イランの経済情勢(音声)
この時間も、この1週間のイランの経済情勢についてお話ししましょう。
この1週間の主な出来事です。
第23回テヘラン石油・天然ガス・精製・石油化学国際見本市が開幕しました。
イランの石油大臣が、ガス輸出国フォーラムの事務局長と会談しました。
イランとイラク・クルド人自治区の経済機会に関する会合が、イラクのエルビルで開催されました。
そして、アジアとヨーロッパの人と物の移動におけるイランの重要な役割についてお話しします。
今週、4日間に渡って、エネルギーに関して、テヘラン石油・天然ガス・精製・石油化学国際見本市が開催されました。この見本市には、イランの企業1053社と37か国から600社が参加しました。
イランのローハーニー大統領は、8日火曜、この見本市を視察した後、イランの石油関連企業の幹部と会談し、石油産業は戦略的な部門だとし、「石油産業は、イランにとっても、地域や世界の国々にとっても完全に戦略的な産業だ」と述べました。
イランのザンゲネ石油大臣も、この見本市の開幕式で、イランは世界の石油・エネルギー市場において無視できない国だと強調し、「イランは常に、産油国の生産が促され、世界市場が安定するよう、石油の適正価格を追求している」と述べました。
この見本市の開催中に、イランとスペインやドイツの企業の間で、石油・天然ガス産業の協力と技術の移転に関する協力合意が締結されました。
テヘラン石油国際見本市は、参加企業の数や規模の点で、中東で最大、世界で5番目の見本市となっています。この見本市の目的は、石油・天然ガス産業の最新の技術を紹介し、他国との協力や世界レベルの石油企業との競争を拡大するとともに、技術情報の交換を通じて、国内の生産力を強化することです。
世界銀行は最新の報告の中で、イランの石油埋蔵量は、155年先まで存続すると予想しました。イランは石油と天然ガスの埋蔵量を合わせて世界1位となっています。
ガス輸出国フォーラムの事務局長は、今月5日、ザンゲネ石油大臣と会談し、この組織の最新の情勢と業績について説明するとともに、今後の計画を明らかにしました。
ガス輸出国フォーラムは、世界レベルの天然ガスの価格をコントロールし、生産と輸出を調整する目的で、2008年12月23日に創設されました。この組織の加盟国は、世界の天然ガスの生産量の44%、天然ガス埋蔵量の67%、パイプラインによる移送の64%、LNGの貿易の66%を占めています。
アルジェリア、ボリビア、エジプト、赤道ギニア、イラン、リビア、ナイジェリア、カタール、ロシア、トリニダードトバゴ、ベネズエラ、アラブ首長国連邦の12か国が、ガス輸出国フォーラムに加盟しています。この他、オランダ、ノルウェー、イラク、オマーン、ペルー、アゼルバイジャンが、オブザーバーとなっています。
先週、イラクのクルド人自治区の中心地であるエルビルで、イラン各地とイラク・クルド人自治区の経済活動家の間で、大規模な経済会合が開催されました。
イランのシャリーアトマダーリー商鉱工業大臣は、先週水曜、イランとイラク・クルド人自治区の経済機会に関する会合の始まりに際し、次のように語りました。
「イラク・クルド人自治区のネチルバン・バルザニ首相との会談で、両国の経済活動家による合同委員会の設置が検討され、経済関係を拡大する上での様々な問題を解決することで合意に至った」
イランとイラク・クルド人自治区の経済機会に関する会合が2日間に渡って開催されたことは、双方が経済的な点から互いを必要としているだけでなく、イラクとシリアでISISが敗北した後の経済的な可能性は、イランとイラク・クルド人自治区にとって、経済関係を最大限に拡大するための、またとない機会を作り出していることを示しました。
今回の会合は、4度目の開催でしたが、2つの点から、非常に重要なものとなっています。一つ目は、ISISがイラクで支配地を失い、イラク政府が、ISISによって破壊された地域の復興に着手していることです。イラク政府は、ISISに破壊された地域の復興だけでなく、西側の制裁やサッダーム・フセインの独裁による遅れを挽回するために、数千億ドルの投資を必要としています。
イランとイラク・シリアの経済関係振興事務局長のオウハディ氏は、イランの技術サービスの年間輸出額は250億ドルだとし、次のように語りました。
「イラクのISIS後の技術サービスのニーズは5000億ドルだが、イランのポテンシャルの活用は、年間10億ドルにとどまっている」
イランの代表団がエルビルを訪問したことは、イラクの市場に積極的に参入しようとするイラン政府の真剣な意志を物語っています。この中で、イランとクルド人自治区は、経済協力の発展に関する合意覚書に調印しました。この合意覚書は、イランのシャリーアトマダーリー商鉱工業大臣とクルド人自治区の閣僚数人の立ち合いのもとで調印されました。
イランとイラクの関係者は、両国の貿易総額は200億ドルまで拡大する可能性があると予想しています。同時に経済関係も拡大すると見られています。こうした中、この目標を達成するためには、銀行、運輸、査証発給、税関などの問題の解決が必要になっています。
イラン道路都市開発省は、今週、イランが地域の経済や安全保障の安定に、さらに大きな役割を果たせるようにするため、道路開発プロジェクトにより、10のルートからの人と物の移動を円滑化しようとしていると発表しました。
イランの運輸プロジェクトの中では、まず、1920キロにおよぶ重要なルートが南東部から始まり、インド洋、オマーン海、ペルシャ湾の沿岸、つまり、ジャースク、バンダルアッバース、バンダルレンゲ、ブーシェフルから、南西部のホッラムシャフルまで延びる予定です。2本目のルートはイラン中部、3本目は、北西部に建設されます。
今週、テヘランで、ジョージアの副首相兼経済大臣が、イランのカルバースィヤーン経済大臣と会談し、両国の協力について話し合いました。
ジョージア副首相はこの会談で、イランとの経済協力に関する情報を提示し、二国間の経済、貿易関係をさらに拡大するための用意を明らかにしました。
今週はまた、南アフリカの15人から成る経済代表団が、食料、投資、石油化学などの分野の可能性を知るため、イランを訪問しました。
アフリカ問題の専門家であるスィヤーダト・ナスブ氏は、イランと南アフリカの経済協力の重要性について次のように語っています。
「南アフリカは、インド洋や大西洋に接する2954キロの海岸線を有し、アフリカ市場の貿易の核として、優れた地理的状況と戦略的な重要性を有している」
今回のような訪問は、国際レベルで経済関係を拡大する上での、イランの経済的な可能性を物語っており、これは協力のための絶好の機会となっています。