今回は、人間の肌の健康維持のためにイスラムが奨励している事柄についてお話することにいたしましょう。

肌の艶と潤い、そして健康は、人間の関心事の１つとされています。健康な食生活を維持することは、肌の健康や潤いにつながります。イスラムは、人間の生活に関係する全ての事柄について教示しており、健康で美しい肌を保つための、多くの価値あるアドバイスを提示しています。

シーア派８代目イマーム･レザーは、様々な折に触れて、一部の食物の特質とそれが肌に与える影響について考えるとともに、これに関する貴重なアドバイスを残しています。美肌の鍵となるコラーゲンを生産するたんぱく質を豊富に含む食品には、卵の白身が挙げられ、これは体の免疫システムを強化するとともに、肌の若返りを促進する亜鉛や塩分を豊富に含んでいます。亜鉛が不足すると、世界にあるどのようなクリームやローションを使っても、肌の状態を回復させることはできません。

イマーム・レザーはまた、頭髪と顔の美しさを保つ上で、大変興味深い事柄を教示しており、次のように述べています。

“卵の白身には、肌のきめ細かさや潤いを保つ成分が含まれていることから、肌には卵の白身を肌によく刷り込むのがよい。だが、卵の白身を食べる時には、いささか注意が必要である。それは、皮膚に対する効果とは逆の作用をもたらすからだ。卵ばかりを食べ過ぎると、しみやそばかすができやすくなる”

オリーブ油は、良質の油のひとつです。オリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸の１つ・オメガ３は、心臓の健康維持に効果があります。オリーブオイルは、血液の流れをよくし、肌の潤いを促します。天然のオリーブ油は、潤いを保ってしわを解消することから、その利用が奨励されています。

イマーム・レザーはまた、寒い時期の食習慣について、次のように述べています。

“冬の寒い時期には、カロリーの高い食事を取ることを勧める。休憩しながら、アブラナ科の植物の１つ・アラセイトウやオリーブ、バラの油などを骨の出ている部分に塗り、マッサージすると、骨の強化に役立つ”

さらに、イマーム･レザーはオリーブオイルが持つそのほかの特徴に触れ、次のように述べています。

“オリーブオイルは、体によい油であり、口臭をなくし、ワキガを解消すると共に、顔色をよくし、神経を強化する、さらに、病気や痛みなどを癒し、怒りを鎮める”

イマーム・レザーはまた、黄疸の治療法についても、興味深いアドバイスを残しており、これについては次のような伝承が残されています。

ある日、イラン北東部のホラーサーン地方において、１人のシーア派教徒の若者が、イマームレザーのところにやってきて、自分は黄疸にかかっているが、どうしたらよいかと尋ねました。すると、イマーム・レザーは次のように答えました。

”キュウリの皮をむいて、その皮を煮込みなさい。それから煮たキュウリの皮を適量だけ、３日間にわたって朝食前に食べるがよい”

さらに、肌の瑞々しさを保つことについて、イマーム・レザーは次のように述べています。“私は、タマネギを食べ過ぎないよう勧告する。それは、タマネギを食べ過ぎると、顔の艶や張りが失われ、憂いを帯びた表情になるからだ”　

また、イスラムの預言者ムハンマドは次のように述べています。

“肌の透明感と艶を保ちたければ、食後に良く熟したペルシアメロンを食べるがよい。それには、１０個の効果があり、その１つは、肌の透明感が増すことである”

マッサージは、肌のしわを解消する方法の１つとされ、イスラム医学においても強く奨励されています。イマーム・レザーは、マッサージは体のエネルギーと瑞々しさを維持させるとして、次のように述べています。

 “体のエネルギーを増すものとは、体のマッサージと柔らかい質の衣服、香水、そして入浴である”

イマーム･レザーはまた、頭髪と顔の美しさの維持について、非常に興味深いアドバイスを残しており、次のように述べています。

“イスラムの預言者ムハンマドは、タチアオイのエキスで洗髪するよう勧めている。タチアオイのエキスは、顔や頭髪の美しさを増し、頭痛を予防する”

また、髪をとかすことで頭の皮膚が刺激され、頭部の血液の循環が促進されます。血液の循環がよくなることで、頭部に酸素や栄養分がよりよく行き渡り、頭髪の根元に栄養が補給され、頭髪の成長につながります。髪をとかすことで、皮膚や毛髪の表面が保護され、保湿の働きをする皮脂腺が活性化され、頭部の皮膚の脂肪が分泌されます。皮膚の脂肪は、頭部やそれ以外の体の部位の皮膚の潤いを保つだけでなく、頭皮のｐｈ値を調整し、頭髪の健康を維持するのに重要な役割を果たしています。

髪を良くとかすことは、髪の維持に効果があり、実際に頭皮の表面にある脂肪分を毛先まで行き渡らせ、これにより髪の毛全体にみずみずしさが出てくることになります。

次回もどうぞ、お楽しみに。