4月 20, 2023 21:55 Asia/Tokyo

太陽が顔を出し、一日の始まりを告げると、1か月の礼拝を終えた人々が、祝祭の壮大な礼拝に備えます。

30日に及ぶ神の宴と神への服従が終わり、断食明けの祝祭の日がやってきました。朝になり、人々が礼拝を行う場所へと向かいます。まるで新たな宴が開かれるかのようです。彼らは、唯一神信仰の叫びを世界に伝えようとしています。

フェトル・断食明けの祝祭

 

イスラムの預言者ムハンマドは、断食明けの祝祭の日、家を出て礼拝の場所に着くと、大きな声で、「アッラー以外に神はいない」と「神は偉大なり」という言葉を叫び、礼拝の間、その前後にも、その言葉を繰り返しました。シーア派8代目イマーム、レザーは、断食明けの祝祭の日に、「神は偉大なり」という言葉が叫ばれる理由について、次のように語っています。

 

「神は偉大なり、という言葉は、至高なる神に敬意を表し、頭を垂れることであり、世界の創造主の恩恵や導きへの感謝である」

 

断食明けの祝祭は、イスラム教徒にとって、最も盛大な祝祭です。この祝祭に合わせて、イスラム諸国は数日間、休日になり、独自の慣習に従って、1か月の断食の後、この祝祭を迎えます。

イスラム諸国のイスラム教徒は、断食明けの祝祭を新しい始まりの祝祭と捉え、住まいを掃除したり、衣服を新調したりします。こうした行いは、イランでは主に、春の訪れの季節に行われますが、断食明けの祝祭は、イラン人にとって非常に重要であり、この祝祭は、心や精神を清めるものと考えられています。

イスラム教徒の家は、この数日、精神性に溢れます。断食の祝祭の日の社会的な儀式や慣習により、この祝祭はすべての人の祝祭になっており、さまざまな国で、独自の形で行われます。

 

アラブ首長国連邦出身の女性、ウンマ・ハリールさんは、他の女性たちと同じように、1週間前から家の大掃除を始めます。女性たちは、手や足をヘンナで染め、一家の父親や夫は、家族のために新しい服を買います。ウンマ・ハリールさんの娘は、最近、婚約しました。そのため、新郎の家族と相談して、新郎新婦のために祝祭の日の特別な衣服を買うことになりました。彼女は、この祝祭に合わせ、独自のお菓子を作り、もてなしの準備をしています。

エジプトの首都カイロの通りは、祝祭に合わせて美しい装飾が見られます。ショッピングセンターや衣料品店は、祝祭の衣服を買いに来た人でごった返しています。断食明けの祝祭に合わせ、宗教歌が歌われ、モスクのスピーカーからは、神は偉大なりという声が聞こえます。これは、人々に、ジャーメモスクで集団礼拝を行うよう呼び掛けるものです。路地には、パンやケーキの香りがただよっています。

フェトル・断食明けの祝祭

インド、パキスタン、マレーシア、インドネシアのイスラム教徒も、他のイスラム諸国と同じように、断食明けの祝祭の日を、この日の礼拝によって始めます。さまざまな色の服を着たイスラム教徒の美しい集団が、断食明けの礼拝に立つ姿は、虹を思い起こさせます。彼らはその後、一家の長老の家に向かい、親戚同士で集まります。そして、子供たち、その夫や妻に贈り物やお金をプレゼントします。また、多くの人が、亡くなった人の墓に花を添え、祈りを捧げます。

こうした中、イエメン、バーレーン、パレスチナ、シリアの人々は、断食明けの祝祭を、死や流血、抵抗の中で祝っています。このような状況にも拘わらず、これらの国の女性たちは、お菓子作りに励みます。難民たちは、殉教者の墓を訪れ、彼らのためにコーランを朗誦します。

一家の一人が、子供たちの顔に笑顔が戻るよう、おもちゃを買い与えます。しかし、彼らの目を輝かせるのは、神の約束の実現への希望です。それは、最終的に正義が勝利し、悪がどんなに策略を用いたとしても、最後には消滅する、という約束です。

断食明けの祝祭の日の朝の礼拝は、すべてのイスラム教徒に共通の儀式であり、この偉大な祝祭の始まりを象徴するものです。この日の礼拝の壮麗さは、人々の心に輝きをもたらします。断食明けの祝祭の礼拝は、イスラム暦1年に義務となり、イスラム教徒は、預言者ムハンマドの時代、集団でこの礼拝に参加していました。この礼拝は、預言者ムハンマドの死後、イスラム教徒にとって、好ましい伝統と捉えられるようになります。つまり、義務ではありませんが、それに参加することに恩恵がある、というものです。断食明けの祝祭の後の説教も伝統になっています。

 

断食明けの祝祭の礼拝は、2セットで行われ、それぞれの中で4回の祈祷が読まれます。

この祈祷は、イスラム教徒全体に通じるものです。まず、至高なる神は、断食明けの祝祭の日を、イスラム共同体と預言者ムハンマドのために、栄誉や尊厳の源とされ、イスラム教徒がそれを、現世と来世の栄誉、精神的、物質的な成長への手段にできるようにと祈ります。

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、主に、イスラム教徒の時代に即した問題について語る、断食明けの祝祭の説教で次のように語っています。

「このたくわえから、イスラム教徒は2つの事柄を利用する必要がある。まずは、イスラム教徒の統一、緊密さであり、二つ目は、イスラム世界における精神性への注目である。イスラム世界では、成長の要素である、そのどちらも損なわれている。今日、イスラム教徒の統一は、宗派や部族の分裂、ナショナリズム、逸脱したスローガンによって崩れている。イスラム教徒は、それらのすべてのスローガンを超え、イスラム共同体の統一と団結を叫ぶべきである。第二の精神性については、現在、イスラムの精神性への回帰が、イスラムの真理、宗教の神聖、イスラム教徒のスローガンとなるべきだ」

 

断食明けの祝祭の礼拝は、ラマザーン月の神の恩恵への感謝と同時に、新たな生への感謝でもあります。神が私たちを、信仰、道徳、善行の楽園へと導き、私たちを誤った行いや考え方の地獄から遠ざけてくださるように願います。

 

実際、イスラム教徒が心からの祈りによって望むのは、神の満足を得、神に近づき、神のための行いや礼拝をやり遂げることです。そして、神以外のものへの服従や崇拝から守られるよう、神の加護を祈ります。

 

断食明けの祝祭の日、多くの人が、互いにやさしく、新たな日々を始めるために、記憶に残る日を過ごすのです。

 

 


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