世界経済はここ数年、ナレッジベース経済という新たな現象を経験しています。多くの人は、人間社会は初めから知識に基づいたものであり、生き残り、生活を改善するため、常に知識を活用してきたとしています。

歴史を通して、天然資源、設備や道具、重要な情報などは、商業活動に欠かせないものでした。現在、企業間のシェアを巡る競争で重要となるのは、企業が持つ知識の種類です。つまり、各社は現在、知識によって富を得ているのです。

知識は実際、経験、技術、実践と理論の集合体であり、その商業化によって機能的な意味を見出します。知識の商業化とは、構想や発明を商品やサービスの形で市場に供給するために行われる活動のことです。商業化は、新しい製品や、その地域で初めて提供される製品に関して行われる可能性があります。

ナレッジベースの企業や機関とは、知識と富の融合、知識に基づいた経済開発、発明を含む、学術的、経済的な目標の実現、優れた技術に関する研究と開発の結果の商業化を目的に活動し、多くの利益をもたらす企業や機関のことです。

近年、各国の政府がナレッジベースの経済制度を確立しようとしているのは、そうした企業の製品の利益が高いことからきています。今日、各国の政府にとって、技術研究に関する小さな発明における国民の活動の土台を整えることは、利点と見なされています。

ナレッジベース経済において、人材やインフラは非常に重要な役割を果たします。専門家は、ナレッジベース経済が、適切な教育制度、優秀な人材の確保、情報通信技術のインフラの改善、大学や民間部門を重視することによるイノベーションの改善など、様々な要素に基づいていると考えています。インターネットや運輸、大学や研究施設、専門的な人材などのインフラは皆、ナレッジベース企業の設立に効果的な要素です。

この他、ナレッジベース企業が生まれる上で効果的な要素に、企業の活動をナレッジベースへと誘導するための法制度の整備があります。安全で健全な競争環境が整っていることは、ナレッジベース企業にとって法的な利点のひとつです。また、数々の支援を得ることは、合理的な法が存在する環境によってのみ、可能となります。

ナレッジベース企業は、通常、世界的な視野をベースにしています。そのような戦略を持つことで、企業は視野を広げ、国際的な経験を学ぶことができます。世界を視野に入れることで、新しい機会や可能性が生まれ、こうした企業はそれらを利用して利益を得る点で、さらなる動機を見出すことができるのです。

このような中で、社会文化は、ナレッジベース企業の誕生に最も明らかな影響を及ぼす要素です。こうした企業の成長は、各国の政府関係者の正確な経済計画のみに限られず、社会の文化もまた、原動力としてその計画を推進します。

イランでは、1992年に、イラン中部のイスファハーンにあるゾウブアーハン社により、イスファハーン工科大学の監督のもと、最初の科学研究地区の創設に関する話し合いが始められました。その後、2007年、ナレッジベース企業と彼らを法的に支援する法案が作成され、国会の可決によって法制化されました。

今日、イランでは、数百のナレッジベース企業が活動を行っています。これらの企業の活動は、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、電力、電子、通信、情報技術、ソフトウェア、医薬品、医療設備、航空宇宙、石油・天然ガス・石油化学の最先端の設備など、非常に幅広い分野に渡っています。

イランのナレッジベース企業の活動分野の一つは、医薬品の生産です。マッケンジーインスティテュートは、イラン経済のポテンシャルに関する研究の中で、未来を見つめ、次のように記しています。

「イランの市場は、数々の長所を有しており、医薬品を一つの希望をもたらす産業に変えている。国内の産業は、ＥＳ細胞やバイオテクノロジーといった最新の科学を発展させ、多くの医薬品の需要を高めるだろう。医薬品の生産は、2035年までにイラン経済におけるシェアを7倍に増加させ、2014年の10億ドルから70億ドルに達すると考えている。年間成長は9％を超えるだろう」

バイオテクノロジーは、医療、農業、食料の分野において、発展の重要な要素となっています。イランはこの分野で日々、成長しています。

関係者によれば、およそ500社のナレッジベース企業が、バイオテクノロジーの分野で活動しています。この分野は、最も多くのプロジェクトを提示しています。中でも輸出において最も多くのシェアを占めているのが、バイオ医薬品です。

イランは、バイオ医薬品の輸出において、地域でトップに立っています。この分野への投資は、人材の教育や研究機関の設置のために行われています。統計によれば、この15年に60種類を超える医薬品が市場に供給されています。