7月 09, 2023 21:22 Asia/Tokyo

北朝鮮が9日日曜、同国国土環境保護省対外事業局長の談話として、日本の東京電力福島第一原子力発電所の処理水(汚染水)放出について、国際的な安全基準に合致しているとする報告書を出したIAEA国際原子力機関を非難する声明を出しました。

韓国でのIAEAのグロッシ事務局長

 

福島第一原発の処理水海洋放出という日本政府の決定に対し、太平洋地域諸国は依然として反対を続けています。

朝鮮中央通信によりますと、北朝鮮は汚染水放出について、「人類の生命と安全、生態環境を危機に陥れる」と批判し、「想像するだけでおぞましい核汚染水の放出計画を積極的にかばい、助長している」としてIAEAを非難しました。

北朝鮮環境保護省は今回の声明で日本の決定を非難し、「青い地球上の人類の故郷を破壊しようとする腐敗した勢力の邪悪で反人間的で戦争挑発的な行為を国際社会は座して見るべきではない。 そして彼らを完全に阻止し、破壊するために団結すべきだ」と表明しました。

そして、IAEAのグロッシ事務局長については、北朝鮮の核開発を批判する一方で、日本の汚染水放出を擁護しているとして「極端なダブルスタンダードの典型」と断じました。

グロッシ事務局長は日本訪問を終えた後、7日金曜から3日間の日程で韓国を訪問しています。これに先立ち、グロッシ氏は日本政府の処理水放出計画は国際的な安全基準に合致しているとし、「関連する国際安全基準を遵守し、処理水の管理された段階的な海への放出」が人々と環境に及ぼす放射線影響は無視できるものであると述べました。

韓国政府は以前、IAEAの報告書を尊重すると表明しており、また韓国政府の調査では、この処理水の放出が同国の領海には「重大な影響を与えない」ことが示されています。しかし、グロッシ氏が金浦空港に到着した際、ソウルでは多くの抗議行動が行われました。

ロイター通信によりますと、韓国民主労総のメンバーを含む数百人が8日土曜、日本政府のこの計画に抗議し、ソウルの街頭に集結しました。

これと同様の動きは中国でも見られ、同国も日本のこの決定に反対しています。

また、日本国内からも懸念の声が出ています。福島第一原発視察のため先週日本を訪れたグロッシ事務局長は、東京でCNNのインタビューに応じ、「日本の漁業団体や地元首長らと会い、彼らの恐怖感や危惧を目の当たりにした」と述べました。

CNNはまた、日本のこの決定に対する国際科学者の懸念について報じ、「研究者らは、この処置が長期的に安全であるという証拠は不十分だとしている。彼らは、この処理水放出により、核廃棄物から除去できない水素の放射性同位体であるトリチウムが海洋生態系や関連する食物連鎖に徐々に吸収され、その痕跡を残す可能性があると主張している」としています。


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