4月 17, 2018 21:33 Asia/Tokyo
  • 子供の携帯電話の使用
    子供の携帯電話の使用

前回は、携帯電話が体に及ぼす破壊的な影響についてお話しました。この影響は、特に子供の健康に対してはさらに深刻なものとなります。今回は、子供の携帯電話の使用のメリットとデメリットについてお話することにいたしましょう。

子供や少年少女は、携帯電話を最も強く支持している年齢層とされています。この数年間に、ブルートゥースや高画質の撮影機能、インターネット接続といった多数の機能を備えた新世代型の携帯電話の出現により、携帯電話の使用者は最低年齢に達し、子供や少年の多くがこのハイテク機器を有しています。現在すでに、多くの家庭がこの先進技術の悪影響について考えることなく、子供に携帯電話を買い与えており、多くの親は子供の要求を聞き入れ、より高度な機能を有する携帯電話を買い与えることを余儀なくされています。身体に及ぼす弊害もさることながら、果たして携帯電話は子供にとって欠かせないものなのでしょうか?子供を持つ親は、子供に繰り返しねだられることで、このハイテク機器を買わざるを得ないのでしょうか?

 

子供の携帯電話の使用

 

今日、子供の多くは体を動かす子供らしい遊びではなく、自宅の片隅で携帯電話のゲームに夢中になっています。子供時代にはスポーツや体を動かすことで大量のエネルギーを発散する必要があるにもかかわらず、携帯電話のゲームは好ましくない形で子供たちをひきつけています。このことから、子供たちの間には無気力や怠慢、さらには肥満といった現象がみられるようになってきました。

今や、携帯電話は子供や少年の生活の大きな部分を占めています。彼らは、自分の時間の多くを読書などではなく、携帯電話とともに過ごしているのです。子供の多くは、ショートメッセージや音声メッセージの送信により、このコミュニケーション機器を遊びの手段として使っています。青少年の多くは、就寝前に携帯電話でショートメッセージを送信したり、あるいは受信したメッセージを読んだりしています。

 

携帯電話

 

もっとも、携帯電話には子供たちにとって有益な点もあります。たとえば、インターネットにも接続できるスマートフォンにより、学齢期の子供たちは教育的な内容のウェブサイトや学校のEメールシステムにアクセスしたり、学校と家庭の間でファイルのやり取りができるのです。

さらに、一部の専門家や学校の管理運営者は、SMS・ショートメッセージサービスの利用が児童や生徒にとって必要であり、親と教師の間の大きなコミュニケーション・ツールになりうると考えています。携帯電話のSMSの利用により、保護者は常に学校側の責任者と常に連絡を取ることができ、児童や生徒の一般的な状況を把握できるのです。

携帯電話

 

しかし、一部の専門家は、少年少女による携帯電話の使用を完全にコントロール出来ないことから、携帯電話を使用するメリットが無意味なものになると考えています。複数の調査からは、携帯電話が彼らの学習のプロセスに多大な悪影響を及ぼすことが分かっています。彼らは、成長期という特殊な時期にあることから、多様な機能を備えた携帯電話の存在を知ると、うわべだけの興奮にとらわれ、携帯電話で音楽を聞いたりすることに多くの時間を使い、他人と接触しなくなります。その結果、彼らは勉学への気力がなくなり、ひいては学力低下につながります。また、児童や生徒の一部は、授業中に携帯電話を使うことで、授業に集中できなくなり、他の生徒の集中力を乱しています。

子供の携帯電話の使用

 

現在広がっている問題は、生徒たちがモラルに反する方法で携帯電話を使用していることです。その理由として、親や教育者でさえも、携帯電話の使用を完全にコントロールすることはほぼ不可能だからです。保護者や学校の教師の一部は、携帯電話の教育面での有能性にもかかわらず、携帯電話の使用を禁じています。

学校で児童生徒が携帯電話を使用することによるもう1つの問題点は、彼らが現実の世界での社会的なコミュニケーションの法則を学習せず、仮想空間での社会的なコミュニケーションを強化してしまうことです。この重要な点は最終的に、彼らが実社会に出て行ったときに問題を引き起こします。現在すでに、学齢期の子供たちの間には、友人たちがそばにいるにもかかわらず、携帯電話のゲームで遊んでいるケースが見られます。しかし、電話での通話やショートメッセージは決して、実際に相手に会って会話することの代替手段にはなりません。それは、発話によらないコミュニケーションは感情の表現や言論を失わせてしまうからです。

一部の家庭は、常に子供の様子を把握し、懸念を払拭することを、携帯電話を購入する理由として挙げています。家族が子供を心配し、携帯電話を使って子供に関する情報を得ようとするのは決して不自然なことではありません。しかし、ここで知っておくべきことは、学校は決して勉強するだけの場所ではなく、社会的に成長する場でもあるということです。学校は、子供が社会性を身につけ他人との関係作りを学ぶ場所でもあります。さらに、子供は自立することをも学びます。ですから、学校では家庭が子供をコントロールする必要はなく、それは学校の責任者に任せたほうが得策だといえます。

子供の携帯電話の使用

 

いずれにせよ、携帯電話とはじめとするそのほかの先進技術の利用は、現代人の生活に欠かせないものです。しかし、社会において人々が先進技術の利用を必要としていると同様に、それを特定のマナーに従って使用することも必要です。携帯電話のような通信機器は、それ自身で破壊的な影響をもたらすことはありえず、その誤った利用により様々な弊害が発生するのです。このため、こうした通信機器の正しい使用法を、特に子供たちの間に広める必要があります。彼らは、こうした機器を使用する際のマナーを学ぶべきであり、様々な条件の中で、携帯電話の色々なサービスをどのように使用すべきかを知らなければなりません。

このため、教育を担当する責任者や子供の保護者により、こうした通信機器の正しい使用の文化を形成し、それを教えていくことが急務となっています。生活技術の教育があらゆる国の教育関係の省庁の計画の優先事項に掲げられていることは、重要な役割を果たしうるものです。決断力や自信を高めることといった、生きるための術を教育されることで、子供は特にモラルに反するメッセージや画像などを閲覧するといった、同年齢の仲間の要求をきっぱりと断ることになります。

一方で、児童生徒を参加させての質疑討論会を開催したり、携帯電話に対する彼らの傾向や意見を聞くこと、そして携帯電話の誤った使用による弊害を実例とともに説明することで、携帯電話の誤った使用による悪影響を減らし、正しい携帯電話の使用の文化を形成する上で効果的だと考えられます。

各家庭は、携帯電話を子供に与える際に、子供によるその使用状況を十分に監視し、携帯電話の好ましくない使用による危険について子供に教える必要があります。好ましくない内容を閲覧しない習慣を身につけさせることは、問題の解決に重要な助けとなりうるものです。

 

最後に、子供のみならず大人も携帯電話の正しい使用法を学び、家庭環境や家族にまで問題が及ばないようにすべきだということを付け加えておきたいと思います。