イスファハーン州;ハシュトべへシュト宮殿
これまで数回に渡り、イラン中部にある歴史と芸術の町、イスファハーンをご紹介してまいりました。今回ご紹介するのは、この町にあるハシュトべへシュト宮殿です。
イスファハーンの貴重な歴史的建造物は、本当に美しく、見る者の気持ちを癒すものです。ハシュトべへシュト宮殿も、イスファハーンの美しい歴史的な建造物のひとつで、イランの建築の優雅さや芸術性を最大限に示しています。
ハシュトべへシュト宮殿の建物は、ボルボル庭園と呼ばれる、古木や背の高いすずかけの木が立ち並ぶ美しい庭園の中にあります。ボルボル庭園は、ナグシェジャハーン庭園の一部であり、"さよなき鳥の庭園"という名で知られています。ハシュトべへシュトの建物は、奥行き35メートル、幅6メートルで、大理石でできた高さ2メートルの台の上に立てられています。この宮殿は2階建てで、たくさんの部屋とホール、曲がりくねった廊下を有し、そのどれもがすばらしい漆喰細工や鏡細工で飾られています。
ハシュトべへシュト宮殿も、サファヴィー朝時代の多くの建物と同じように八角形でできており、その建築様式が建物全体に反映され、その美しさを倍増させています。建物のメインホールの中央には、八角形の大理石でできた池があり、真珠の池と呼ばれています。
ハシュトベヘシュトの建物のアーチやテラスは、どこからでも、周囲の美しい光景を堪能できるように設計されています。天井や壁は非常に美しいタイル細工で覆われ、鳥や花の絵で飾られています。それぞれの部屋やテラスは独自の形と装飾が用いられ、2つとして同じ装飾は見られません。この建物のいたるところに、様々な装飾が施されており、当時のイランの芸術家たちの創造力やイニシアチブ、情熱や趣向を見てとることができます。
この建物が建てられてから300年以上が経過するにも拘わらず、その全体的なデザインは変更されることなく、今日まで保たれており、サファヴィー朝の類まれなる宮殿のひとつだと言うことができるでしょう。フランスの旅行家シャルダンは、ハシュトべへシュト宮殿を、ヨーロッパのどんな壮麗な宮殿よりも喜びを与えてくれる宮殿だとしています。