携帯電話が子供や青少年、特に家庭生活に及ぼす破壊的な影響
今回のこの番組では、携帯電話が子供や青少年、特に家庭生活に及ぼす破壊的な影響について考えることにいたしましょう。
今日、科学技術の進歩により、携帯電話は通信機能に加えて、様々な機能を持つようになっています。携帯電話により他人との連絡、動画や写真の撮影がしやすくなり、またそれらを他人と共有したり、インターネット通信や銀行手続きができるようになりました。実際に、新型のスマートフォンが市場に供給されるようになったことで、このツールはインターネットの世界に入ることのできる携帯用コンピュータの一種と化しています。
携帯電話の開発者は、人々に大きなサービスを提供していることになり、日々そのサービスを拡大しています。これらの可能性は全て、人々への貢献を示すものです。しかし、一部の人々が故意に、あるいは無意識のうちにこれを悪用していることから、一連の問題が生じることになります。
恐らく、携帯電話がもたらす最も重要な問題の1つは、その家族関係に及ぼす影響のあり方と秩序ではないでしょうか。一部の人々は、携帯電話が広く一般に使用されるようになったことで、家族同士の間に誤解が生じ、家庭外の人々との関係が増え、それが物理的なものではなくなり、最終的にはそれが破壊すると考えています。しかし、中にはこうした考えを疑問視する人も存在し、彼らは携帯電話やインターネットにより家庭生活が脆弱化したとは考えていません。もっとも、各家庭は今や、生活様式の急速な現代化やストレス、さらには携帯電話による通話やショートメッセージなどによるコミュニケーションの大量化に苦しんでいます。
各家庭は、携帯電話が持つ様々な機能に満足しています。その理由は、携帯電話により常に互いとの連絡が容易にとれ、互いの様子を把握できるからです。言い換えれば、携帯電話をはじめとする先進技術により、家族が物理的にはそばにいなくても、彼らの精神的、愛情的な関係が途切れずにすむからです。一般的に、携帯電話は家族関係の強化のために使用さできます。
多くの研究者は、携帯電話の過剰な使用は、ある種の中毒症状を引き起こし、それはまさにコンピュータ・ゲームや麻薬の中毒症状のように破壊的なものだとしています。携帯電話にのめり込んだ人は、自分の家族や友人から距離を置くようになり、孤立してしまいます。
残念ながら、一部の家族は、驚くほど携帯電話に依存しており、自宅にいても携帯電話で何かをしていることが多くなっています。しかし、一方で家庭は親近感にあふれ、家族が互いに愛情を表す場であるべきものです。家族を無視し、携帯電話に夢中になって他人に注意を払わない人は、確実にほかの家族に不快感をもたらします。もちろん、携帯電話に夢中になりすぎることは時として、精神的な弊害をも通り越して、職場におけるポジションなどや、職業そのものを失う原因にもなります。
過去においては、夫が帰宅してくると、夫婦でその日にあった出来事について語り合うのが普通でした。こうした会話により、家族の心がより近づいていったのです。しかし、最近では若い夫婦は常に携帯電話で互いにやり取りすることが多くなっています。しかも、彼らにはその日に相手に何が起こったかを完全に把握しており、夜に帰宅しても顔を合わせて話すべき新しい話題は残っていません。
食卓を囲んで座り、皆で一緒に食事をすることも、家族同士の親睦を深め、会話をする条件となります。ですが、最近では多くの人々が食事の際にも、食事に集中せず、携帯電話を傍らに置いています。夫婦が食事をともにするという重要な時間は、携帯電話による通話や音、メッセージなどにより乱され、互いに注意を払う時間はそれほどありません。
ある調査の結果から、携帯電話は強く愛し合っている夫婦の生活をも脅かすことが明らかになっています。夫婦全体の3分の1は、一緒にいて会話をしているときでも携帯電話でメッセージの送信を行っています。さらには、テレビドラマを見ているときや夕食の最中でさえも、一部の夫婦は自分の携帯電話をチェックしており、誰かからメッセージや連絡があれば、すぐに分かるのです。男性であれ、女性であれ、配偶者との会話の最中に、頻繁に携帯電話をチェックしてメッセージを読んだり、ゲームで遊ぶのは好ましいことではありません。このような場合には、自分の話を聞いてもらえない、あるいは孤独感を感じるものです。
相手に対する誤解や邪推は、共同生活における最大の弊害の1つです。携帯電話により生じる新しい関係、或いは誤解が原因で疑わしく思われる電話連絡は、夫婦関係を容易に問題に巻き込んでしまいます。残念ながら、こうしたやり取りの影響で、一部の人々は自分の配偶者に対する疑いを抱くようになります。こうした疑念は次第に強まり、ついには相手の携帯電話をチェックしたり、或いは相手への疑惑から相手を問い詰めるといった事態に発展します。
最終的に、妻が疑われる場合には、社会に出て行くことを禁じられ、逆に夫が疑われば、妻から冷淡な対応をされたり、家庭内でのいさかいに発展することもあります。こうした状況が続くと、最終的には別居、さらには精神的な意味での離婚に至ります。精神面での離婚とは、夫婦が共に生活していながら、互いに対する愛情なしに生活していることを意味します。こうした中で、最大の被害者となるのは、罪のない子供たちなのです。
もっとも、携帯電話だけが相手に対する邪推を生み出す要因ではない、という事実を忘れてはなりません。夫婦関係には、様々な要因が影響するからです。しかしいずれにせよ、携帯電話は家族関係に、プラス或いはマイナスの影響を影響を及ぼすものであり、特に夫婦間に誤解が生まれる上で大きな影響力を持っています。
さらに、携帯電話によるもう1つの問題は、家庭のプライベートな領域に他者が侵入することです。残念ながら、プライベートな生活の写真や映像を撮り、これを外部に発信することは、家庭のプライベートな領域を破壊し、心の安らぎを乱すとともに、家族関係に支障をきたすことになります。
携帯電話の不適切な使用による問題の1つは、親戚の訪問などの伝統的な付き合いのあり方が変化してしまうことです。先進技術の利用により、多くの人々は互いを訪問しあったり、家族と親しい関係を結ぶことなく、携帯電話でのやり取りやショートメッセージの送信で済ませてしまっています。
しかしながら、社会的な人間関係は、聴覚による関係のみに限られてはおらず、義務的な行為を果たすために携帯電話を使用してはならない、ということを知っておく必要があります。私たちは誰もが、精神面での健康や安らぎ、相互理解を実現するためには、他人と面会して話すことを重視しています。このため、携帯電話を正しく適切に使用すれば、これを家族関係を強めるために利用し、互いの様子をよりよく知り合うことができるのです。しかし同時に、私たちの精神面での健康や親しさが、友人や親戚と直接会うことによるコミュニケーションにかかっていることも、忘れてはなりません。
今日、携帯電話は家庭の必需品となっており、家族のほぼ全員がこの先進技術を利用しています。しかし、家族の一部、特に子供が携帯電話の購入に当たって流行に流され、自分の本当のニーズに注目せずに、市場に出回っている新型の携帯電話を購入する時には、問題が生じます。このように、本当に必要でない物を買うことで家計が圧迫されることになります。
家庭内もさることながら、携帯電話の不適切な使用は、私たちの社会生活にも大きな弊害や問題を引き起こしています。次回は、この問題についてお話する予定です。どうぞ、お楽しみに。