アルバイン、カルバラに向かう人々(1)【音声】
明日、イスラム暦サファル月20日は、イマームホサインの殉教から40日目のアルバインの日です。イスラム教について詳しい山村邦子さんにお話を伺いましょう。また日本のイスラム教徒、ファーティマ・星野さんは、アルバインの行進に参加し、イラク南部のカルバラの聖地まで歩きました。ラジオ日本語の山口アナウンサーが、この精神性に溢れた経験について、星野さんからお話を伺いました。
アルバインは、イマームホサインとその教友たちの殉教の記憶を思い起こさせるものです。イマームホサインは、シーア派3代目イマームであり、イスラムの預言者ムハンマドの孫です。アルバインは、イスラム教を守るために自らの持てるすべてのものを捧げ、真理と真理の追求のみを自らの人生のモットーとした人々の、勇気と献身の象徴です。
シーア派3代目イマーム、ホサインの殉教から40日目のアルバインが近づき、今年もまた、イマームホサインを敬愛する人々による、例年の行事が繰り返されています。
歴史の中で、数多くの犯罪が行われてきました。その中には、イマームホサインが圧制に対してカルバラで立ち上がり、殉教した680年のアーシュラーの出来事よりも悲劇的で、このカルバラの殉教者の何倍もの人々が殺害された出来事もありました。しかし、それらは皆、忘れ去られ、名前だけが残っているのみです。しかし、アーシュラーの出来事は、歴史の中に残っています。なぜなら、イマームホサインは、神の宗教を復活させるために立ち上がったからです。神の宗教が滅びることはありません。そのため、宗教を復活させた人間も決して滅びることはなく、その名は世界に永遠に刻まれるのです。
イマームホサインは、メッカを発つ前、当時のウマイヤ朝の圧制者であったヤズィードに対して蜂起するため、同胞に遺言を記しました。その中で、蜂起の目的も宣言しています。イマームホサインはそこで次のように語っています。
「私は、祖父であるイスラムの預言者の宗教を改め、善を勧めて悪を否定するために立ち上がる」
イマームホサインの時代、宗教に多くの変化が起こり、異端な考え方が入り込んでいました。イマームホサインは、預言者ムハンマドの宗教の真理を守り、健全な宗教を次の世代に引き継がせるため、蜂起に立ち上がる以外に方法がありませんでした。これによって、現在の宗教は歪曲されたものであり、神の預言者ムハンマドの宗教とは大きくかけ離れているということを、すべての人に明らかにするためです。
カルバラに続く道では、ここ数日、何百万という人々が列を成して歩いています。ナジャフからカルバラまでの道は、毎年、アルバインのために徒歩でカルバラへと向かう人々にとって、特別な熱情を帯びています。巡礼者はまず、わずかな食糧と簡単な荷物を背負い、ナジャフを出発します。現世に属するもの、物質的なものをその道の初めに捨て去り、精神的な歩みを進めていきます。彼らは、イマームホサインの聖廟に早く到着し、その柵を撫でることを心待ちにしています。
イランのイスラム聖職者のパナーヒヤーン師は、アルバインの日のイマームホサインを敬愛する人々の壮大な行進について次のように語っています。
「人間は、自分の足で、イマームホサインを敬愛する大勢の人々と共に歩いてカルバラに向かい、その類まれなる魅力に溢れた雰囲気を実際に味あわない限り、その満足感や壮麗さを理解することはできないだろう。また、この動きによる心の高まりを感じることもできないだろう」
イマームホサインは、人間の創造の大きな神秘であり、人類はその秘密を紐解くことなしに、幸福にいたることはできません。その神秘は、世界の半分で流血の出来事が起こり、別の半分では道徳的な退廃が著しい21世紀の世界において、何百万人という人間を、カルバラという表面的には小さくとも、最も貴重な人間的性質のつまった町へと集めています。そう、イマームホサインは、創造の大きな神秘であり、人間を無知という海から救い出し、世界に救世主を待望させます。アルバインは、この大きな神秘が、人々の心の中で発見されたしるしなのです。
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