4月 13, 2019 16:46 Asia/Tokyo

コーラン 第30章 ルーム章 ローマ 第47節~第49節

                                                                                         慈悲深く、慈愛あまねき、アッラーの御名において

第47節

「本当に、我々は汝以前に預言者たちを民のもとに遣わした。そこで預言者たちは、明らかな根拠を彼らのもとにもたらした。そのとき我々は、罪を犯した人々に報復し[、敬虔な人々を助けた。]、敬虔な人々を助けるのは、我々の責務である」(30:47)

(47) وَلَقَدْ أَرْسَلْنَا مِنْ قَبْلِكَ رُسُلًا إِلَى قَوْمِهِمْ فَجَاءُوهُمْ بِالْبَيِّنَاتِ فَانْتَقَمْنَا مِنَ الَّذِينَ أَجْرَمُوا وَكَانَ حَقًّا عَلَيْنَا نَصْرُ الْمُؤْمِنِينَ

 

前回の番組では、最後の節で、人間や植物のために、風が送られ、雨が降らされると述べていました。この節は、明証に基づいて人々を導くために、預言者たちが遣わされたことに触れ、その後の節で再び、大地を蘇らせるために、風や雨を降らせたと述べられています。

 

この節が、創造における神の力と英知に関する節の間にきていることは、人間の創造と導きが、ひとつの源に端を発していることを物語っています。つまり、人間を創造し、人間の肉体的なニーズを確保するために、太陽や雲や風や雨をもたらした神は、人間の精神的なニーズを満たすために、預言者たちを遣わし、本能や理性を利用して人間を導こうとしたのです。当然のことながら、真理を理解し、信仰を寄せた人々は、神の慈悲にあずかり、神の助けを受けますが、真理に立ち向かい、神の命に背く人々には、神の責め苦が下されるのです。

 

第47節の教え

●          神は、預言者を遣わし、明らかな根拠と奇跡をもたらすことで、人々への最後通告を行っています。

●          罪を犯した人に懲罰が下るのは、彼らが導きと忠告を受けた後でのことです。忠告もないうちに懲罰が下るのは、公平ではありません。

●          敬虔な人間の不信心者に対する最終的な勝利、真理の偽りに対する勝利は、神の絶対的な約束です。

 

第48節

「神は、風を送り、雲を起こすお方である。それからそれを、お望みの形で空に広げられ、また散り散りにされる。それから汝は、その合間から現れる雨を見るだろう。それから、お望みの僕にそれを届ける。思わず彼らは喜ぶだろう。」(30:48)

(48) اللَّهُ الَّذِي يُرْسِلُ الرِّيَاحَ فَتُثِيرُ سَحَابًا فَيَبْسُطُهُ فِي السَّمَاءِ كَيْفَ يَشَاءُ وَيَجْعَلُهُ كِسَفًا فَتَرَى الْوَدْقَ يَخْرُجُ مِنْ خِلَالِهِ فَإِذَا أَصَابَ بِهِ مَنْ يَشَاءُ مِنْ عِبَادِهِ إِذَا هُمْ يَسْتَبْشِرُونَ

 

第49節

「雨が彼らのもとに降るまで、彼らは希望を失っていた」(30:49)

 (49)وَإِنْ كَانُوا مِنْ قَبْلِ أَنْ يُنَزَّلَ عَلَيْهِمْ مِنْ قَبْلِهِ لَمُبْلِسِينَ

 

太陽の光と熱は、海の水を蒸発させ、空へと移動させます。その後、神は風を送り、水の蒸発によって生まれた雲を、遠くの乾いた大地へと導き、そこで雨を降らせるための条件を整えた後、その恵みのしずくを大地へと注ぎます。その偉大さが明らかになるのは、今日、人間が、ガスや石油、水などをある地点から別の地点に移動させることを考えたときです。その場合、莫大な資金をかけて、地面を掘り起こし、パイプラインを敷設し、管理のための施設を作らなければなりません。その上、それが及ぶ範囲は限られています。しかし、神は、人間に何の費用も強いることのないシステムを利用し、水という生命の源を地球の住民に届け、人間だけでなく、地上の全ての生き物が利用できるようにしています。

 

雨の恵みは、人間の肉体だけでなく、精神にも恩恵をもたらします。雨が降り、それによって潤いを増した植物や庭園を見ることは、人間に活力と喜びをもたらし、ふさぎこんだ気持ちから解放してくれます。農業や牧畜業を営む人たちは、干ばつに見舞われ、自分たちが育ててきたものが被害を受けているとき、雲や風が現れると、瞳に希望を宿し、微笑みをうかべます。これこそは、神の無限の慈悲に対する希望であり、風や雨は、その訪れを知らせる役目を果たすものなのです。

 

第48節~第49節の教え

●          自然現象は偶然に生まれるものだと考えるべきではありません。それらは、地球をはじめとする、この世界のすべてに及ぶ、神の力と英知を示しています。

●          神は、世界の物事が、自然な原因や理由によって実現されるよう決定しました。原因と結果というシステムは、英知ある神が創造したものです。

●          神の無限の恩恵に注目すれば、人間は希望を取り戻すことができます。多くの苦難の後には平穏があり、ない状態とある状態は隣り合わせです。