ロル族の音楽
今回は、イランのロル族の音楽についてお話しすることにいたしましょう。
イランの地理的な広さに注目すると、この国は様々な地方音楽が広まっているという点から、模範的な国の一つとなっています。イランの北から南、あるいは東から西までを旅すると、さまざまな文化、言葉、芸術、儀礼、慣習などに出会い、まるで文化の異なる幾つかの国を旅しているかのような錯覚に陥ります。
イランの音楽は常に、イランの民族のメロディーをモチーフに、各地の地理や自然の状況の影響を受けて形成されています。ロル族の音楽は、谷や山から立ち上った音楽です。ロルの音楽は、ロルの旋律を含み、感情豊かで人間性に溢れたものとなっています。英雄伝や戦闘の歌においてさえも、戦いや同胞殺しを禁じるメッセージが隠されています。
ロルの音楽の範囲は、ロル族の地理的、文化的範囲に一致し、これについてはこれまでの番組でお話ししました。ロルの音楽は、畏怖、永遠性、愛情、忠誠といった新たな役割と共に、非常に魅力的な表れを伴っており、様々な点から熟考に値します。この音楽は完全に手付かずのものであり、戦闘、宗教、喜び、愛情といったテーマが融合しています。ロルの音楽からは、部族の戦闘の士気や愛情、喜び、悲しみなどが感じられます。明らかにロルの音楽は彼らの居住地の特別な自然や自然、敵との戦いの影響を受けています。ロルの音楽は、内容やテーマの点から、作業時の音楽、冠婚葬祭の音楽、均整の取れた動きを伴う音楽に分けられます。
作業時の音楽は、米などの作物の脱穀や羊の毛を刈る作業、家畜の乳絞り、薪などの物を運ぶ際に使われます。この歌は、耐え難い辛い仕事に耐えるために歌われる一方で、作業者の間で調和を取ったり、作業の速度を増したりするために用いられます。
この他、冠婚葬祭の音楽もあります。ロル族の地元の楽器もまた、冠婚葬祭で使用されます。概して儀式の初めから終わりまで音楽が演奏され、葬儀の際の楽器の演奏者の数はなくなった人の地位を表します。チャマリーと呼ばれる哀歌は、葬儀で楽器によって演奏されます。チャマリーは概してイスラム暦のモハッラム月の期間に、町の街頭や広場に追悼グループを集めるために演奏されることから、英雄伝的な雰囲気を有しています。結婚式などの祝祭でもロル族の住む多くの村や地域で、地元の楽器が使用され、それらの音楽は喜びの雰囲気を生じさせ、ときに何日も継続されます。
ロルの人々はイランの詩人、特にフェルドウスィーやネザーミーに特別な愛着を持っています。このため、この二人の詩を特別なメロディーで歌います。フェルドウスィーの詩は、長老や有力者の集まり、または伝統的な喫茶店で歌われ、常に楽器を伴わず、独唱で行われます。現在ではほとんど見られませんが、ロル族の多くはこの二人の詩人の多くの詩を暗記しています。
ラジオ日本語のフェイスブックやユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://www.facebook.com/ParsTodayJapanese
http://youtube.com/channel/UCXfX6KY7mZURIhUWKnKmrEQ