽の歴史や社会、芸術の歴史において初期の楽器の製造者の名前を知ることはできないからです。とはいえ一部の楽器の製造は古い伝説の中で、著名な人物に関連付けられていますが、これらの物語の多くが人間の空想によってかかれたもので、歴史的な資料は残されていません。

イランの楽器・バルバット

 

世界各地の様々な楽器は、多くの製造者や演奏家によって完成させられ、今日の形になりました。実際、楽器の製造者は楽器の欠点を補い、それを完全な形にしました。考古学的な発見によれば、後に楽器製造には石や動物の皮が使われたことがわかっていますが、これらの物質はどれも、木材への支持には及びませんでした。木材は組織、色、密度といった点で幅広い多様性を持ち、楽器製造の主な材料と見なされ、人間は自らの経験と学びの中でその特徴を理解していました。

イランの楽器・タール
イランの楽器は、材質の点で3つのグループに分けられます。金属、陶器、木材です。楽器から生み出される音はその材質や構造、形、そして正確な作りかどうかによって異なっています。通常、真鍮や銅でできた金属の楽器は、鋳造、あるいはハンマーで打つことによって作られます。陶器製の楽器は、焼いた粘土でできています。そして木製の楽器は切ったり削ったりすることで作られます。最も多くの楽器が木製であり、イランの楽器の演奏や製造について語る際には、多くが木製の楽器を想像させます。多くの楽器が弦楽器で、一部の打楽器も木材が使用されています。
イランの楽器・タール

 

イランでは伝統楽器の製造は芸術と産業の二つの側面を持ちます。イラン各地には楽器を製造し、愛好者に提供する芸術家がいます。伝統楽器の製造は手工芸と見なされています。イランでの楽器の製造はそれだけで幅広いカテゴリーを含み、そのそれぞれが優美さと複雑さを伴っています。その中でタール、セタール、ウード、サントゥール、キャマーンチェ、ネイ、トンバクといった楽器の製造を挙げることができ、長い年月にわたって、自発的な形で芸術家たちの手によって維持、拡散され、現在も続いています。

イランの楽器

 

楽器製造の歴史についてはそれほど情報は存在せず、ガージャール朝時代の資料のみが残っています。この資料を見てみると、高い可能性で、多くの楽器演奏者が自らが必要とする音楽の道具を作っていたことがわかっています。イランでは楽器はまず初めに製造者の名前、次に演奏者の名前で知られていました。現在博物館に所蔵されている多くの楽器には製造者の名前か演奏者の名前が記されています。

イランの楽器・ドタール

 

こうした中、かつてイランには楽器の製造に関して二つの見解が存在しました。まず楽器はシンプルであるべきであり、装飾が極力ない方がよいという考え方で、もう一つは多くが木材である楽器の装飾が楽器の音に影響を及ぼさない方がよいとする考え方です。楽器製造の芸術において、一つの作品を作るのに重要な要素の一つは、その土地の資材を使用することです。楽器の音は、長い歴史の中でのその作り手の能力を証明するものとなっています。この芸術の技術は応用と美学の類稀な具現となっています。楽器製造の技術は、木工、金細工、モザイクなどの芸術を含み、それを最も応用のきく芸術にしています。