印が輸出業者にルピー建て決済促す措置か、思惑は対ロ貿易拡大
インド政府が、輸出業者に同国の通貨ルピー建て決済を促すためのインセンティブを提供する可能性が浮上しています。
ロイター通信が24日水曜、複数のインドの政府高官や業界関係者の話として、インド・ムンバイから報じたところによりますと、貿易取引でのルピー利用や、西側による対ロシア制裁の影響で落ち込んでいるロシア向け輸出を拡大することが狙いだということです。
インド準備銀行(中央銀行)は先月、ルピー建て貿易決済制度の認可を通達しており、インド企業は既に西側の対ロシア制裁を回避するため、ドルとユーロをアジア通貨に交換してからロシアと決済する方法もひねり出しています。
こうした中でインド政府が導入する公算が大きいのは、現在ドルやユーロといった完全な対外交換可能通貨に適用されている貿易支援プログラムの対象を、インド・ルピーにも広げる措置とされています。
同プログラムの下では、輸出業者は製品加工の全過程にわたって、支払い義務が生じた税金や関税の一部払い戻しが受けられることになります。
この問題について、インド政府高官の1人は「商工省は中銀や歳入庁と協力し、中銀による先月の通達に沿う形で、外為市場での換金手続きとしてルピー絡みの取引を円滑化することに万全を期そうとしている。そうした換金に際して貿易政策面の恩恵を適用するための手続きが取られる」とコメントしました。
インド側関係者の話では、関連する指針が「間もなく」公表されてロシアとの貿易促進を後押しする見通しだということです。
また別のインド政府高官は、同国として今後2カ月でロシアとの貿易額を60億─70億ドル上積みすることを目指している、と語りました。
特に、去る2月24日にウクライナ戦争が勃発して以降、インドは国連安保理や総会での対ロシア非難決議にはすべて棄権し、アメリカ主導の経済制裁にも加わっていません。
ウクライナ戦争によって世界各国が混乱する中、この戦争に対するインドの対応はアメリカや日本、欧州諸国とは異なっており、注目を集めています。