1月 08, 2020 15:24 Asia/Tokyo
  • ガザーリー・マシュハディ
    ガザーリー・マシュハディ

今回は、前回に引き続き、ガザーリー・マシュハディについてお話しすることにしましょう。

ガザーリー・マシュハディは、16世紀の偉大な詩人で、当時のイランを支配していたサファヴィー朝の詩作において劣悪な環境により、インドに渡り、そこで一生を終えた多くの詩人の一人でした。

ガザーリー・マシュハディは、もとはサファヴィー朝の王タフマーセブの宮廷で名声を博していた詩人でしたが、インドでイランの芸術や詩が盛んになったことから、インドに移住しました。彼の生涯について、詳細な記述は存在せず、彼は1523年ごろから1530年ごろ、マシュハドで生まれ、幼少期をそこで過ごしたとされています。若い頃から詩人としての活動を始め、また、神秘主義的な思想的傾向も持っていました。

ガザーリーは詩人としての才能により、一時期、タフマーセブ王の宮廷に仕えていましたが、若いうちに、当時の支配体制の状況が理由で、インドに移住しました。彼は1572年12月13日にインド西部グジャラート州のアーメダーバードで死去し、王族などが葬られている廟に埋葬されました。

ガザーリーは多くの著作を残しており、その一部は前回の番組で簡単にお話しました。その作品の多さから、彼は精力的に詩作を行っていた詩人の一人だとすべきでしょう。彼の詩を読むと、彼が才能ある雄弁な詩人だということがわかります。現代イランの文学研究者、ザビーオッラーサファー博士は、次のように語っています。

「言葉の精神性と意味の正しさを伴う統一感が、ガザーリーの詩のすべてに見られる特徴である。頌詩などは、その甘美さによって、このような詩に必要な威厳を失っていない。一方、抒情詩は読み手の期待にこたえた繊細さを持っている。ガザーリーは、16世紀においても、そして17世紀、18世紀においても稀有な詩人だというべきだろう。」

ガザーリーは、14世紀の偉大なペルシャ語詩人、ハーフェズの多面的な詩に特に注目していました。彼の詩の際立った特徴のひとつは、社会的な風刺だといえます。

多くの研究者によれば、もし、社会に目を向け、批判的な詩、特に社会風刺の詩に注目することで、イランの歴史における混乱した時代をよりよく知ることができるということです。文学作品の中心にある批判や風刺により、社会の様々な側面の問題を知ることができるのです。

当時のサファヴィー朝の統治状況と、その社会的特性は、詩人や有識者の批判精神を引き出し、これにより社会風刺が生まれました。風刺という言葉は、辞書の中ではいくつかの定義が行われています。風刺を行う人間は、この芸術を欠点や不足といった点から人々に見せようとします。風刺では、偽善的な行為や人間の間違いなどを攻撃対象としています。風刺を行う詩人、あるいは作家は、社会のある人物や行動、習慣、問題をあざけることで、それらを批判し、非難します。風刺を行う目的は、社会の道徳的に好ましくない行動を是正することにあります。

詩人ガザーリーの基本的な特徴は風刺です。彼の風刺や批判の基盤は、偽善や偽善者に対する戦いに基づいており、彼はハーフェズのように、風刺という最大の武器をその戦いで用いました。なぜなら、偽善は、芸術や社会、美徳、学識や措置といったものを破滅させるからです。彼の叙情詩からは、(偽善的な)神秘主義者や修行者に対する批判が、対句ひとつの中にも含まれていない詩はほとんどない、ということが伺えます。

イランの名声、世界的な栄誉は、IRIB国際放送ラジオ日本語よりお送りしています。今夜の番組では、16世紀の詩人、ガザーリー・マシュハディについてお話しています。

ガザーリー・マシュハディは、抒情詩においては先人に従い、15世紀の叙情詩人バーバー・ファガーニーの方法を踏襲するとしていますが、社会的な批判に関しては、ハーフェズの影響を受けています。ハーフェズの詩集では、風刺は、最もよく使われている表現方法になっており、全力でその表現力を活用しています。

ガザーリーが生きていた当時の偽善にまみれた社会状況は、ハーフェズの時代とさほど変わりはありませんでした。つまり、ガザーリーが住んでいた当時のインドを支配していた体制においても、イランの体制においても、そういった偽善者は存在していました。こういった偽善者は、一般の人々を欺くために、自身の外面を好ましく、宗教的で、聖なる存在であるかのように見せていた一方で、内面は腐敗していました。こういった状況は、社会に関する詩の質や思想、社会的な関係のあり方に影響を与えています。

ガザーリー・マシュハディが批判した人物とは、皆名前のないあるタイプの人物で、彼は決して汚い言葉を使いませんでした。こういった点で、ガザーリーの風刺はハーフェズのそれと比較することができます。ガザーリーの詩集で批判されている人物は、実際、当時の政権の要人であり、当時、社会的、政治的に有力なグループを構成していた人々でした。

ガザーリーはこういった人物の思想や行動を批判しています。ガザーリーの詩は、社会風刺的であり、多くの主張などを含んでいます。また、偽善や表面を装うことが、イスラムの道徳的価値観に成り代わっていました。言い換えれば、ガザーリーの当時の社会では、宗教は偽りの道に足を踏み入れる入り口だとされていたのです。ガザーリーの風刺の目的は、宗教の基本的な本質と、偽善者の宗教を区別することだったのです。

 

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