8月 16, 2018 16:25 Asia/Tokyo

この1週間の主な経済に関する出来事です。                          

最高指導者のハーメネイー師が、数千人の国民を前に演説し、経済問題の主な原因について重要な発言を行いました。

カスピ海の領有権や海底資源活用について定めた「法的地位に関する協定」が、カザフスタンで署名されました。

イランが、電力移送網をヨーロッパに結ぶための努力を続けています。

イスラム革命最高指導者

 

現在のイランの第一の問題は、経済問題です。イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、今週、数千人の国民を前に、このことに触れ、経済問題の主な原因について語りました。

この時間はまず、この話題からお話しましょう。

 

ハーメネイー師は、13日月曜、数千人の国民を前に、イランの経済状況について重要な表明を行い、次のように語りました。

 

「経済問題とその解決法は明らかだ。イランにはいかなる行き詰まりも存在しない。司法、行政、立法の関係者は、努力と協力により、専門家の意見を参考に、国民のさまざまな問題や圧力を取り除くべきだ。制裁は影響がないとは言わない。だが、最近の経済問題は主に、政策や行動に関するものだ。政策や行動が改善され、しかるべきときにより強力な措置が講じられれば、制裁の影響はそれほどではなくなり、それに対抗することができる」

 

専門家によれば、キャッシュフローの際限のない増加は、一部の誤った決定によって生まれた、イランの経済問題のひとつです。ハーメネイー師は以前にも、政治家らに対し、「このキャッシュフローを、出来るだけ早く、産業、農業、住宅や生産部門へと導く下地を整えなければならない。目的のないキャッシュフローは脅威であり、その悪影響はすでに見られている」と語っていました。

 

ハーメネイー師は、今からでも決して遅くはなく、敵の決定に対抗して、必要な措置を講じ、決断を下すことができるとしました。

テヘランの両替商

 

現在、イラン経済は、国内外の一部の混乱の影響を受けています。為替と金の価格の大幅な変動により、金融取引や市場に混乱が生まれ、輸出入が停滞しています。数ヶ月前から、制裁に乗じて、ドルなどの外貨や金の買占めにより、市場に懸念を生み出そうとする人々が出てくることが予想されていました。しかし、一部の政府関係者の楽観視と、国内の外貨状況に関する過信が、外貨・金融市場のコントロールを妨げていたのです。

 

現在イランは、不正や汚職を行う人への対策を必要としています。司法府の関係者は、「この問題に関しては何の配慮もなく、断固とした対応が取られる」と発表しました。ハーメネイー師も表明の中で、「管理機関が、このような流れを力強く監視し、不正の道を阻止するべきだ」と語りました。

金貨

 

これについて、ハーメネイー師は、最近の金や為替市場の価格の変動と、イランの通貨リアルの暴落に触れ、次のように語りました。

 

「金と為替の問題に関しては、我々が外貨を手に入れる上で問題を抱えている中で、管理の欠如により、イランの外貨180億ドルが特定の人々の手に渡り、悪用されたと聞いている。これは管理上の問題であり、制裁とは関係がない。敵は、経済戦争によって不満を作り出し、その不満が暴動や混乱に発展するのを望んでいる」

 

明らかに、イランの国民と体制は、これまでも数々の困難を克服してきたように、今回もまた、堂々とこの問題を乗り越えることでしょう。アメリカは、財務省をイランに対する戦争の指令室にしています。とはいえ、このような行動は現在、国際レベルで大きな反対に直面しています。

 

ドイツのアルトマイヤー経済大臣は、先週、ビルト紙のインタビューで、次のように語りました。

 

「我々は、他国との貿易関係についてアメリカから指示されるのを許さない」

 

アルトマイヤー経済大臣は、アメリカの対イラン制裁は、アメリカの同盟国に対する配慮の欠如だとし、次のように語りました。

「ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国は、イランとの関係改善を追求する上で自由であるべきだ。ドイツの企業は、イランへの投資を自由に続けることができる」

 

さらに、次のように語っています。

 

「アメリカ政府は、貿易の法に関して他国に指示することはできず、ドイツ政府は、特にイランへのさらなる投資によって、アメリカの制裁に対抗すべきだ」

アルトマイヤー経済大臣

 

カスピ海の法的地位に関する協定は、12日日曜、カザフスタンのアクタウで署名されました。

 

この協定は、イラン、ロシア、カザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタンの大統領が出席した、カスピ海沿岸諸国の首脳会合で署名されました。

 

カスピ海の法的地位に関する協定の署名により、カスピ海地域の経済的な可能性を利用するための、新たな歩みが期待されています。トルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領は、これについて、カスピ海沿岸諸国の初の経済会合を、アシガバードで開催することを提案し、次のように語りました。

 

「2019年のカスピ海沿岸諸国の第1回経済会合は、地域諸国の経済協力の拡大において、非常に重要であり、トルクメニスタンのアシガバードでそれを開催することを提案する。法的地位に関する協定をめぐる困難な活動が終わり、現在、沿岸諸国の協力は、運輸計画と経済関係の発展に関するものになる」

 

カスピ海は、沿岸のすべての国にとって、経済的な重要性を有しています。カスピ海の法的地位に関する協定は、実際、沿岸諸国の権利や取り決めを定めた枠組みであり、包括的な文書です。この文書はまた、各国の協力の強化を促すものとなるでしょう。

 

先週、イランとアルメニア、イランとアゼルバイジャンが、ロシアへの電力の輸出に関する協議を開始したと報道されました。イランのアルダカーニヤーン・エネルギー大臣は、アルメニアのエネルギー大臣との会談で、アルメニアの電力移送の第3ラインの実施は、イラン、アルメニア、ジョージア、ロシアのエネルギー協力の一環として重要だと語りました。

送電線

 

イランは、ヨーロッパの電力システムに電力網をつなげようとしています。アルメニアは、300万人の人口を擁し、イランの北西に位置し、この問題に関して鍵となる役割を担うことになります。アルメニアから2本の電力網が敷かれており、現在、3本目が建設中で、今年中の完成が見込まれています。

 

イランの火力発電所では、7700メガワットの電力生産が可能であり、国の電力消費のおよそ80%をまかなっています。また、水力発電ではおよそ1万2000メガワットの電力が生産され、南部のブーシェフルにある原子力発電所では、1000メガワットが生産されています。

 

アルダカーニヤーン・エネルギー大臣は、13日月曜、イルナー通信のインタビューで、イランの電力網をヨーロッパにつなげるプロジェクトについて、「イランはこの問題を真剣に追求する」と語りました。また、イランと地域諸国の電力の取り引きに触れ、「イランは、パキスタン、アフガニスタン、トルクメニスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、トルコ、イラクなどのすべての近隣諸国とエネルギーの取り引きを行おうとしている」と述べました。

 

イランは昨年、毎時およそ67億キロワットの電力を近隣諸国に輸出しました。