トヨタ、イランへの販売では謝罪もテロ組織への流通にはだんまり?
日本の自動車メーカー・トヨタの車は、その頑強な作りからアフガニスタンで人気がありますが、1990年代には同国で政権を握った組織・タリバンが使用していたことでも知られていました。
トヨタのオフロード車は、アフガニスタンの平坦でない地面に耐えうる高い耐久性を持つだけでなく、重装甲化も可能な作りとなっているため、アルカイダやISISなどといったテロ組織の間でも人気があります。
タリバンの戦闘員が政権を掌握しトヨタ車で首都カーブルにある大統領府を奪取したのは、1996年のことでした。
米紙ニューヨーク・タイムズは2001年、「このようなトヨタ車は、(タリバン政権による)威嚇や法の執行にとって理想的な基盤となっている」と報じていました。
トヨタ社は長年、テロ組織との取引は行わないようにしているほか、自社製の車がテロリストらの手に渡ったルートについて、アメリカ財務省の調査にも協力してきました。
同社は昨年、1951年から製造・販売するトヨタ・ランドクルーザーの2022年モデル・ランドクルーザー300(新車価格510万円~800万円)を同年8月に国内で販売開始した際、購入者に対して「1年以内の転売を行わない」「現金一括購入でも車両登録日から最低1年間は所有者名義をディーラーとする」という誓約書への署名を求める「販売ルール」を定めました。
トヨタ製の車がISISやアルカイダといったテロ組織やタリバンによって広く使用されている状況の中、同社は2017年、在インド・イラン大使館に車両1台を販売したとして、アメリカ政府に謝罪を行いました。しかし、合法的な車の販売に関するこの謝罪は人々に驚きを与え、イランのSNSユーザーの間では、これに対して多くの批判的意見が飛び交いました。
西アジアでは実際、ISISをはじめとするテロリストらの間でトヨタ車が広く使用されており、これに関して「もし製造企業がそのような理由で謝罪するなら、イラクやシリアを含めた多くの国の人々がトヨタ社から受けるべき謝罪は、どれだけのものになるか」「このような謝罪には一体、何の意味があるのか」という疑問が起きるのも当然のことと言えます。