6月 14, 2022 15:09 Asia/Tokyo
  • スィーオセポル
    スィーオセポル

イスファハーンにある歴史的な建造物の中でも、ザーヤンデルード川にかかる歴史的な橋は、建築様式やデザインの点で、興味深いものとなっています。

スィーオセポル

 

ザーヤンデルードという川の名前は、いつもイスファハーンという町とセットで用いられてきました。この河川は、バフティヤーリー地方のザルドクーフを水源としており、ザグロス山脈の険しい渓谷の間を通過し、イスファハーンの町を通って、最終的にイスファハーン南東部にあるガーヴフーニーと呼ばれる沼へと流れ込んでいます。

ザーヤンデルード川は、イスファハーンの町を通過し、この町を北と南に二分しています。ザーヤンデルードは、昔から、イラン中部にある最も水量の豊かな河川として知られてきました。広大なイラン高原、特にその中部では、ザーヤンデルード川の存在が大きな恵みであると考えられており、そのために、イラン文学には、ザーヤンデルードの名前がたびたび登場し、詩人や人々も、ザーヤンデルードに関する詩や歌を歌い上げてきました。

 

スィーオセポル

 

この河川の重要性から、古い様々な書物では、ザーヤンデルードについて語られています。この河の上にはいくつかの歴史的な橋がかけられており、それらはサファヴィー朝やそれ以前の時代から残るものです。そうした橋の一部は、チャハールマハール・バフティヤーリー州にも存在します。ザーヤンデルードにかかり、イスファハーン州にある橋の中でもよく知られているのは、スィーオセポル、ハージュー、シャフレスターンです。これらの橋はそれぞれに独自の魅力があります。ここからは、それぞれの橋についてご紹介してまいりましょう。

 

スィーオセポル

 

スィーオセポルは、ジョルファーやチャハールバーグといった名前でも呼ばれています。この橋は、1600年、チャハールバーグ通りと共に建設が開始され、それから3年後に完成しました。スィーオセポルは、サファヴィー朝の王、アッバース1世の時代の傑作であり、1590年代のイランの装飾芸術や建築様式に溢れ、サファヴィー朝の司令官であったアッラーヴェルディーハーンの出資と監督によって建設されました。そのため、アッラーヴェルディーハーンの橋と呼ばれています。この橋は、長さおよそ300メートル、幅14メートルで、ザーヤンデルードにかかる最も長い橋となっており、ザーヤンデルードによって二分されたイスファハーンの町を結ぶためにかけられました。

 

スィーオセポル

 

アッラーヴェルディーハーンの橋は、石、レンガ、漆喰でできています。橋は3階建てになっており、歩道と車道があって、40の水門の上に建設されました。この美しい橋の上は、中央に幅11メートルの車両専用道路があり、その両側に幅2.5メートルの歩道が設けられています。これらの通路の上には、高さ8メートルの柱を持つアーチ型をしたささやかな空間があります。橋の両側にある通路は、歩行者が行き来したり、人々が休憩したりする場所になっています。橋のアーチの下は、水門の間に石畳の空間があり、川の水が少なくなったときには、そこで休んだり、水遊びを楽しんだりすることができます。概して、スィーオセポルとも呼ばれるアッラーヴェルディーハーンの橋は、非常に美しい建築を有しています。橋に並ぶいくつものアーチは、独特の威厳を生じさせており、建築様式と工学技術が見事に融合されたものだと言うことができるでしょう。

 

スィーオセポル

 

近年、この貴重な歴史遺産を保護する目的で、橋の上の車両の通行が禁止されました。現在は、歩行者だけがそこを通り、ザーヤンデルードの美しい景観と橋のすばらしい建築を眼にすることができます。夜、スィーオセポルがライトアップされた姿も、独特の魅力があり、イスファハーンを訪れた人にとって、忘れられない光景となることでしょう。

スィーオセポル

 

このアッラーヴェルディーハーンの橋の東にも、ハージューと呼ばれる美しい橋があります。ハージュー橋は、イスファハーンの町にある広くて気候のよいハージューという地区にあるため、この名前で呼ばれています。ここからは、この美しい橋についてお話してまいりましょう。

 

ハージュー橋

 

ハージュー橋は、イランの美しい建築作品のひとつとされ、1650年に建設されました。この橋の長さはおよそ133メートル、幅は12メートルです。ハージュー橋は3階建てになっています。橋の下には、アーチ型をした21個の水門があります。橋の1階部分は長い廊下のようになっていて、人々がくつろげる空間が用意されています。この階からは、2つの階段によって上の階のホールに行くことができます。2階にはサファヴィー朝時代の絵画が飾ってある大小の部屋があり、かつてそこでは、様々な祝祭や儀式が行われていました。橋の両側、そして中央の3箇所には美しい建物が設けられており、そこから、ザーヤンデルードの両岸にある美しい庭園を望むことができます。

 

ハージュー橋

 

木材と金属で作られたハージュー橋の水門を閉じることで、橋の西側に貯水池ができます。外国の多くの旅行記では、この貯水池の美しさについて語られています。概して、ハージュー橋は、非常に芸術的な傑作であると言え、その技術や芸術を細かく分析する価値があるでしょう。この橋は、一目見ただけで、その壮麗さ、各部分のバランス、周囲の環境との調和が感じられるように架けられており、見る者に先人たちの経験や知恵を思い起こさせています。

 

ハージュー橋

 

この橋の建築は、限られた資材を最大限に生かして建設され、様々な自然災害にも耐えられるよう工夫が凝らされており、この橋を建設した人々の知識や技術を物語っています。この貴重な歴史的建造物を保護する目的で、現在は橋の上の車両の通行が禁止されています。橋の下には非常に美しいガフヴェハーネ・伝統的な喫茶店があり、国内外の観光客を迎えています。

 


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