4月 04, 2018 19:17 Asia/Tokyo
  • セイヨウショウロ
    セイヨウショウロ

今回は、イランに生息する珍しいキノコの一種で、高級食材のトリュフとしても知られるセイヨウショウロについてご紹介することにいたしましょう。

イランには、世界でも最も珍しいキノコが自生し、繁殖しています。中でも、セイヨウショウロは最もおいしく、また薬用にもなる食用キノコで、高級食材とされ、フランス料理の調理師たちの間では、厨房のダイヤモンドと評されています。

 

 

セイヨウショウロが珍重されている理由の1つは、このキノコが現在まで自然発生という形でしか生産されず、遺伝子操作などによる人工栽培や化学肥料を使用しての養殖が行われていないことによります。

 

セイヨウショウロ

セイヨウショウロは、チャワンタケ目に属する外生菌根菌の一種であり(学名はtuber、)砂や粘土を含む山や山岳地帯の斜面に自然に発生したもののみが収穫されています。

 

 

このキノコの原産地は、アフガニスタンやインドを含めた西アジアであり、イランでも特にアラスバーラーン地区をはじめとする北西部の山岳地帯に自生しています。アラスバーラーン地区は、カスピ海地域、コーカサス地域、地中海地域の3つの気候が見られ、希少な動植物が存在すること、そしてまだ人間による開発が進んでおらず、人為的な開発の被害を受けやすい環境であることから、長年にわたり自然保護区に指定されています。

 

 

アラスバーラーン地区は、気候風土や地理的な特徴により、250種類以上のキノコをはじめとする多種多様な植物が自生しています。この地区に生息するそうしたキノコの1つがセイヨウショウロであり、この地区でも特に、ダリールー村の近辺に多く見られます。

ダリールー村

 

セイヨウショウロは、地下30センチメートルより浅い土中の、しかも植物の根の近隣に自生し、牧草となる植物とともに共存しています。このキノコの大きさは、小さいものでヘーゼルナッツ1粒分、大きいものでオレンジ1個分ほどの大きさになります。外見上は、ジャガイモに似ており、色は赤褐色や灰色、白、紫、黒などさまざまです。

 

 

セイヨウショウロの中でも、黒いものと白いものが特に珍重されています。この種のキノコは、大体毎年3月の終わりから根や茎のない状態で自生し始めますが、これはまさに、創造主なる神の偉大なる業を示しています。そして、大体5月の中旬まで収穫が行われます。

 

 

山岳地帯の地元民の間では、セイヨウショウロの生産は、春の間の降雨量によって増減し、雷電や雲のもこのキノコの生産量を増やす要素だと考えられています。セイヨウショウロが、成長途中で自らの最上部にある土を少々持ち上げることから、このキノコはアーザルバーイジャーン地方で話されるトルコ語で、ふくれたものを意味するドンバラーンと呼ばれています。

セイヨウショウロ

 

セイヨウショウロは、栄養価の面では15種類以上のたんぱく質とビタミンを含んでいます。科学的な研究によれば、このキノコには様々なばい菌や病原菌に対する抗生物質としての効果、そして発がん性物質に対する高酸化作用、さらに肝臓疾患を防ぐ効果があることが確認されています。また、セイヨウショウロは風邪を予防するとともに、アミノ酸の1種であるエルゴチオネインが豊富に含まれています。

 

 

エルゴチオネインには、強い抗酸化作用がありますが、そのほかの抗酸化成分とは異なり、調理の際の過熱などにより失われることはありません。複数の研究調査からは、セイヨウショウロを加熱調理して食べることで、感染症を防ぐ事ができることが判明しています。

 

 

1日に加熱調理した(この)キノコを2つ食べることで、体の免疫システムが強化され、便秘や胃の膨張間なとも解消されます。イスラムの預言者ムハンマドの伝承にも、セイヨウショウロに含まれる栄養分の重要性について、次のように述べられています。エ;゜セイヨウショウロは、神が用意した食卓であり、天国の植物である。このキノコを食べると、目の病気にも効果がある”

セイヨウショウロ

 

セイヨウショウロは、根や茎、種子を持たないキノコ類であることから、人工栽培ができず、そのために大量生産は行われていません。今まで、この種のキノコは人工的に栽培されたことはなく、その人工的な栽培方法の決定版はまだ考案されていないのが現状です。

 

セイヨウショウロは、大量生産ができず、また山岳地帯に生息する珍しい植物であることから、一般的名消費者にとっては非常に値段の高いものとなっています。イランでは、このキノコの値段はそのときによって差があり、イラン国外でも非常に人気があります。

 

フランス、イタリア、イギリスなどの国では、セイヨウショウロは非常に高い値段で販売されています。このため、このキノコの旬以外のシーズンに、地元民以外のルートを通じてこのキノコを入手する事は、乱獲防止のため政府系機関により禁じられています。しかし、残念ながら近年では、スーツケース単位でのこのキノコの密輸が増加していることから、この稀少植物の保護を目的に関係機関による厳しい取り締まりが行われています。

 

 

 

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