今夜も前回に引き続き、コーラン第61章サフ章戦列を見ていくことにいたしましょう。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

サフ章はメディナで下され、全部で14節あります。この章は主に、イスラムが他の啓示宗教よりも優れていること、神からその永遠性が保障されていること、神の道における努力が必要であることについて述べています。

サフ章で述べられている内容は、神への賞賛、言動の一致、固い決意と連帯による神の道における努力、イスラエルの民の約束違反と、イスラムの預言者の出現に関する預言者イーサーの吉報、全ての宗教に対するイスラムの勝利、神の道において戦った人々への現世と来世の報奨、預言者イーサーの12人の使徒からのインスピレーション、この章の名前の由来などとなっています。

サフ章の第8節は、イスラムの永遠性に触れ、敵には神の光を消すことはできないとしています。この節は、興味深いたとえによって、この点を指摘しています。

「彼らは神の光を、自分たちの口で消そうとしているが、神は自分の光を完成される方である。たとえ不信心者が不快に思っていたとしても」

彼らは常に、神の光を消そうとします。しかし、神の意志により、神の光は日々、広がっていきます。そのため、それを消すことはできません。

サフ章の第9節は、イスラムの永遠性を強調し、はっきりと次のように述べています。

「彼こそは、導きと真理の教えと共にその使徒を遣わし、全ての宗教を支配しようとされる方である。たとえ多神教徒たちが快く思っていなかったとしても」

イスラムとコーランは神の光であり、その光はどこであろうと、その効果と恩恵を現し、勝利や成功の源となります。そのため、多神教徒や不信心者には、それをさえぎることはできません。現在、誰もが目にしているように、イスラムは論理の点からも、また具体的な発展の点からも、他の宗教よりも優れており、敵の尽きることのない陰謀にもかかわらず、日々、イスラムへの傾倒が高まっています。とはいえ、イスラムの発展の最終段階は、救世主であるシーア派12代目イマーム、マハディの出現によって実現するのです。

サフ章は続けて、人間の中に動きの動機を生じさせる興味深い例を挙げ、神の道における戦いは、多くの利益のある取り引きだとし、第10節と11節で次のように語っています。

「信仰を寄せた人々よ、あなた方に痛ましい責め苦から解放される取り引きを教えよう。神とその使徒に信仰を寄せ、あなた方の財産と命をかけて、神の道において戦いなさい。これはあなた方にとってよりよいことである。もしあなた方が知っているならば」

預言者への信仰は、神への信仰と切り離されるものではありません。同じように、神の道における命をかけた戦いは、財産を費やす戦いと切り離すことはできません。なぜなら、防衛や戦いは、さまざまな手段や装備を必要としており、それらは資金の援助によって確保されるものだからです。概して、この2つの戦いは、共に存在すべきであり、それによって勝利の土台が整えられます。この節によれば、この大きな取り引きには3つの柱があります。買い手は神であり、売り手は信仰のある人間、そして取り引きされる商品は財産と命です。神はこの取り引きを、利益の多い取り引きと呼び、この大きな取り引きの利益についてこのように述べています。

サフ章の第12節を見てみましょう。

「[その場合、]神はあなた方の罪を赦され、あなた方を、木の下を小川が流れる天国の楽園に入れ、永遠の天国にある清らかな家へと導く。これは大きな救済である」

次の節を見てみましょう。

「また、あなた方が好む別の恩恵は、神からの助けとまもなくの勝利である。敬虔な人々に吉報を伝えよ」

これほどの恩恵と利益が望める取り引きがあるでしょうか。それは勝利と成功、恩恵に溢れています。そして、敬虔な人々に、このような大きな取り引きについて祝辞が述べられています。

サフ章の最後の節は、再び、神の道における戦い・ジハードの問題が強調されています。神は、信仰を寄せた人々に対し、あらゆる力が源とし、立ち返る神の援助者となることを求めています。その上で、歴史的な例を挙げ、次のように述べています。

「マルヤムの子、イーサーが12人の使徒に対し、誰が神の道において私の援助者であるかと尋ねたとき、使徒たちは言った。『私たちは神の援助者です』」

12人の使徒たちは、預言者イーサーの特別な援助者たちでした。彼らは神の宗教を助けるために奔走し、真理の敵との戦いに立ち上がりました。イスラエルの民の一団は信仰を寄せ、使徒たちに加わりましたが、別の人々は不信心者になりました。そのとき、神の助けが彼らに下り、信仰を寄せていた人々は、敵たちに勝利しました。この節は、「あなた方イスラム教徒も、預言者ムハンマドの使徒であり、神とその預言者を助けるように、そうすれば、イーサーの使徒たちが敵に勝利したように、あなた方も敵たちに勝利するだろう」という点を指摘しています。