1月 04, 2017 19:59 Asia/Tokyo
  • 鉄鉱石ペレットの生産
    鉄鉱石ペレットの生産

今回は、イランの鉄鉱石についてお話ししましょう。  

イランの鉱物資源の分布図

経済研究所の分析によれば、イランは天然ガスの確認埋蔵量の点で世界第1位、石油の確認埋蔵量では4位であるにもかかわらず、その経済は、石油と天然ガスに強く依存していません。イランの経済的なポテンシャルには、豊かな鉱物資源や不動産取引、サービス業などがありますが、イランで確認された鉱山から、68種類以上の鉱物が発見されており、その価値はこれまで、7000億ドルと見積もられています。

 

イランの鉱物資源の中でも、鉄鉱石の埋蔵量は世界の上位10か国に入っています。鉄は地下において最も豊富に存在する資源です。鉄鉱石は、300以上の鉱山に存在します。

鉄鉱石

 

人間がその昔、どのようにして鉄を手に入れたのかについてはさまざまな見解が存在します。一部の人々は、人間はかつて、鉄鉱石からとれた異なる純度の鉄を、様々な道具を作るのに使用していたと考えています。

 

最初に鉄を発見し、使用したのがどの民族であったのかは明らかになっていません。大文明が形成された現在のイラクのチグリス・ユーフラテス川や中央アジア、エジプト、中国といった地域では、鉄が使用されていた痕跡が発見されています。イラン中部カーシャーンのシアルクの丘で行われた考古学者による発掘調査の中で、鉄を含むヘマタイトの珠が発見されました。これは紀元前5000年期のものとされています。

 

純粋な鉄は、地上ではめったに手に入りません。なぜなら、酸素や湿気に触れることで、簡単に錆びてしまうからです。純粋な鉄を手に入れるためには、鉄鉱石を加工し、不純物を取り除く必要があります。

 

古代の遺物を見ると、熔解による鉄の使用は、紀元前2000年期の終わりから始まり、時の経過とともに、武器や道具、装飾品など、様々な形の鉄製品が使用されるようになったことが分かります。

 

紀元前1000年期にアーリア人がイランに入ると、鉄の使用が増加しました。古代のイラン人は、一部の道具、特に剣や槍といった武器を作るために鉄を使用していました。イラン北西部・西アーザルバイジャーン地方で行われた考古学調査では、紀元前9世紀の武器が発見されています。

ハサンルーの丘で発見された石の道具

 

また、古代イランにおける鉄の使用については、パーサールガードやペルセポリスなど、アケメネス朝時代から残る建物の柱の土台部分や入口の上の部分を指摘することができます。それらは大きな石を削ってできており、それらを結ぶのに、鉄や木が使われています。

 

考古学者によれば、チャードルマル―、ゴルゴハル、サンギャンなど、イランの一部の鉱山は、イランの大きな鉄鉱山と見なされ、古代にも利用されていました。サンギャン鉱山は、高い埋蔵量を誇り、世界でも有数の鉄鉱山として知られ、イラン北東部のホラーサーン・ラザヴィー州にあります。サンギャン鉱山の洞窟や深い穴から遺物が発見されたことは、この鉱山で、はるか昔に鉄鉱石が発掘されていたことを物語っています。この鉱山には、専門家の見積もりによれば、20億トン以上の鉄鉱石が埋蔵されています。サンギャン鉱山の特徴のひとつは、その純度が高いことです。

サンギャ―ン鉱山

 

鉄の純度や水分と湿度、不純物などが、鉄鉱石の価値を見極める上での特徴となっていますが、純度の高い鉄を有している鉱山であっても、環境汚染による影響などにより、鉄や鉄鋼を製造できない可能性があります。

 

イランの鉱山の歴史は、石器時代にさかのぼります。この時代、人々は、さまざまな石の道具を作るために、石の特徴を知る必要がありました。選鉱作業は、鉱物が採掘された後に行われる活動です。その目的は、価値の高い鉱物と、そうではない鉱物を見分けることにあります。

 

イランでは、鉱業部門の発展、原料鉱物の売却の阻止、歳入の増加のため、鉄鉱石の加工品を生産するための努力が行われています。鉄鉱石の精鉱は、純度の高い鉄から作られ、粉状であるため、特定の形状の炉には利用できません。そのため、それをペレット、つまり小さな丸型にしています。このペレットは、後に熱が加えられ、固められます。

 

鉄鉱石ペレットの生産

 

ゴルゴハル鉱山は、イランの大規模な鉱山のひとつで、イラン南東部のケルマーン州に位置しています。少なくとも900年の歴史を誇るゴルゴハル鉱山は、10億トン以上の鉄鉱石を埋蔵しています。この鉱山では、鉄鋼の生産にバランスを確立し、生産品の価値を高めるための小さな玉状の鉄の製造プロジェクトにより、国家のニーズを満たしています。

 

鉄鉱石から作られる別の生産物に、精鉄があります。イラン中部の中央砂漠に位置するチャードルマル―鉱山の鉄は、精鉄の製造に利用されています。

 

イラン最大の精鉄の生産地であるチャードルマル―鉱山

 

鉄鉱石は、鉄や鉄鋼を生産するための原料です。世界の鉱山から発掘された鉄の90%以上が、鉄鋼の生産のために使われています。鉄は柔らかくて壊れやすいため、炭素、マグネシウム、シリコンなどと組み合わされ、鉄鋼のような耐久性の強い物質が作られています。

 

鉄鋼は、鉄に比べて耐久性があります。今日、鉄鋼は世界の機械技術の根幹をなしており、建物や橋、自動車、船舶、電車の製造に利用されています。

イラン最大の精鉄の生産地であるチャードルマル―鉱山

 

国家の発展や成長における鉄鋼産業の重要性、この生産物の環境との調和、今後数十年の鉄鉱の需要の増加に関する国際機関の予想により、この部門への投資は、民間の投資会社や各国政府の注目を集めています。

 

現在、イランでは、数十の企業が、鉄鋼の生産分野で活動しています。イランの鉄鋼産業の生産品は、国内の市場をまかなうだけでなく、中東、アフリカ、ヨーロッパの一部の国にも輸出されています。