4月 15, 2018 16:33 Asia/Tokyo
  • 口と歯の健康
    口と歯の健康

今回は、イスラムから見た口と歯の健康についてお話することにいたしましょう。

口は、体の部位のうちでも多くの働きをする重要な器官です。歯で食物を砕き、消化器官による食べ物の消化を助けます。歯が健康でない人は、消化不良やその他の内科の病気に罹りやすくなります。このため、健康な歯を保つよう努力する必要があります。

今日、世界の全ての医科・歯科センターでは、衛生の遵守に加えて、治療よりも予防の方が注目されています。研究者らは、より効果的な衛生教育こそが、人々の健康維持のために最も簡単で最高の方法になりうるという結論を得ています。これに対し、歯や口の健康に関する正しい教育を行わなかったり、また患者自身の怠慢により、歯や歯茎の病気が拡大することになります。

 

 

歯科学において、初期段階における予防策として様々な方法が検討されています。それらの方法の1つは、歯ブラシや爪楊枝、糸楊枝といった道具を使った物理的な予防法であり、イスラムでもこれらの道具は極めて重視されています。シーア派6代目イマーム・サーデグは次のように述べています。

“全てのものには、それをきれいにするための手段が存在する。歯をきれいに磨くための手段は、歯ブラシで歯を磨くことである”

 

歯ブラシ

 

歯ブラシの使用の歴史は非常に古く、イスラム以前にまでさかのぼります。預言者ムハンマドは、口の中をきれいにする手段として、歯ブラシの使用を奨励し、効果的で正しい歯ブラシの使用法や決まりについて語っています。このため、イスラム教徒は千数百年以上も歯ブラシを使用していることになります。また、このことは個人の健康維持に役立つだけでなく、1つの習慣として残っています。これについて、イマーム・サーデグは、預言者たちの習慣の1つは、歯を磨くことであったとしています。

 

歯ブラシは、口の中をきれいにする道具であるのみならず、神の預言者にとっての習慣でもあり、また神の満足にもつながるものです。シーア派初代イマーム・アリーは、「歯ブラシで歯をみがくことにより、口の中が洗浄され、神の満足につながる」と述べています。また、預言者ムハンマドも次のように語っています。

"私は、大天使ガブリエルから常に歯を磨くよう勧められてきた”

神の預言者は、次のように述べています。

“私は、大天使ガブリエルからいつも、歯を磨くように言われていた。そのため、私は歯の磨き過ぎにより歯が磨り減ったり、駄目になってしまうのではないかと考えていた” 

 

古い歯ブラシ

 

ここからは、イスラムの視点から見た、歯磨きの仕方やこれを行うべき時間についてお話することにいたしましょう。

イスラムの教えでは、いつ、どのように歯をみがくべきかについて、どのようなことが奨励されているのでしょうか?これについて、預言者ムハンマドは、「歯茎の表面から歯ブラシをあて、縦に磨くことであり、横に歯ブラシを揺らしてはならない」としています。今日奨励されている正しい歯磨きの方法も、歯の磨耗や歯茎の減退を防ぐため、歯ブラシを横に動かさないことが強調され、ローリング法が奨励されています。シーア派8代目イマーム・レザーは次のように述べています。

“歯磨きにおいて、節度を守れば歯の黄ばみや口臭がなくなるが、度を越した場合には、歯の組織が破壊され、また歯根をいため、歯のぐらつきを招くことになる”

歯磨きの仕方

 

これに関して現在まで伝えられている伝承には、イマーム・アリーが、預言者の教えとして語った内容があり、次のように述べられています。

“1日1回歯磨きをする人は、神のご満足を得たことになり、その人は天国に入る。1日に2回歯磨きをした人は、預言者たちの習慣を引継ぎ、それを続けたことになる”

 

また、別の伝承において、イマーム・サーデグは次のように語っています。

“神の預言者は、夜に3回歯を磨いていた。1回目は、夜寝る前であり、2回目は夜の礼拝のために起きたとき、そして3回目は朝の礼拝のためにモスクに出かける前である”

ハリトシス・口からの悪臭

 

英語でハリトシスと呼ばれる口からの悪臭は、人間が口からはく息によるものです。病気の重要な兆候である可能性もあり、口臭は病気の予防と衛生のために注目される必要があります。口臭には、肺や胃など身体の中から臭うものと、口の中から臭うものがあります。

口臭は、社会の健康のための一般的な課題として捉えられる必要があります。口臭は、少日常生活はもとより、他人との社会関係にまで悪影響を及ぼす可能性があります。

口臭の原因として、歯茎の膿みやただれ、或いは口の中に存在するプラークと呼ばれる細菌、虫歯のほか、苔(ぜっけい)、さらに口の中の乾燥、入れ歯や人工歯根が合わない場合などが挙げられいます。

それでは最後に、口のにおいを良くすることに関する、預言者一門の伝承の一部をご紹介し、今夜の番組を締めくくることにいたしましょう。

ザクロ

 

シーア派6代目イマーム・サーデグ

“チーズは、口のにおいを良くし、食物の消化を助ける”

 

預言者ムハンマド

”ナツメヤシは、口のにおいをよくする。干しブドウは口のにおいをよくし、痛みを抑える”

 

シーア派初代イマーム・アリー

“ザクロを食べると、口のにおいがよくなる”

 

シーア派8代目イマーム・レザー

“オリーブは、口のにおいを良くし、痛みを和らげる”

 

預言者ムハンマド

“マクワウリは、口の中の清潔さを保ち、口のにおいを良くし、歯を白くする”

 

イマーム・サーデグ

“リンゴは、口のにおいをよくし、胃をきれいにする。また、アンチモンの粉末を吸うと、口のにおいがよくなる”

 

次回もどうぞお楽しみに。