韓国大統領が、独立運動記念式典で日本との関係改善を呼びかけ
韓国の文大統領は「三・一独立運動」の102周年記念式典で、日本との関係改善を呼びかけました。
韓国のヨンハプ通信によりますと、日本による植民地支配に抵抗して1919年に起きた独立運動「三・一運動」から102年を迎えた1日、韓国政府主催の記念式典がソウル市内のタプコル公園で開催され、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が演説を行いました。
ユーチューブでも配信されたこの演説で文大統領は、「政府はいつでも日本政府と向き合い、対話する準備ができている」とし、「易地思之(相手の立場に立って考える)の姿勢で向き合えば、過去の問題も賢明に解決できると確信している」と述べ、韓国の裁判所が旧日本軍の慰安婦被害者と日本による植民地時代の強制徴用被害者への賠償をそれぞれ日本側に命じた判決などで韓日関係が行き詰まるなか、日本に融和のメッセージを発しました。
そして、「日本とわれわれの間には不幸だった歴史があり、われわれは歴史を忘れられない。加害者は忘れることができても、被害者は忘れられないものだ」としながらも、「100年がたった今、両国は互いにとって非常に重要な隣国になった」と評価しました。
また、「われわれは歴史を直視し、教訓を得ねばならない」とする一方、「過去に足を取られてはいられない。過去の問題の解決を図りながらも、未来志向の発展に一層力を注ぐべきだ」と強調し、「両国の協力は北東アジアの安定と韓米日の3カ国協力にも役立つ」とも語りました。
さらに、「東京オリンピックは、韓国と日本、南北朝鮮、そして北朝鮮と日本の対話にとってチャンスとなる可能性がある」とも述べました。
一方、昨年12月に発足した「北東アジア防疫・保健協力体」についても、「朝鮮半島と北東アジアに共生と平和を呼び込む力になる」と言及しました。
文大統領は、「私たちは(1919年の独立運動「三・一運動」で)非暴力の平和運動を宣言した先祖から、国同士の互恵平等と平和を目指す精神を受け継いだ」とした上で、「世界は共存と新たな繁栄のために多国間主義の精神に立ち戻るべきだ」と強調し、多国間主義に立脚し、韓国の主導で発足したのが北東アジア防疫・保健協力体だと説明しました。
国境を越えた保健危機に共同で対応するこの共同体には、韓国と米国、中国、ロシア、モンゴルが参加しており、文大統領は「日本も参加を検討しており、北の参加も期待する」とし、北朝鮮に対しては「この協力体への参加を皮切りに、域内の国々と協力、交流することを希望する」とも述べました。そして、国を超えて感染が広がる新型コロナのような新たな感染症には、多国間主義的な協力によってのみ効果的な対応が可能だと訴えました。
また、「朝鮮半島の非核化と恒久的な平和に向けても変わりなく努力していく」と表明し、戦争を容認しないこと、相互安全保障、共同繁栄の3大原則に基づいて南北協力を発展させていく考えを示しました。
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