11月 26, 2021 23:40 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。

今回ご紹介するのは、「雄鶏の尻尾を信じるか、それともアッバースにかけた誓いか」です。

ペルシャ語での読み方は、Dom-e khoruus raa baavar konim yaa qasam-e hezrat-e Abbaas となります。

このことわざは、ある物語が由来となっています。

ある男性が雄鶏を飼っていましたが、ある日その雄鶏が逃げ出し、隣の家の屋根に上ってしまいます。雄鶏の飼い主はそこで自分も、雄鶏を追いかけて隣の家の屋根に上り、探し回ります。さて、隣の家の主人は雄鶏の声を聞きつけ、さらに雄鶏が突然家の中に入ってきたので大変驚きますが、きっとこれはどこかから逃げて来たに違いないと思い、雄鶏を自分の身につけている衣服の下に隠します。そこへ、雄鶏の飼い主が訪ねてきて、「うちの雄鶏を知らないか」と訪ねられますが、隣の家の主人は何食わぬ顔で、「知らない、アッバースにかけて、そんなものは我が家には来ていない」と答えます。しかし、雄鶏の飼い主は、その家の主人の衣服の間から雄鶏の尻尾が見えているのを見て、「あなたが雄鶏を隠していることは知っている」という意味をこめて、「雄鶏の尻尾を信じるか、それともアッバースにかけた誓いか」と問い詰めたということです。このことから、このことわざは何かをした相手が、その証拠が明らかでありながらそれを否定し、自分には関係ないと否定するような場合に、「あなたの仕業であることは明らかだ」という意味で使われるようになりました。

日本語でも「論より証拠」といわれますが、どのような言い訳を並べ立てても、物的な動かぬ証拠が残っていればもはや否定できませんね。

なお、このことわざに出てくるアッバースとは、シーア派3代目イマームホサインの異母兄弟であるアッバースを指しており、イラン人は何かを誓ったり、意味を強めるのに「神に誓って」、「アッバースに誓って」などと表現します。このようなところにも、イランの文化にイスラムが深く根ざしていることが見て取れるのではないでしょうか。それではまた。

 

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