3月 13, 2017 17:08 Asia/Tokyo
  • 薬草、薬用植物
    薬草、薬用植物

薬草、薬用植物は、天然資源のひとつであり、歴史を通して、人間の健康や衛生を保ち、治療を行う上で重要な役割を果たしてきました。イランにはさまざまな種類の薬用植物が生育しています。

原始時代の人々は、薬用植物の効果を知ることで、肉体的、精神的な痛みを和らげ、治すために、それらを使用し、その経験を次の世代へと伝えてきました。

 

植物学や植物の特性を発見することは、他の多くの学問と同じように、様々な文明や土地の人々の努力と経験から得られたものです。植物の多様性は、それぞれの地理的な条件によって異なってはいるものの、多くの国は多かれ少なかれ、この神の恩恵を享受しています。

薬草、薬用植物

 

薬用植物とは、直接、あるいは間接的に、その一部、あるいは全体が、衛生や病気の予防、治療に消費される植物を指します。薬用植物は、産業用に用いられるとき、産業用植物と呼ばれます。それらには、砂糖や油、繊維をとる植物などが含まれます。

 

薬用植物は、新鮮なもの、乾燥させたもの、抽出された物質といった形で使用されます。病気の治療に効果的な物質に使われるのは、乾燥させた薬用植物のわずか1%です。薬用植物の栽培や収穫は、多くが、その1%の効果的な物質を得るために行われています。

 

植物の精油は、植物の細胞の間に存在する香りの成分を指します。精油を抽出する作業は非常に困難なものとなっています。

薬草、薬用植物

 

 

植物には幅広い用途があり、中でも最も重要なのは、医療や獣医学における利用です。今日、多くの植物が、食品産業における保存や風味づけ、化粧品産業における肌の保護や活性化、衛生に使用されています。また、農作物の強化などにも使用されています。

 

過去半世紀の間に、化学薬品の使用が増加しましたが、その一部が人間の暮らしに悪影響を及ぼすことが明らかになったため、再び、薬用植物が支持されるようになりました。化学薬品は悪影響があることに加え、高価でもあるため、社会のすべての階層の人々が手に入れることができるわけではありません。

 

WHO世界保健機関の統計によれば、世界の人口の80%、特に開発途上国や後進国の人々は、治療のために主に薬用植物を使用しているということです。これまでに、世界で7万5000種類の薬用植物が確認されており、5000種類の薬用植物が生産され、消費市場に提供されています。

 

世界の市場における産業用、薬用植物の取引量は、1996年には600億ドルだったのが、2010年には1000億ドルに達しました。世界銀行の予想によれば、薬用植物の世界の取り引き額は、2050年にはおよそ5兆ドルに達するということです。現在も様々な国が、この巨大な市場においてしかるべきシェアを獲得しようと努めています。

薬草、薬用植物

 

世界の50か国が、薬用植物の生産の分野で活動しており、この中で、イランは世界で15位となっています。

 

イランにおける薬用植物の利用は、長い歴史を有しています。実際、薬用植物は、常に、イランの医学の基本となってきました。歴史的には、ゾロアスター教の聖典アヴェスターが、薬用植物に関して触れている最初の書物となっています。

 

古代イランでは、パフラヴィー語の書物の中で、植物の王様とされる、ハオマと呼ばれる植物を消費することで、永遠の命を手に入れられると考えられていました。後にイスラムとイスラム文明の出現により、ラーズィー、イブン・スィーナー、アブーレイハーン・ビール―二―といった偉大な学者の努力により、この学問が大変盛んになりました。

 

今日、イランは、その地理的な条件により、特に薬用植物の多様性の点で、世界でも独自の地位を有しています。イランは多様な気候を有しているため、世界でも貴重な薬用植物を有する国となっています。植物学者のサファーイー氏は次のように語っています。

 

「世界で知られる13種類の気候のうち、イランには11種類が存在する。これにより、イランは、植物や菌類による資源に恵まれている」

 

薬用植物学の専門家のソトゥーデ氏は次のように語っています。

薬草、薬用植物

 

 

「植物学者や天然資源に関する研究者の見解によれば、イランにはおよそ80000種類の植物が生育しており、多様性の点で、少なくともヨーロッパの2倍である。そのうち2000種類以上が薬用植物となっており、確認されている植物のうち、1700種類以上はイランのみで生育している」

 

薬用植物は、コルデスターン、ロレスターン、ハメダーン、チャハールマハール・バフティヤーリー、コフギールーエヴァブーエルアフマド、ギーラ―ンといったイランの多くの地域に生育しています。イランで栽培されるサフランの90%以上はホラーサーン・ラザヴィー州と南ホラーサーン州の2つの州で収穫されています。また、ダマスクローズの85%以上が、ファールス、ケルマーン、イスファハーン、東アーザルバイジャーンの4つの州で栽培されています。

薬草、薬用植物

 

現在、イランでは、伝統医学、天然資源の加工品、薬用植物の分野で、400を超える企業、150を超えるナレッジベース企業が活動を行っています。これらの企業の努力により、600種類の製品が開発、商業化されています。