2018年2月16日(芝田・福本) (音楽)
今韓国のピョンチャンで、冬季オリンピックが開催されています。イランでもテレビで放送されているそうですが、ご覧になっていますか?
芝田
さて福本さん、今韓国のピョンチャンで、冬季オリンピックが開催されています。イランでもテレビで放送されているそうですが、ご覧になっていますか?
福本
はい、もちろん見ていますよ。先日も、朝の7時半頃でしたか、何か競技をやっているかな?と思ってIRIBのスポーツチャンネルをつけてみたら、スノーボードの競技をやっていました。タイミングよく、テレビを点けた瞬間に、選手のユニフォームの日の丸が目に飛び込んできて、それから一時間ほどひとりでテレビ観戦です。息子はとっくに学校にでかけていったし、夫は夫でのんびりまだ寝ているしで、気が付いたら一時間以上経っていました。
芝田
日の丸が見えるとうれしくなりますよね。それにしても、朝の7時半ですか。。。私はなかなか中継を観ることができないのですが、イランでもほとんどの種目や競技がテレビで放送されているようです。
福本
IRIB頑張っていますよね。イランからは、今回のピョンチャンオリンピックに、アルペンスキーとクロスカントリースキーの2つの種目に男女合わせて4人の選手が出場しているのはご存知でしたか?
芝田
ええ、ニュースで見ていました。ただ、その後の成績はどうなのでしょうか。そういえば、と気になって、イランの冬季オリンピック事情を調べてみたのですが、イランが冬季オリンピックに初めて選手を派遣したのは、62年前のことだそうです。そのときから現在まで、冬季オリンピックの選手団はいつも小規模で、成績も芳しくなかったということです。
福本
そう言われてみると、ウインタースポーツ、競技としてはあまり盛んではないかもしれませんね。立派なスキー場はあるのにもったいないですよね。
芝田
そうですよね。イランは1979年の革命後、1998年の長野オリンピックまで、冬季オリンピックに出場しなかったそうです。長野オリンピックに出場したイラン人選手は、たった1人だったとのことでした。また、その後の2010年にはイラン人女子選手が初めて、冬季オリンピックに出場したということです。
福本
それにしても、夏季のオリンピックではイランの選手もそれなりの活躍をしてメダル争いでもなかなかの成績を残しているのですが、冬季となると、勝ちに行くというより、参加することに意義が、という感じでちょっと寂しいオリンピックですよね。どうしてなんでしょうか。
芝田
どうやら、イラン各地に立派なスキー場はあるものの、冬の間に練習を行う設備などがあまり整っていないことが原因のようです。ただし、今年はオーストリアで練習を行ったり、またイラン国内のスキー場に人工の雪を作り出す設備が置かれたりしているそうなので、これからは冬季オリンピックでも、イランの選手の活躍を目にする機会が出てくるといいですね。
福本 本当ですね。
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●リスナーより
「自宅のベランダでチューリップを育てています。イランでもチューリップは人気がありますか?」
●ラジオより
芝田
お便りありがとうございます。イランでもチューリップは人気がありますよね。あとは確か、殉教者のシンボルになっていたような記憶があるのですが。
福本
はい、おっしゃる通りで赤いチューリップは殉教者のシンボルとされていますよね。そもそもの理由は、イランの叙事詩人フェルドウスィーの作品、王書・シャーナーメの中に登場するスィヤーヴォシュという悲劇の王子の逸話に由来すると聞いたことがあります。でも見た目がとにかく可愛らしいですから、ここ数年はテヘラン近郊でもチューリップの栽培が盛んに行われるようになっていますよね。お蔭で春先は市内のいたる所、公園ですとか、幹線道路脇の緑地帯などで色とりどりのチューリップが見られるようになりました。
芝田
確かに、春になるとあちこちの花壇で赤や黄色のチューリップが咲き誇っていますよね。今年ももうすぐでしょうか。
●リスナーより
「あけましておめでとうございます。本来であれば、貴国の元旦にあたるムハッラム月の初日にご挨拶するのが礼儀かもしれませんが、日本式でご挨拶させていただきました。私にとっては、貴局を聞くことが貴国の理解につながり、しいてはイスラム世界を知るきっかけになっております。2018年も引き続きよろしくお願いいたします」
●ラジオより
芝田
お便りありがとうございます。新年のご挨拶をいただきました。
福本
早々と投函して下さったのに、航空便の場合は相変わらず時間がかかりますね。ご紹介するのが今、2月の半ばになってしまいました。
芝田
ところで、お便りには、“イランの元旦にあたるムハッラム月の初日”、とありましたが、きっとイスラム暦で仰っていただいているんでしょうね。
福本
そうですね。実はイランのお正月は、イスラム暦ではなくて、イラン暦なんですよね。
芝田
はい、西暦のお正月ではなくて、イラン暦のお正月があり、実は3月の春分の日なので、まあ、もうすぐ、あと1か月半後、ということになりますよね。イラン人もお正月に向けて、大掃除をしたりしますけれど、まだ大掃除には早いですかね。
福本
ご家庭によるとは思うのですが、夫の母はそろそろ準備を始めていまして、私にもさりげなく、「もう始めた?」なんて聞いてくるんですね。ですから、我が家でもまずは大物の絨毯やカーテンのクリーニングの予定を立てているところです。間際になるとクリーニング店も混み合うのでお正月に間に合わないという事態だけは避けたくて。それから何年か前には、大掃除を頑張りすぎて腰を痛めてしまったという苦い経験があるので、それ以来、大掃除は短期決戦ではなく、年相応に、時間に余裕をもって取り組むことにしています。ですから芝田さんはまだ大丈夫ですよ。
芝田
確かに余裕を持ってはじめたいところですが、、、私はまだまだ先になりそうです。
●リスナーより
「モスク、神と人間の約束の場所」で、モスクが図書館の機能を合わせもっていることを初めてしりました。モスクは、多くの住民が集まる場所なので、そこに数多くの本があれば、住民の教育にとてもよい影響を与えたことでしょう。図書館とは違いますが、地域の宗教的施設が住民の教育に寄与した例として、日本の寺子屋にも通じるものがあるのでは、と思いました。
●ラジオより
芝田
お便りありがとうございます。モスクについてですが、福本さんはモスクに入ってみたことはありますか?
福本
はい、と言っても私が訪れたことがあるモスクは観光地の有名なモスクではなくて、市内の各所にあるこじんまりとしたモスクです。モスクは亡くなった方の葬儀を取り行う場所としての役割も持っているんですよね。つい先月も、夫の遠い親戚の方が亡くなって、葬儀のためにモスクに行ってきたばかりです。
芝田
私も家の近くのモスクを通ったときに、白い大きな花が飾られていると、ああ、誰かのお葬式なのかと思います。テヘラン市内の各地区ごとに、大小さまざまなモスクがありますよね。テヘラン中心部の大バザールに行ったときには、バザール内にあるモスクに、お昼になると大勢の人がお祈りに出掛けていました。それから、一度、シーラーズに日本から来た友人と旅行に行ったときに、少し小さなモスクに立ち寄ったのですが、ちょうど朝早い時間だったので、日本人である私たち2人も朝食に招いてくれて、一緒に無料でご飯を提供してくれました。モスクの中庭の地面に布をしいて、そこにスープやゆで卵、紅茶が置かれていて、誰でも立ち寄った人が集まって来て、一緒に食事をとっていました。ほのぼのとした雰囲気で、旅行中のよい思い出になりました。
福本
お友達にとっても旅の醍醐味を味わったワンシーンとなったのではないでしょうか。モスクはイスラム教徒にとって、確かに神聖な場所ではありますが、決して閉鎖的な空間ではないんですよね。
芝田
確かに個々にお祈りをする場所、であると同時に、集いの場所にもなっていますね。
●リスナーより
「1月22日は天気予報で関東地方の平野にも大雪が降るとのこと。22日から23日にかけて、交通機関が麻痺する可能性があるので、普段より早く出勤するなどして対策を講じなければなりません。テヘランでは雪が降るときは早めに出勤したり、町を走る車はチェーンをつけたり対策をしていると思いますが、日本の首都圏のように交通機関が麻痺するようなことはあるのでしょうか?」
●ラジオより
芝田
お便りありがとうございます。少し前ですが、テヘランでも大雪が降りました。気温も氷点下まで下がって、珍しいまとまった雪でしたよね。
福本
待ちに待った待望の雪でしたよね。我が家の周辺でも20㎝くらいは積もりました。雪かきをしないと、車を車庫から出せなかったくらいです。
芝田
それはすごいですね。それにしても、日本では雪が降ると、早めに出勤したり、前日からホテルに泊まったりして、仕事にさしさわりがないようにする人が多いですが、イランではちょっと事情が違いますかね。
私の友人の会社は、雪の日、同じ部署の社員50人のうち、出勤したのは3人だけだったそうです。その人もだいぶ遅れたので、みんな遅れてくるのだろうと思っていたら、大多数の人が来なかったそうです。それで出勤した3人は大忙しだったと言っていました。イランでは車で出勤する人が多いので、雪の日は大変ですよね。
福本
テヘランは坂道が多いですから、車が立ち往生してしまうんですよね。
芝田
この雪の日のニュースで知ったのですが、テヘランの北にある大きなスキー場、例年ですと11月の末にはオープンするのですが、今年はこの時の雪、つまり1月の半ばまでオープンが遅れたそうです。この雪でようやくオープンし、その直後には大勢のスキー客が訪れたと聞きました。2か月も遅れたとは、本当に雪不足が深刻だったんですね。
福本 えぇ、あちこちで「恵みの雪」という言葉を良く聞きました。