1月 18, 2017 15:39 Asia/Tokyo
  • ホルホラーン湿原(画像)

イラン南部、ペルシャ湾岸に位置するホルモズガーン州には、ラムサール条約に登録されている4つの国際湿地があり、イランで最多の国際湿地を有する州です。ホルホラーン湿原は、ホルモズガーン州にある国際湿地です。

イランは世界で多様な気候を持つ上位5カ国に入っています。世界に存在する13種類の気候のうち11種類の気候がイランに存在します。

 

イランの気候の多様性により、この地域には湿原などの自然の豊かな資源が生じることになりました。湿原は、地域の生態系の継続と多様性の維持、空気清浄、気候の微調整、汚染物の吸収、洪水の抑制、人間や動植物の必要とする水と食料の確保において重要な存在となっています。

イランはこれ以前にお話したように、多くの湿原を有しています。湿原の環境上の価値は、森林の10倍、農地の200倍と言われています。ラムサール条約では、イランには1000箇所以上の湿原があり、各地に散在しているとされています。複数の国際湿地が存在するイランの州のひとつに、ホルモズガーン州があります。

ホルモズガーン州は、イラン南部、ホルモズ海峡の北部に位置します。ホルモズ海峡は、オマーン海とペルシャ湾という国際海域の間にある水路であり、イランや世界の最も重要な戦略的地域のひとつです。

ホルモズガーン州

 

ホルモズガーン州は、面積が7万平方キロメートルを超え、類稀な自然の魅力と史跡、豊かな文化を持つ人々が特徴です。この州の見所に、国際湿地があります。ほれ鵜も図ガーン州は、ラムサール条約に登録された4つの国際湿地を有し、その数でイランでトップとなっています。ホルホラーン湿原はホルモズガーン州にある国際湿地の一つです。

ホルホラーン湿原は、海洋性の恒常的な湿原の一つで、マングローブに覆われています。この湿原は面積は10万ヘクタールで、ペルシャ湾の北岸、(ホルモズガーン州の州都でもある港湾都市)バンダルアッバースの南西60キロのところにあります。この湿原は、海抜は0メートルでホルモズガーン州最大の湿原となっています。

ホルホラーン湿原

 

この地域の気候は熱帯から亜熱帯となっています。夏の気温は45度、年間平均降雨量は100ミリから300ミリです。ホルホラーン湿原は、小さな島やマングローブなどが存在する広大な入り江の中にあります。

湿原の特徴の一つに、植物で覆われていることが挙げられます。ホルホラーン湿原はイランで最も広大なマングローブ原生林の一つを有しています。

この湿原のマングローブは、島が浮かぶ入り江のそばの浅瀬にあり、海水が引いたときに水から姿を現します。この地域の水深は1.5メートルを超えません。このため、海水が上昇したとき、マングローブは浮いている上体に見え、水が引くと、6,7時間、陸地の森林のような形で見えます。

ホルホラーン湿原

 

マングローブ林の中に入るには、陸上の道は存在せず、水路しかありません。マングローブ林を見学するときには経験のある案内人と一緒に行動する必要があります。専門家によれば、この湿原ではマングローブのほか、29種類の植物が見られます。

ホルホラーン湿原は1975年に湿地の保存に関するラムサール条約に登録されました。その翌年、この地域は生物圏保護区にも認定されました。イランには12の生物圏保護区があります。

生物圏保護区は世界の保護区の重要な分類分けの一つで、後戻りのできない変化を防ぎ、天然資源を活用する目的で設定されました。さらに、この地域の管理や維持においては、日々増加する人口に注目し、自然を利用する必要性が考慮されています。これまで、世界の様々な地域がユネスコの「人間と生物圏計画」に基づき、生物圏保護区に指定されています。

ホルホラーン湿原

 

イラン南部のホルホラーン湿原を含むマングローブの保護区は、様々な水生生物や鳥類、両生類の生息地となっています。ペルシャ湾の水生生物の多くの種類が、産卵の時期をこの地域で過ごしています。

ホルホラーン湿原は、海の類稀なエコシステムの一つであり、硬骨魚や軟骨魚、甲殻類、軟体動物、腔腸動物、二枚貝、カニ、エイ、サケなどの様々な水生生物が生息しています。また、アオウミガメやタイマイも目にすることができます。アオウミガメは、海草やマングローブの葉などを餌にしています。これらの子ガメは多くが肉食ですが、一部は甲殻類や軟体動物、カイメンなどを餌にしています。タイマイと呼ばれるカメは、サンゴ礁や岩礁などで見ることができます。この種のカメは多くが甲殻類やサンゴ、ウニなどを食し、マングローブ林や入り江、海岸の湿原に生息しています。

ホルホラーン湿原

 

ホルホラーン湿原は、地域の留鳥や渡り鳥たちの重要な生息地の一つとなっています。マングローブ原生林は、鳥類、とくにサギ科の鳥をひきつける場所となっています。この湿原ではサギ、コウノトリ、ペリカン、カモ、カモメなどを見ることができ、これまで93種類の留鳥や渡り鳥が確認されています。

渡り鳥は昆虫やカニやエビといった水生生物を食べるため、マングローブ原生林に入ってきます。さらに、魚を餌にする鳥類は通常、マングローブの木の上に巣を作り、そこから魚を取るために海の中に入っていきますが、マングローブに一番多いのは、昆虫や蜘蛛などの類です。マングローブ林に生息する昆虫には、蚊やハエなどがいます。

ホルホラーン湿原の最大の価値は動植物の遺伝子の保存です。この湿原は、嵐による海岸の破壊を防いでいます。この湿原での漁業は、地域における適切な経済活動の一つとみなされています。水に浮かぶマングローブやボート、渡り鳥の存在はこの湿原の見所であり、この地域を訪れる旅行者のよい思い出になるでしょう。